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47 世界樹の1年は、地上の25年

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お婆ちゃんの後ろに続き、奥の間へ移動する。
一郎さんの視線を感じる。
どこを集中的にという訳では無くて、全身をじっくり見ているような感じ。
グリーンとの差を計られているのだろうな。
グリーンとは、身長と体格が違う。
あっちの方が高くて格好が良い。
冒険をしていることで、身体が引き締まっていった結果だったし、こっちは基本的にデスクワークだから鍛えようがないのよね。

奥の間についた。
周囲を白い幕で囲まれている不思議な場所。
入った途端に空気が柔らかくなった不思議な雰囲気がある。

「直ぐにでも行くのかい?」

お婆ちゃんがともえ様に聞いている。

「ええ、早い方がいいと思って」
「事情説明はしないのかえ」
「事情説明は不要と思うわ。既にキャラクターで融合異世界の巡視に行ってもらっているもの」
「そか、じゃがここと上とでは時間の流れが違うのは、あらかじめ説明が必要かと思うのじゃが?」
「あ~あ~、そうね、それもあったわね」

時間の流れが違う?

「時間の流れが違うというのはね、上…世界樹での1年はここ地上での25年に相当するのよ。単純に25倍速いスピードで地上が過ぎるということ。世界樹での1日はここでの25日という感じね」

それを聞いた一郎さんは、

「全然感じなかった。地上と同じだと思っていた」

とびっくりしている。
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