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82 拘束100年以上

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「みどり、混乱していると思うがしばらく静かにな」
「はい」
「ともえ、建造は時間が掛る。しかも、パートナーを決めて建造する場合、その一定期間は同じ場にいる必要が生じる。つまり、おまえはみどりを拘束することになる。その辺り、どう考えていた」
「ちょっとだけだからいいかなぁって考えていました」

ともえ様がガチガチな敬礼をしながら言っている。
お婆ちゃんが怖いのかも。
しかし、ともえ様が私を拘束するってどういうこと。

「当然、卵も排出させて母体にするつもりだったんじゃろ」
「はい。こっそりやって、こっそり終わらせてしまえばいいと思いました」
「バカモノ」

お婆ちゃんがともえ様にゲンコツ。
かなり怒っているね。
実力行使、物理攻撃を滅多に見ないから驚いた。
でも、ともえ様はそんなに痛くないみたい。

「いて」
「みどり。ともえはみどりを拘束して卵子を拝借してみどりだけの救済船を作ろうとした。そのために封じられている記憶を開放させた。それが魔法陣の技術だ。救済船は高度な魔法技術と一定レベル以上の魔力、科学技術、生命技術や魂魄制御の結晶だ。卵子摘出から一定期間までの成長に掛る時間は個体差があるが天界で概ね100年単位で時間が掛る。天界1年地上25年という時間差を考えれば、一度拘束されてしまえばこの町に戻ってくることは叶わなかっただろう」
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