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第10章 大事な記憶と魔法のお話
99 神殿という名の処刑場
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何かを嗅がされ意識が落とされた私が起きたのは、おかしな部屋の中だった。
廊下側には格子状の柵があって、それ以外の場所は全て石壁のようだ。
広さは、奥行きが私の身長くらい。左右の壁は手を広げれば届く。奥行きの4分の1くらいかな。
高さはよく分からない。
この部屋の中にも、あの3本の線があった。
赤、青、白。
でも、ここの線は何も流れていないようで、線の太さも細い。脈動感はなかった。
ただ、部屋の中に3本以外の線があった。
これも3色3本。
緑、茶、銀。
この6本の線が、床だけではなく、3方向の壁も格子にも描かれていた。
天井があるかどうか分からないくらい高いところにも描かれているようだ。
部屋は薄暗い。
起きても時間の経過が良く分からなかった。廊下に面しているとは言え、何も聞こえないから変化に乏しいのも理由としてはある。
何もすることがないので、足を抱え込んで格子の横の壁に背中を預け、廊下を横目で見ていた。
後ろの方から靴音が近づいてきて、私の部屋の前で止まった。
来たのは、2名。
そのうちの1名は、奥の院で私に何かを嗅がせた神官だった。
その神官は、私の方を見て、こう言った。
「ようこそ。神殿の奥の院。特別室へ。あなたを私たちは歓迎します。あなたの存在は、この世界にとって特別なものです。ここでは、あなただけにしかできないことを行ってもらいます。あなたの要望にできるだけ答えますので、なんなりとお申し付けください。なお、あなたのご両親もこちらに滞在されています。あいにくと、この奥の院は聖女が許可したものだけしか入ることができませんが、ご両親もご不快のないように、誠心誠意、お世話をさせていただきます。」
丁寧な言葉を言っているけれど、あの広場で私にしたことを考えれば、絶対裏がある。
同行していたもう1人の神官の言葉がそれを裏付けた。
「まぁ、分かっていると思うけどよ。お前の両親は人質だ。お前が俺たちの言うことに従わないなら、両親はどうなるか。いやいや違ったな。こちらが要望したことに”合意”しない場合だ。おっと、これは内緒だったか。聞かなかったことにしてくれよ。」
なんとも、馴れ馴れしい。
でも、私は人質を取られた状態で、神官の意思に沿って何かをしないといけないらしい。
3本の線から感じた、嫌なもの。
広場の噴水で感じた、死
そして、合意という名の強制。
馴れ馴れしい神官が、裏の顔を見せない神官にたしなめられている。
そして、廊下と反対側の壁を見ろと言われる。
その壁が透明に変わった。
壁の中には、木の板が多く貼りつけられていた。
その隣には、黒い板。
透明の壁にも赤・青・白の線が無数に描かれている。
それも、今は色だけ見える。何も流れていないようだった。
これが何だか分かるか?と言われても分からないとしか言えなかった。
「では、身をもって教えてやろう。上から輪のついたヒモが下りてくる。その輪に両手首を入れろ。」
その言葉と共に、天井の方からヒモが降りてきた。
言葉通りに、輪に手首を入れると、そのヒモは巻き上げられ、私も吊り下げられるように天井からその上へ移動していく。
手首だけじゃない肩も痛い。そう、喚いても何も言われず、何も改善されずに運ばれていく。
着いた先は、球状の部屋。そこで、手足を広げた状態で固定され、球状の部屋に取り残された。
球場の中にも3本の線があり、それらは少し光を放っていた。
「ここはどこか、教えてやろう。」
そんな言葉と共に、部屋の中に広場の展望席から見えた光景が映し出された。
「これは、今の広場の噴水の映像だ。映像というのは、これを遠くから見ることができるようにした神の技術の1つ。今から、お前にある術を放つ。それを受けたら、噴水はどうなるか。よく見ていることだ。」
バチッ、バチッ...ガリガリガリ
嫌な音が鳴りだし、キィーンという音の後に身体に衝撃が走った。
息が止まり、何とも言いようがない気分になる。
自分の体から、何かが吸い取られるような感覚とともに、噴水の水の色が様々な色になる。
そう、私が広場で見た噴水の色と同じように。
私は知ってしまった。
あの噴水の裏では、私と同じように命を吸い取られている人がいることを。そして、それはきっと聖女。私の従妹だった、あの人なんだろうと。
***
何が起きた?
エリーは、今箱庭を操作してある場所に向かっております。
場所の指定をしたのは、王様...いえいえお父様です。睨まれた。
なんでも、これを見逃すと次はないとかで、あの子を救うよりも大切な事なんですか!
と抗議したら、
「そうだ。これは貴重だ。きっと、救出にも役に立つことは間違いない!」
と断言されてしまった。
仕方がなく、移動中です。
そうしたら、箱庭が揺れたんですよ。揺れたの!
