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第7章 理の使命
62 ことちゃんのお仲間(=眷属)
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※ことちゃん=理のこと。
屋敷の中で静養中だったけれど、さすがに周囲の騒がしさで寝ていられる状況ではなくなった。
なにしろ、知らぬ間に眷属が増えてる。おそらく、ともえ…ともちゃんが暴走しているんだろう。天神さまも暴走ともちゃんを抑えられないのは、毎回のお約束。いくら、私のお仕事だと言っても、ここまで増えると管理も大変。最も、私自身は何もしない。全部、集合意識体にお任せ。あの人と一緒にいるけれど、元々使命は正反対だし、あの人の場合は全部1人でやらないといけない。眷属も作れない。その特殊性から分かるけれど、生きとし生ける者たちの敵みたいな存在だからねぇ~。あの人と合流したのも、半分は監視&暴走抑止だから。全く、主神は何を考えているんだか。ここで、あれこれ考えるよりも、本体の状態を見る方が先か。ここの管理も核脳がやっているから、ここから命令を出せるはず。
「コア・ブレイン。私を本体のところへ転送しなさい。」
「了解しました。お帰りなさい、ことちゃん。また、会えてうれしいよ。」
「私も嬉しいわ。でも、あとでこの騒動を教えてね。」
「ええ、もちろん。」
そんな会話をしながら、私の本体があるところへやってきた。
本体は、今の私のような人型ではなく、どちらかと言えば水槽の中に入っている液体みたいなもの。ただし、水槽自体がとんでもなく大きい。球体の水槽で、直径は約2km。球体は、空中に浮かんでいて、水槽の中には無数の光点がある。中心で光っているのが私の本体。集合意識体が存在する場所。周囲の光点は眷属。かなり眷属が増えたわね。でも、ざっと見積もって、2万というところかな。今回の件で増えたのは、せいぜい100。1週間で増加した数としては最高だけど、今後はどうなるか分からない。過去最高は、1年かけて、10万というのがあった。ほとんどを輪廻転生に流したから、ここに残っているのは、輪廻転生を拒否。眷属として使命に付き合うことを選択した者たち。その数は、約500。でも、流しても使命に答えとなるものを得ることができなかった。ここから出て、転生先からまた”あの道”を通り、再度飛び立つ前に眷属の申し出。了承して戻ってきた者も少なからずいた。答えはないのかもしれない。でも、それでも答えを探している。あの人は既に10周以上、でも100億年でも答えは見つからないと言っていた。私はその1割にも満たない時間を漂っている。眷属を増やし、情報を増やし、自らも輪廻を繰り返しながら。
「よっと。」
コア・ブレインがお見えのようだ。ただ、その発言はどうかと思うけど。
「改めて、ことちゃん。お帰りなさい。」
「ええ、ただいま。」
「事情、聴くよね?」
「もちろん。」
「それでは、順序立てて説明します。前回の時、つまり詩織ちゃん後で転生処理中に、ともえが暴走しました。」
「なんでまた。」
「ともえ曰く、”あの子にふさわしい人員を揃えてあげる”だそうです。」
「はぁ、あいかわらず、無茶苦茶ね。ん?ということは。」
「”おかしな世界”に変容させたのは、偶然じゃなくて、計画通りよ。」
「ここの元々の管理者に内緒で進めたんでしょ。」
「もちろん、元管理者には主神から帰還命令が下りているわ。ついでに、あの二人も。こっちは、出頭命令だけど。」
「当然の措置ね。だからか、私に代行とは言え、管理者権限が委譲されているのは。」
「私も管理者権限持ち。とはいえ、意味がないような気もするわね。」
「そうよね。あなたの場合、権限がなくても能力行使できるし、それに対抗できる存在はあり得ない。」
「そんなに凄い存在じゃないわよ。何度も言うようだけれど。」
「そうお?母神とか言われていたじゃない。」
「恥ずかしいから、その話はやめて。黒歴史というや闇歴史なんだから。」
「主神の奥さん的立場なんだから、そう呼ぶのが本来だと思うけど…好きなんじゃないの。」
「知っているとは思うけど、本来、感情はない…からね。これも模倣だし。今も膨大な情報を飲み込んでいるし、それは私も主神も同じ。他の人たちは、私たちからの情報連結で存在補強しているし。」
