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80 風に乗るお婆ちゃん

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連絡は静野さんの個人携帯で役場に連絡を入れてもらった。
そうしたら、ちょっと待っていてということになった。
残念。
電動自転車の威力を体感してみたかったのに。

「神社の周りを走ってきたら?田んぼには落ちないようにね」
「そうする」

提案に乗り、電動自転車を転がして神社の外へ。
放射状に伸びる道とそれと交差する道のうち、一番内周を走ってみる。

うーん爽快爽快。
良いわね、こういう乗り物も。
ママチャリもいいけれど、新しく買ってみようかしら。



慌ててブレーキ。
田んぼに落ちそうになった。
山の方から一際強い風が神社方向に吹いたのだ。
この位置関係は、役場かな?

電動自転車に乗り直して、神社へ向う。
神社の鳥居付近にお婆ちゃん発見。
やっぱりさっきのはお婆ちゃんだったのね。

たぶん、風に乗ってきたのだろう。
不思議だけど、不思議さを感じさせない不思議な人。

「お婆ちゃん」
「おや、田んぼに落ちなくて良かったな」
「落ちそうになったけど、大丈夫だった」
「我に用事があると聞いたが」
「ここで話すのも何だから、中で」
「そうじゃな」

2人して神社内の応接室へ行く。
静野さんに出迎えてもらって、お茶とお茶菓子までもらってしまった。
用意がいいなぁ。
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