約束の続き

夜空のかけら

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第10章 大事な記憶と魔法のお話

105 あっちもこっちも総力戦(上流側)

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駆け下っていくエネルギーの量は、この箱庭の結界を吹き飛ばす規模という事で、皆さんに協力を要請する羽目になった。
 最初に動いたのは、龍たち。元々、この箱庭のことも私の事も、救済民としての住民のことも知っているから、溢れ出そうとしているエネルギーが世界を生み出す規模の途方もないことにすぐに気が付いた。
 パスラインだけを見ていた私は少し出遅れた感じだったけれど、あの人だけではなく、救済民の中にも様々な経歴の持ち主がいたことで、次々にパスラインからエネルギーを圧縮。結界にも余剰分を流すことで、補強とパスラインへ流れるエネルギーの量を減少させる予定。
 ただ、世界を創ると言われる創世神・・・神々の上に位置する者たちにも匹敵するエネルギー量は尋常ではなかった。
 
 パスラインの先、こことは異なる世界の方でもあり得ないほどの障壁が構築されているのは、すぐに分かった。何しろ、世界の境界に当たる部分からのエネルギー量が周囲の空間を歪ませるくらいもの凄いことになっていたからだ。
 野次馬で来ていた箱庭の結界にも、こちらからエネルギーを流して、補強と影響軽減のお手伝いをしてもらっている。
 当初のエネルギーの1%程度まで抑えることができても、時間的制限があり、事実上無制限のエネルギーだから、全く安心できない。
 王様から連絡が入ったのか、周囲に増えるサポート人員。
私の中にいる、あの子のお姉さんも周囲のエネルギーのあおりを受けて、実体化するほどの状況。こちらは、本体近くで話しかけるなど落ち着かせようとしているらしいが、あまり効果は出ていない。
 本体という身体はあるけれど、そこにはあの子の意思などはない。ただの姿だけだから。
呼びかけに応じないのは、不思議でも何でもない。

 向こう側で体を失えば、パスラインの逆流でこちら側に来るかもしれない。
ただし、その時は余波であちら側が消滅するかもしれない。もちろん、その時の余剰エネルギーは、こちらで引き受けざるを得ないのだけど。

 創世の女神としては、双子で1つの世界構築に必要なエネルギーをもっていたはずが、諸般の事情から1人となり、かつ、自身に封じられていた魔力その他の力を取り戻す過程で、世界1つ分をはるかに超えるエネルギーを有することになったのは、偶然の連続だった。
 時間凍結された世界を再度、蘇るレベルまで持っていったのは、エネルギー量だけではなく、エネルギーを与える方法にも世界に合わせた方法があるからだ。

 一気にエネルギーを運び入れたとしても、一時的に全てを溶かすだけで、その世界の意志を呼び起こすことにはならない。何度か、何回か、同程度のエネルギーを打ち、そのあとにかなり強いエネルギーを与える必要がある。
 ちょうど、人を起こそうとして身体を数回、揺すって起こそうとしたけれど起きなかったので、その人をベッドから床へ突き落したという感じ。
 一種のショック療法か。

 あの世界の住民は既に世界から去っていったあとだったが、最初の時を迎えるために遡っていた時の想いは、時間や空間の関係なく、創世の女神としての力に溶け込み、力がさらに増大していた。

 今回は、起こるべきして起こった側面もある。
発生確率が高まったことから、事前に行動を開始したものの、結果的に後手に回ってしまっている。
他の箱庭やじうまにも、協力を求めているのがその証拠だった。

 お父様…金龍が本気を出せば、あっという間に解決になるのだろうけれど、如何せん力場コントロールが非常に難しく、あっちの世界に介入すれば、完全崩壊は免れない。

 とは、言うものの一区切りついたら、完全崩壊&ここの箱庭の衛星にでもしてしまうんだろうけど。いわば、別荘扱い。
 
 さて、こっちはこっちで、余剰エネルギーを結界に回す、別の世界へ殴り込みをかけるから、境界障壁の展開…いっそのこと多重層障壁の一部を円錐形にして、衝角のように向こうの結界を壊しながら乱入するのはどうでしょう。

 なんだか、楽しむになってきた。

 あの人に、真面目にやれ!と叱られた。

 こんなことでもないと、こんな滅茶苦茶なものに対処できないわよ。いいじゃない。ちょっとだけ現実逃避しても。

 私の今の仕事は、箱庭の制御と結界の維持、本体との間のパスラインの監視とこれから乗り込むための境界障壁の展開と次いでの衝角の生成。
 わぁ~衝角の生成が重い。自業自得か。

***
 うーむ。まさか、こんなに物凄い状況になるとは思わなかった。これは、一段落ついたら、私が最終決断をするしかないな。
 少しいそいで、根回しをするか。

 傍観者もつまらないとは思ったが、今回の件は、今後の教訓にしておこう。

 さてと、動くか…
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