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76 便利魔法

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「火系は点火というものです。安全に火を付けるという意味ですね」
「普通の火系の魔法じゃだめなのか」
「威力が違いすぎて、逆に危険になってしまいます」
「そんなもんかねぇ~」
「水系は浄水となります。汚染された水などを綺麗にする魔法です」
「毒が入っていても…」
「浄水で毒は消えます」
「なるほど」
「風系は換気。汚染空気を外へ出し、綺麗な空気を外から取り込みます。地系は基礎というもの。家屋を建てる際の地盤改良魔法です。滅多に使いませんね。ただし、でこぼこしている場所を平坦に変えるなんていう使い方をする人もたまにいます」
「地系は難しいね」
「時間系は時計というもの。そのままですが、時間が分かるというのは重要です。ゲームの場合は、デフォルト設定で任意の場所に時計を置くことができますから、こちらの使い道はありません」
「HPやMPと共に常に表示状態になっている?」

よく見れば、時計の表示はなかった。
どこへいったのか。

「ステータス」

何もでない。
あれ?

「これです」
「あ、出た」

思考サポートが俺の行動を予測して、勝手に動いて非表示だった時計を“常に表示”に切り替えた。
なんとなくほっとした。
しかし、思考サポートって勝手に動くのか。

「空間系の生活魔法は、アイテムボックス。異次元に四次元ボックスのようなものです。ただし、こちらのアイテムボックスは容量が少ないためか使われることがなくなった逸失魔法となっています」
「便利そうだけど、廃れたのか」
「ロウソクが2、3個しか入りませんので」
「それは廃れそうだ」
「魂魄系は、鎮魂となっています。祈れば、これが発動します。ただし、アンデット等には効果がありません」
「祈るのか」
「お葬式などには多用されるものです。便利です」
「そんなもんかねぇ~」
「普通の場合は使いにくく、そもそも使える人も限られる創造魔法でも生活魔法レベルでは、フードの魔法があります。そのままの意味で、使うと小さなパンを取得できます。基本的に、餓死することがないものです。便利ですが、実はパン以外にも出てくる方法があります」
「パン以外?何が出てくるのか」
「お菓子です。ただし、ランダムなので何が出るのかは謎だったりします。お菓子以外もありますが、こちらは頻度が格段に落ちます」
「餓死しないけど、水も欲しいね」
「水系の魔法を使えばいいのでは?」
「いや、まぁそうなんだろうけど」
「以上となります」
「魔力を高めて生活魔法を使うと大規模なものにならない?」
「生活魔法は、微量の魔力で発動しますが、魔力を多く消費しても得られる魔法効果は、微量の時と変わりません」
「大量の魔力がムダになる。そういうことか」
「その通りです」
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