約束の続き

夜空のかけら

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第10章 大事な記憶と魔法のお話

104 あっちもこっちも総力戦(下流側)

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パスラインが一気に輝きだしだ時には驚いた。そもそも、これはいつ出来上がったのだ。さっきまで何もなかったはずだ。
 しかし、これは好機だ。このパスラインから流れてくるエネルギーを取得できれば、もっと上の存在になれる。神々と言われる存在ではなく、唯一の神。神々の王と呼ばれる者に。
 試しに、輝いているパスラインに触れ、その輝かすエネルギーを吸い込もうとしたところ、弾き飛ばされた。なぜ、弾かれたのか分からないまま、もう一度パスラインに触れてみた。
 2回目は、弾き飛ばされることはなかった。だが、触れているところから、こっちのエネルギーが吸われている。存在が怪しくなる恐怖心が起きた。
 パスラインから触れたところを離そうとしたが、離れない。少し強引だったが、離れなかった部分を切り離して離れてみると、接触していた部位が、黒くなったかと思えば、次の瞬間閃光を放って消えた。

 このパスラインは危険だと認識したからには、ここから立ち去らないと俺の存在が消えるという自体になりかねない。
 しかし、パスラインから細く淡い線が既に俺に絡みついていた。どうやら、俺の神格化を奪おうとしているようだ。
 遥かな昔、人格者と言われるほど世界の者たちから賞賛を浴びていた。ある時は、勇者とあの世界に蔓延る魔物を討伐。ある時は、人族と他種族の争いを治めたりしていた。
 その貢献度から、神になる資格、神格が与えられた。

 神格は、神になる資格のことを指す。その後、自らのエネルギー取得として、世界からの祈りなどを得ないと、その存在は小さくなり消えてしまう。
 効率が良い方法は、俺を奉る神像を作り、それを神聖なものとして広めることだ。人々の生活必需品と組み合わせれば、一層の信仰を得るのはたやすいだろう。
 人々だけではなく、王族や貴族などからも信頼を得ると同時に、特殊な販路を持てば、大陸両端で作られる貴重な物を高額で売りつけることができる。

 そうやって、何百年も何千年も力を付けてきた。
恨みや妬み、人には負の感情がある。過去には、この負の感情を一手に引き受けた結果、魔王となっていたことがあったが、俺はそこに一手間加えることで、この負の感情を発生させることなく、エネルギーを根こそぎ奪っていた。

 それがどうだ。
1人の持つパスラインで俺の神格が消えそうになっている。
神格が失われてしまえば、俺の身体はここから地上に落ちることになる。無論、地上では、俺の身体は、とっくに失われている。
神格を喪失&地上に墜とされる=人格に変化&身体がない私は、あっと言う間に寿命をなくし、死亡。

輪廻転生の輪に戻るという事だ。なんとか、それを回避しようとしていたが、突然の声と共に気が遠くなっていくのが感じ取れたのを最後に、完全に神格が失われてしまった俺は、地上へ墜とされた。

「人であった時は、誰よりも優秀であったのに、神になったと同時にその者たちを自分のコマとしか思わない汝が招いた結果だ。神格を奪ったとしても、最後まで付き合ってもらうぞ。」

***
 この世界の意志です。私に課せられたのは、この世界の維持です。ですが、不本意ながら私はここまでのようです。物凄いエネルギーを感知しました。こちらは下流側のようです。
 地上にいる女の子との間の1本のパスラインで、この世界は粉々になり、彼女に吸収同化するようです。私もその子に統合。消滅していく運命なんで…え?まだ、諦めるな?
 覚悟はできているんです、邪魔しないでください。

*****
 こっちは、世界の意志など関係なく、管理者としての責務を果たそうと、パスライン上に数百枚の結界・境界結界などを置いて、防衛の地固めをしているのに、寝言を言っている場合か。
 こんなに訳の分からない事態になるなんて、聞いていないぞ。本来、空間維持以外の事は、配下たる者に任せ、こっちは関与しないことになっているのに。
 とりあえず、こっちは障壁担当。3人のうち、残り2人は、この世界存在する全ての生命体等の流し先をおおざっぱに決定している最中だ。
 この世界への来訪者は、全員、出発地へ戻す。こちらは、既に話が付いていて、パスラインからのエネルギー消費のため、同時に送還する予定。
 大規模な転送装置を使うことによって、他の生命体を強引に地上とこの世界から引き抜き、系統中間の保留地に入れるのも決まった。
 あとは、小さくなってもこの世界が保持できればいい。

 無理かも。すごいのがいる。あっちは、龍までいるってことは、こっちの陣営じゃ、どうしようもないってことか!
 私も左遷かな。
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