私は姉の婚約者を奪うような悪女じゃない!

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襲撃(サーフィス視点)

トルマト国との交渉で大きな成果を上げることが出来た。

ミアさんからの情報を元にトルマト国の病気や薬草の現状について調べると、トルマト国はかなり薬草の栽培が難しく、疫病が流行る度に周辺国の商人が薬草の値上げをするため、困窮していることが分かった。

「お前のような気弱な者が外交の舞台に同行するなど、外交部は何を考えてるんだ!他の国へ行っても恥を晒すだけだぜ。」

アーヴァイン殿下と側近達に取り囲まれた。
僕がトルマト国に行くのが気に入らないようだ。

「自分の意見もまともに主張出来ないくせに。他の者の足を引っ張るだけだ。早々に辞退しろ。」
アーヴァイン殿下は僕を見下したように命令してくる。

遠くには人も見えるし、暴力は振るわないだろう。

「力を振りかざして自分の言いたい事を言うだけなんて、殿下のお考えになっている外交は随分単純なのですね。」

言葉がするりと出てきた。
僕に言い返されるとは思っていなかったのだろう。殿下が真っ赤な顔で怒りに震えている。
ヤバい。
僕は人手のある方へと逃げるように走って行った。

初めて殿下に言い返せた。何だか興奮して今頃手が震えてきた。

その後は王宮で彼らに遭うこともなく、僕はトルマト国に出発した。

外交部ではトルマト国の領土拡大の目的は、薬草と一部の食物が入手しにくい事だと推察し、交渉に臨んだ。

我が公爵領である程度の薬草の備蓄などの協力を申し出ると、トルマト国の代表者の態度が急に軟化し、交渉が進めやすくなった。


トルマト国との講和条約の成果はカイル殿下のものになる。
これでカイル殿下が王太子になることが確実になっただろう。

帰国後は立太子に向けての準備が進められる。

それに合わせてアーヴァイン殿下の不正の捜査も大詰めだ。
彼らは第二王子派の貴族を集めるために王宮内のあらゆる資金を不正に蓄財していた。


第二王子派は焦りが出ていて今まで以上に身辺の警戒が必要だ。 



★★★



行きつけの楽器屋のドアを開けると、いつもの店主と違う男がぎこちない笑みを浮かべて迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。」
「あれ?店主は?」
「ちょっと出掛けておりますが直ぐに戻ってきますよ。」
「じゃあまた後でくるよ。」
ドアを閉めようとすると、男が慌てた様子で駆け寄ってきた。
「す、直ぐに戻りますから。」
男が半ば強引に椅子に座るよう勧めてくる。
仕方がないので、店で待つことにして腰を下ろす。

男がソワソワしていて落ち着かない。何だか不審なものを感じて、僕も警戒して辺りを見回そうとした。

その瞬間、

背後から口と鼻を布で覆われた。布には何かが染み込ませてあるのか、ツンとした刺激臭が鼻をつく。

皆が計画通り動いてくれているか、若干の不安を感じつつ僕は意識を落とした。
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