【完結】いわゆる婚約破棄だったが、見ているだけではない。

夜空のかけら

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75 神々の戯れ→運営② 創造者は、世界を思う

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私は、プログラマーである。

いや、シナリオライターとも言えるか。

私が想像した世界を、他の人たちにも知ってもらうために、その登場人物、背景、行動パターンなどの全てを創っていく。

想像世界を創造して、世に送り出すのだから、見方を変えれば、“創造の女神”になるのかもしれない。

女神なんて自分で言うほど綺麗じゃないし、年もそれなり。

今さらな話。


私が得意とするジャンルは、多岐にわたっている。

女だから、乙女ゲームが得意かと言われると、そんなことはない。

むしろ、この年になって、そんなゲームは作るのは、恥ずかしい。

しかし、そんなゲームが女性には大人気なんだから、微妙な感じもする。


そう、女性だ。


女子という名の学生に人気ではなく、社会人として働いている人にも人気があるのだ。

きっと、会社などでストレスが溜まって、その憂さ晴らしでゲームを楽しんでいるのだろう。


ネットゲームは、ファンタジー系が圧倒的に多い。


これは、自分で自分を鍛えることを容易にでき、成長も行動も制約があまりないことが要因だと思う。

一方、育成系はネットゲームにしにくい。

育成相手は、限られた人物になるし、ログインした全員が同一人物の育成ができる訳ではないからだ。

そんな風にできるならば、それはネットゲームというよりスターンドアローン、独立したゲーム。

自宅のPCにゲームをインストールすることと違いは無い。

ネットにするだけ、運営側に負担が増すという、益もないものだ。


ゲームは、課金を多く利用してもらえば、ありがたい。

もちろん、お金を使ってくれない、無料部分が多いゲームだと、早いうちに終わりが来る。

ゲームが終わる。

それは、今まで手に塩をかけた者たちが消えることと同義だ。

所詮は、ネットゲーム。

データだけの存在を消すことは、意外に簡単にできる。

データーセンターのサーバーを熱暴走させたり、非常用電源が使えない状態で主電源を落とせば、データが飛ぶ。

巻き戻しというものもある。

しかし、完全な巻き戻しはどこにもない。

何かが違うかもしれない。

でも、それを復旧することは無理だろう。


でもでも、私が創造した世界も消えることになる。

悩んだよ。

とっても悩んだ。

世界を消さないための方法を。

私が想像した。創造した世界。

いつまでも、いつまでも存在していてほしい世界。

よく、ゲームの世界に転生した。

このゲームはやりこんだから、その通りになると言われる。

ふと、この方法を利用できないかと思い始めた。

でも、現実世界では普通の人。

創造の女神なんていう、もの凄い存在ではない。


でも、悩んだときの神頼み。


なんとかならないかと思いながらも、神社仏閣教会に寺院に行くことが目的になっていた。

国内だけではない。

国外にも積極的に出て、一番の悩みを神々に頼みに行く。


ある時だ。

夢に不思議な人物?が出てきた。

その者は、ある世界の創造神だと言う。

ある世界が何であるかは、言ってくれなかったが、その後の話で確信したことがある。

私の世界だ…と。

その神は、私の命と引き換えに、その世界を消えないようにしてくれると言う。

命と引き換えなんて、神ではなくて悪魔かと一瞬思ったが、望んだものを実際のものにしてくれる存在が現れたのだ。

この機会を逃す手はない。


「命を差し出します。世界を消さないようにお願いします」

結局のところ、世界が消えたか存在し続けたかどうかは、命がなくなれば確認しようがない訳で、その点を失念していたのは、間抜けとしか言い様がない。


でも、それをその神は叶えてくれた。

いや、結局自分で叶える結果が生まれた。


神の眷属として、疑似神格を得るに至り、作った世界を現実に定着する方法を学んだからだ。


その方法は、意外なところに題材があった。

乙女ゲームに出てくる人物は、そのゲームをよく知っている人物。

すなわち、“現実世界からの転生者”である。

ここには、ゲームと知らずに存在する者たちも多い。

だが、そんな人も転生者にしたらどうだろうか?


前世の記憶は、ほとんどの場合で受肉した瞬間の衝撃で記憶が閉鎖される。

消える訳ではない。

なんらかの強い衝撃を受ければ、その閉鎖された記憶が呼び起こされる可能性はある。


現実世界から、ゲームの世界へ。


でも、どちらも現実であることに変わりはなく、どう捉えることで、行動もおのずと変わる。


そして、ネットゲームだ。

育成系のゲームは、特定人物の育成がメインになる。

その育成範囲を撤回したらどうなる?

一般的な令嬢・令息だけではない。

平民やその他の者の能力を向上させ、下剋上や成り上がり、英雄や勇者などの育成ができる世界なら、それなりの需要は見込めるのではないだろうか?


無論、普通のファンタジー系の行動も出来るようにする。

自分達が成長する過程で、ゲーム内の人たちと一緒に成長する。

成長するだけではない。

色々と便宜を図ったり、特殊な能力を与えたり奪ったり。

そうやって、ある場面に来た時に、それらの結果、何が起きるか分かる。

それは、それで楽しいのではないか?

もちろん、育成をしてきた者だけではない。

それを見学だけに来た者に取っても、自らが他人を育成してみようかと思うかもしれない。


だから、ネットゲームにログインしてくれる人たちには、育成権限を与えた。


育成相手の身分に囚われずに、育成できる権利だ。

ただし、一度に1人という制限を付け加えさせてもらった。

集中して、ゲームを楽しんでもらいたかったから。

しかし、その単独制限を逆手に取り、グループを作って複数の育成をする者たちが現れた。


同時に複数を変える。

それは、最終段階。

場面の終わる局面の崩壊に繋がるかもしれない。


でも、私が作った世界を楽しんでくれるということでもある。

現実となった世界にある者たちは、その出自がどうであれ、そこで過ごす者たちなのだから。



私、神々の眷属。世界の創造者。

私の協力者。いわゆる、運営。

その世界にいる者。別名“ノンプレイヤーキャラクター”。実際は、転生者。

ログインして来た者たち。ユーザー。アバターを使い、世界に在る者の育成を促すもの。

見学者。ログインしてきた者だが、育成に参加せず、成り行きを楽しむ者。

そして、冒険者。ログインするも、普通のファンタジー系ネットゲームをする者たち。


様々な者たちが、入り交じって、この世界を作っていく。

それが、現実の一部だと気がつく者がどれくらいいるのだろうか。


遊び?

現実?

あり得ない?

あらゆる世界は、そこに存在している。

その世界が、特定個人の作成した世界で、物語の終わりが描写されたとしても、そこに居る者たちの現実は続いていく。

世界が崩壊したとしても、描写されなかったとしても、時間は流れているのだ。

私は、この世界が無くなるその日まで、ずっと見ていようと思ってる。


寿命から解き放たれた私にできること。

命がなくなる=寿命がなくなる=不死ということに気がついたのは、いつだったのだろう。


感謝…しています。

今日も、世界を見つめている。

淡々と、それでいて、楽しみに。
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