上 下
36 / 112

36 飛鳥印刷所

しおりを挟む
印刷所まで来た。
ギルドから徒歩で10分の所にある。
扉を開けて中に入ると、店員さん?がカウンターに座って何かをしていた。
店員さんは顔を上げて、お客さんだと思ったのか。

「いらっしゃい。何か入り用なものがあるのかい?」
「街ギルドの依頼を受けてきました」
「パンフレットの配達してくれる人かい」
「はい」
「悪いな、もう少し掛る。待っていてくれないか」
「はい」

店の奥の方で、ガシャコンガシャコンという音がする。
印刷しているのかな。
魔法の世界だったはずなのに。
科学文明の影響?
どうなんだろう。

「あの~、中を見せてもらうことはできますか?」
「印刷しているだけだよ。面白いとは思えないけれど?」
「それでも見てみたいです」
「そうか。いつもなら見学もいいのだが、締め切り間近なので今日は勘弁してくれ」
「わかりました。残念です」

残念だった。
どういう風に印刷しているか知りたかった。

それを見ていた店員さんは、それならという感じで提案をしてきた。

「明日ならいいぞ。依頼のお礼も兼ねて来てくれ。歓迎する」
「え!ありがとうございます」

やったぁ~。
言ってみるものだね。

そして気づいてしまった。
“明日”

明日もこの世界にいることができるのか?
そもそもこの世界からログアウトはどうやるのだ?
しおりを挟む

処理中です...