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あの二人のその後
しおりを挟むここは罪を犯した女性が働いている織物工場。
セリーナとパメラは侍女たちへの暴行の罪で、慰謝料を払い終わるまでこの工場で働くよう裁判所に言い渡された。
「班長!5379番、5380番がいませんっ!」
「また、あの二人?どうせトイレか倉庫でサボってるんでしょ。探してきて。」
5379番、5380番と呼ばれていたセリーナとパメラは班長の推察通り、倉庫でサボっていた。
「もーっ!!毎日毎日機織りばっかりっ!!お母様、何とかしてよっ!!」
パメラは愚痴ばかり。何かと理由をつけて持ち場を離れ、こうやって作業をサボっていた。
セリーナも同じようなもの。
作業が雑で監督官の注意にも耳を貸さない彼女たちは、慰謝料の支払いが滞っていた。
「あのアルヴィンって男が現れてから全てが狂ったのよっ。全てはあの男を唆したシャルロッテのせいだわっ。」
「ふー、忌々しいわね、まったく。……そうだ!パメラ。」
何かを思い付いたのか、セリーナはキョロキョロと辺りを見回して誰も居ないのを確認すると、パメラの耳元で声を潜めた。
「今度、織物を買い取りに来る商人を誑かしてここを抜け出す手助けをさせましょう!」
「えっ!?脱走ってこと?」
「しーーっ!!そうよ。パメラほどの美貌ならその辺の商人なんて直ぐにいいなりよ。」
「……うん。分かったわ。カッコよく無くても我慢するね。」
悪巧みを思い付いた二人は顔を見合わせニヤリと微笑んだ。
かくして商人が織物工場へと訪れる日。
パメラたちは、また理由をつけて持ち場を抜け出した。
「あっ、あれよ。」
何人かの使用人たちを従え指示を出している恰幅の良い男性を発見し、二人はその男性に近づいた。
「あ、あの……。」
「なんだね?」
「実は私……騙されてここに入れられてしまったんですっ。助けてくださいっ。」
パメラは庇護欲をそそるよう、泣きながら男性にしなだれかかった。
急に話し掛けられて驚いた男性は、サッと身体を反転させてパメラを避けた。
「え?あっ……」
「勝手に触らないでくれ。」
急に避けられて、倒れそうになったパメラを支えながらセリーナは男性に懇願した。
「私たち母子は騙されてここに連れてこられたんです。どうか助けてください。」
「冗談じゃない。面倒事はごめんだ。ワシがお前たち母子を助けて、何か得があるのか?」
男性は顎を撫でながら二人を見定めるように眺めた。
「……あ、愛人になりますっ!!で、ですから、私を助けてください。」
一瞬の沈黙の後、男性はおかしくてたまらない、といった様子で大笑いした。
「わっはっはっ!嬢ちゃん、鏡を見てみなさい。嬢ちゃんはひどい顔だ。性格の悪さが滲み出ておる。こんな醜い愛人なぞいらんな。」
「ひ、ひどいっ!!」
そして男性はセリーナに侮蔑を込めた視線を送った。
「似た者母子だな。しかし、母親の方が年齢の分、尚更ひどい。よくその顔で愛人を申し出たものだ。」
すると、奥の方から班長の怒声が聞こえてきた。
「5379番、5380番っ!!持ち場へ戻りなさいっ!!」
班長に向かって男性は二人を指差した。
「この二人、ここに騙されて連れて来られたといって脱走しようとしておったぞ!」
「何て事っ!!5379番、5380番、貴女たちは暫く懲罰房へ入ってもらいますっ!!」
そしてぎゃあぎゃあ喚きながら、セリーナとパメラは懲罰房へと引き摺られていった。
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その後ありがとうございます😃
なんだかこの二人は、どんどん罪が増えていって返せなくなりそうですね❗返す気持ちが、無さそうだし(笑)残念親子です
ジン様~❤️
リクエストと感想ありがとうございます🎵
どうしても小物感のある二人なので、こんな結末です😱
返す気なさそうですよねー😆
面白かったですー!シャノンは生まれ変わるのでしょうか(笑)
それにしてもあの親子懲りないですねー…接触禁止にしてみたらどうですかね〜!
凛音様~🎶
感想ありがとうございます🎵
本当に懲りない二人です#(。>д<)
接触禁止……いいですねぇ
何もいいことないですものねー
確かにあっさり死ぬより
屈辱の場所で生かされる方が罰だと
思いまぁす😊🎶🌷
彼女たちが長生きしますように😎
青空様~🎶
感想ありがとうございます💖
( *´艸`)
確かに図太く長生きしそうな二人です😱
沢山の連載抱えてお忙しい中、コメントいただき感謝です😆