幸い、街への被害はなかったものの、私の動揺が激しすぎて、一時的に操縦をあの方にお願いしています。
結界の維持は、私とあの方、王子...はいはい、兄と弟、妹ができますけども、操縦は私とあの方がプロ級(自己主張)。兄は、まあまあ。弟はなんとか。妹はまだまだ。お母さまは、握らせず。お父様は、乱暴なんだそうです。
結果的に、私がメイン。あの方はサブドライバー兼オペレーターです。
助手席には、私が座りたかった。
いやいや、それはなにかが違う。
そうそう、揺れたんでした。
なぜ揺れたか...それは並走しているお三方の影響でしょうねぇ~
赤、黒、白。
とてもでっかい龍のお出ましでした。
廊下側には格子状の柵があって、それ以外の場所は全て石壁のようだ。
広さは、奥行きが私の身長くらい。左右の壁は手を広げれば届く。奥行きの4分の1くらいかな。
高さはよく分からない。
この部屋の中にも、あの3本の線があった。
赤、青、白。
でも、ここの線は何も流れていないようで、線の太さも細い。脈動感はなかった。
ただ、部屋の中に3本以外の線があった。
これも3色3本。
緑、茶、銀。
この6本の線が、床だけではなく、3方向の壁も格子にも描かれていた。
天井があるかどうか分からないくらい高いところにも描かれているようだ。
部屋は薄暗い。
起きても時間の経過が良く分からなかった。廊下に面しているとは言え、何も聞こえないから変化に乏しいのも理由としてはある。
何もすることがないので、足を抱え込んで格子の横の壁に背中を預け、廊下を横目で見ていた。
後ろの方から靴音が近づいてきて、私の部屋の前で止まった。
来たのは、2名。
そのうちの1名は、奥の院で私に何かを嗅がせた神官だった。
その神官は、私の方を見て、こう言った。
「ようこそ。神殿の奥の院。特別室へ。あなたを私たちは歓迎します。あなたの存在は、この世界にとって特別なものです。ここでは、あなただけにしかできないことを行ってもらいます。あなたの要望にできるだけ答えますので、なんなりとお申し付けください。なお、あなたのご両親もこちらに滞在されています。あいにくと、この奥の院は聖女が許可したものだけしか入ることができませんが、ご両親もご不快のないように、誠心誠意、お世話をさせていただきます。」
丁寧な言葉を言っているけれど、あの広場で私にしたことを考えれば、絶対裏がある。
同行していたもう1人の神官の言葉がそれを裏付けた。
「まぁ、分かっていると思うけどよ。お前の両親は人質だ。お前が俺たちの言うことに従わないなら、両親はどうなるか。いやいや違ったな。こちらが要望したことに”合意”しない場合だ。おっと、これは内緒だったか。聞かなかったことにしてくれよ。」
なんとも、馴れ馴れしい。
でも、私は人質を取られた状態で、神官の意思に沿って何かをしないといけないらしい。
3本の線から感じた、嫌なもの。
広場の噴水で感じた、死
そして、合意という名の強制。
馴れ馴れしい神官が、裏の顔を見せない神官にたしなめられている。
そして、廊下と反対側の壁を見ろと言われる。
その壁が透明に変わった。
壁の中には、木の板が多く貼りつけられていた。
その隣には、黒い板。
透明の壁にも赤・青・白の線が無数に描かれている。
それも、今は色だけ見える。何も流れていないようだった。
これが何だか分かるか?と言われても分からないとしか言えなかった。
「では、身をもって教えてやろう。上から輪のついたヒモが下りてくる。その輪に両手首を入れろ。」
その言葉と共に、天井の方からヒモが降りてきた。
言葉通りに、輪に手首を入れると、そのヒモは巻き上げられ、私も吊り下げられるように天井からその上へ移動していく。
手首だけじゃない肩も痛い。そう、喚いても何も言われず、何も改善されずに運ばれていく。
着いた先は、球状の部屋。そこで、手足を広げた状態で固定され、球状の部屋に取り残された。
球場の中にも3本の線があり、それらは少し光を放っていた。
「ここはどこか、教えてやろう。」
そんな言葉と共に、部屋の中に広場の展望席から見えた光景が映し出された。
「これは、今の広場の噴水の映像だ。映像というのは、これを遠くから見ることができるようにした神の技術の1つ。今から、お前にある術を放つ。それを受けたら、噴水はどうなるか。よく見ていることだ。」
バチッ、バチッ...ガリガリガリ
嫌な音が鳴りだし、キィーンという音の後に身体に衝撃が走った。
息が止まり、何とも言いようがない気分になる。
自分の体から、何かが吸い取られるような感覚とともに、噴水の水の色が様々な色になる。
そう、私が広場で見た噴水の色と同じように。
私は知ってしまった。
あの噴水の裏では、私と同じように命を吸い取られている人がいることを。そして、それはきっと聖女。私の従妹だった、あの人なんだろうと。
***
何が起きた?
エリーは、今箱庭を操作してある場所に向かっております。
場所の指定をしたのは、王様...いえいえお父様です。睨まれた。
なんでも、これを見逃すと次はないとかで、あの子を救うよりも大切な事なんですか!
と抗議したら、
「そうだ。これは貴重だ。きっと、救出にも役に立つことは間違いない!」
と断言されてしまった。
仕方がなく、移動中です。
そうしたら、箱庭が揺れたんですよ。揺れたの!
幸い、街への被害はなかったものの、私の動揺が激しすぎて、一時的に操縦をあの方にお願いしています。
結界の維持は、私とあの方、王子...はいはい、兄と弟、妹ができますけども、操縦は私とあの方がプロ級(自己主張)。兄は、まあまあ。弟はなんとか。妹はまだまだ。お母さまは、握らせず。お父様は、乱暴なんだそうです。
結果的に、私がメイン。あの方はサブドライバー兼オペレーターです。
助手席には、私が座りたかった。
いやいや、それはなにかが違う。
そうそう、揺れたんでした。
なぜ揺れたか...それは並走しているお三方の影響でしょうねぇ~
赤、黒、白。
とてもでっかい龍のお出ましでした。
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