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45 帰省

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面倒くさかった。
久しぶりに帰省儀式が。

山の中腹に設けられた秘密基地じゃなくて、秘密駅から実家を目指す。
とは言っても、秘密駅自体が実家の敷地内にあるからすぐに家が見えてくる。

「うーーーーーーん。帰ってきたなぁ~」

思わず伸びをしてしまう。
都会の空気も悪くはないけれど、故郷の空気はとってもいい。
何となく守ってくれるという感じがする。
凄くする。

実家に着き、カギは掛かっていないのでそのまま中に入る。

「ただいまぁ」

誰かいるかな?

しーん

誰もいなかったようだ。
残念。

「お帰り~。今、神社で定例会しているから、出来れば来て」

玄関にあるインターホンから声が聞こえてきた。
この町では、各家庭が玄関と居間にインターホンみたいなのが設置してあって、それを使うと誰かとお話ができるのだ。
誰か…というのは、神社にいる人ってことになるのだけれど。

「じゃあ、荷物置いたらそっちへ行く」
「はい。待ってるわ。お婆ちゃんもいるわよ」
「うん。またね」

そういうとインターホンからの声は終わった。
玄関を上がり、居間を通り過ぎて、2つの部屋を突っ切って、自分の部屋に。
全然変わっていない。
ここを出ていったときのまま。
帰省は何回かしたよ。
でも、片付けしないで行ったもので、部屋がちょっとごちゃごちゃしてるな。

荷物を置いて、部屋の中にあった自分専用のロッドを握って、町の中心にある神社へ向かうことにした。
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