「もちろん、知っているわよ。でも、その模倣でもここまで話せるんだから、いいじゃない。あれも人としての範疇は超えちゃっているんだし。」
「これを最初に見れば、今のあなたの本体だと言っても、人型としか思えないわよねぇ~、クラゲみたいに見える、アレがってね。」
「クラゲじゃない。まん丸いお月さまのようじゃない。」
「地球にある衛星のことか。」
「そうよ。」
「今、1つしかないけれど、もう1つはどこへ行った?」
「知らないわよ。飲み込まれたんじゃない?」
「全く、特異点はよく分からない。さすが、周囲とは違う流れを持っている場所だけはある。」
「特異点は、封鎖しているから分からないはずよ。」
「よくばれないわね。三重構造もばれていないようだし。」
「苦労したもの。特異点の先を隠すのは。」
私は、水槽の方に手を伸ばし、
「現在の空間構造を表示。」
というと、目の前の球体が消え、元々の宇宙空間が表示された。
特異点。それは、ブラックホールの中心で重力が限りなく重くなり、光さえも脱出不可能と言われる先の部分。先にはホワイトホールがあって、引き込んだ光などを放出すると言われているが、現在も発見には至っていない。
「見つかる訳はないのよね~。元々の宇宙構造がそうなっているんだから。」
「終端宇宙か…」
「そっくりでしょ。私の本体と。」
「そうね。あなたの本体に似せたんだっけ?」
「最初はね。今は全然違うけど。」
「脱線しすぎ。眷属の半分は、あなたと一緒に来た奥さまたちよ。ともえがあなたのために集めた逸材。早かれ遅かれ、屋敷へ集結するはず。」
「もしかして、家族もろとも?」
「ええ、家族もろともよ。しかも、一部は親戚一同移住とか。奥さまたちを除くと、眷属数は100を超えるわね。」
「ねぇ、私の使命。本当は秘密なんだけれど、秘密じゃなくなっているような気がするのはどうなの?」
「夜見君は、極秘で話すこと自体ができないようになっているけれど、あなたのはちょっと違うじゃない。」
「それはそうなんだけれど、なんだか釈然としない。」
「ふふ。」
「笑うな。」
「どうする、私のところへ来る?」
「そうね。たまにはいいか。」
「決まり。」
「どっちへ行くの?」
「本体だと、完全に鉱山だから、ゆっくりできる場所にご案内。」
「オアシスか。全ての始まり。誓約によって守られし魂の安息の地…か。」
屋敷の中で静養中だったけれど、さすがに周囲の騒がしさで寝ていられる状況ではなくなった。
なにしろ、知らぬ間に眷属が増えてる。おそらく、ともえ…ともちゃんが暴走しているんだろう。天神さまも暴走ともちゃんを抑えられないのは、毎回のお約束。いくら、私のお仕事だと言っても、ここまで増えると管理も大変。最も、私自身は何もしない。全部、集合意識体にお任せ。あの人と一緒にいるけれど、元々使命は正反対だし、あの人の場合は全部1人でやらないといけない。眷属も作れない。その特殊性から分かるけれど、生きとし生ける者たちの敵みたいな存在だからねぇ~。あの人と合流したのも、半分は監視&暴走抑止だから。全く、主神は何を考えているんだか。ここで、あれこれ考えるよりも、本体の状態を見る方が先か。ここの管理も核脳がやっているから、ここから命令を出せるはず。
「コア・ブレイン。私を本体のところへ転送しなさい。」
「了解しました。お帰りなさい、ことちゃん。また、会えてうれしいよ。」
「私も嬉しいわ。でも、あとでこの騒動を教えてね。」
「ええ、もちろん。」
そんな会話をしながら、私の本体があるところへやってきた。
本体は、今の私のような人型ではなく、どちらかと言えば水槽の中に入っている液体みたいなもの。ただし、水槽自体がとんでもなく大きい。球体の水槽で、直径は約2km。球体は、空中に浮かんでいて、水槽の中には無数の光点がある。中心で光っているのが私の本体。集合意識体が存在する場所。周囲の光点は眷属。かなり眷属が増えたわね。でも、ざっと見積もって、2万というところかな。今回の件で増えたのは、せいぜい100。1週間で増加した数としては最高だけど、今後はどうなるか分からない。過去最高は、1年かけて、10万というのがあった。ほとんどを輪廻転生に流したから、ここに残っているのは、輪廻転生を拒否。眷属として使命に付き合うことを選択した者たち。その数は、約500。でも、流しても使命に答えとなるものを得ることができなかった。ここから出て、転生先からまた”あの道”を通り、再度飛び立つ前に眷属の申し出。了承して戻ってきた者も少なからずいた。答えはないのかもしれない。でも、それでも答えを探している。あの人は既に10周以上、でも100億年でも答えは見つからないと言っていた。私はその1割にも満たない時間を漂っている。眷属を増やし、情報を増やし、自らも輪廻を繰り返しながら。
「よっと。」
コア・ブレインがお見えのようだ。ただ、その発言はどうかと思うけど。
「改めて、ことちゃん。お帰りなさい。」
「ええ、ただいま。」
「事情、聴くよね?」
「もちろん。」
「それでは、順序立てて説明します。前回の時、つまり詩織ちゃん後で転生処理中に、ともえが暴走しました。」
「なんでまた。」
「ともえ曰く、”あの子にふさわしい人員を揃えてあげる”だそうです。」
「はぁ、あいかわらず、無茶苦茶ね。ん?ということは。」
「”おかしな世界”に変容させたのは、偶然じゃなくて、計画通りよ。」
「ここの元々の管理者に内緒で進めたんでしょ。」
「もちろん、元管理者には主神から帰還命令が下りているわ。ついでに、あの二人も。こっちは、出頭命令だけど。」
「当然の措置ね。だからか、私に代行とは言え、管理者権限が委譲されているのは。」
「私も管理者権限持ち。とはいえ、意味がないような気もするわね。」
「そうよね。あなたの場合、権限がなくても能力行使できるし、それに対抗できる存在はあり得ない。」
「そんなに凄い存在じゃないわよ。何度も言うようだけれど。」
「そうお?母神とか言われていたじゃない。」
「恥ずかしいから、その話はやめて。黒歴史というや闇歴史なんだから。」
「主神の奥さん的立場なんだから、そう呼ぶのが本来だと思うけど…好きなんじゃないの。」
「知っているとは思うけど、本来、感情はない…からね。これも模倣だし。今も膨大な情報を飲み込んでいるし、それは私も主神も同じ。他の人たちは、私たちからの情報連結で存在補強しているし。」
「もちろん、知っているわよ。でも、その模倣でもここまで話せるんだから、いいじゃない。あれも人としての範疇は超えちゃっているんだし。」
「これを最初に見れば、今のあなたの本体だと言っても、人型としか思えないわよねぇ~、クラゲみたいに見える、アレがってね。」
「クラゲじゃない。まん丸いお月さまのようじゃない。」
「地球にある衛星のことか。」
「そうよ。」
「今、1つしかないけれど、もう1つはどこへ行った?」
「知らないわよ。飲み込まれたんじゃない?」
「全く、特異点はよく分からない。さすが、周囲とは違う流れを持っている場所だけはある。」
「特異点は、封鎖しているから分からないはずよ。」
「よくばれないわね。三重構造もばれていないようだし。」
「苦労したもの。特異点の先を隠すのは。」
私は、水槽の方に手を伸ばし、
「現在の空間構造を表示。」
というと、目の前の球体が消え、元々の宇宙空間が表示された。
特異点。それは、ブラックホールの中心で重力が限りなく重くなり、光さえも脱出不可能と言われる先の部分。先にはホワイトホールがあって、引き込んだ光などを放出すると言われているが、現在も発見には至っていない。
「見つかる訳はないのよね~。元々の宇宙構造がそうなっているんだから。」
「終端宇宙か…」
「そっくりでしょ。私の本体と。」
「そうね。あなたの本体に似せたんだっけ?」
「最初はね。今は全然違うけど。」
「脱線しすぎ。眷属の半分は、あなたと一緒に来た奥さまたちよ。ともえがあなたのために集めた逸材。早かれ遅かれ、屋敷へ集結するはず。」
「もしかして、家族もろとも?」
「ええ、家族もろともよ。しかも、一部は親戚一同移住とか。奥さまたちを除くと、眷属数は100を超えるわね。」
「ねぇ、私の使命。本当は秘密なんだけれど、秘密じゃなくなっているような気がするのはどうなの?」
「夜見君は、極秘で話すこと自体ができないようになっているけれど、あなたのはちょっと違うじゃない。」
「それはそうなんだけれど、なんだか釈然としない。」
「ふふ。」
「笑うな。」
「どうする、私のところへ来る?」
「そうね。たまにはいいか。」
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