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20,或る騎士の羨望
パンデルム帝国の王城には、薬草のごとき疲労回復効果のあるシンシア王女がいた。
シンシア王女は少しふっくらとした女性らしい身体つきで、笑顔が弾けるように明るい。
「皆さん、訓練お疲れ様。これ良かったら食べてね。」
シンシア王女は自作のクッキーを人数分配りだした。
「はい。いつも、ありがとうございます。」
毎回、訓練を見に来ると、身分に関わらず全員に微笑みながら労いの言葉と甘い菓子の差し入れをくれる。
王女自らが私達騎士を気遣ってくれるのが嬉しかった。
「なぁー聞いた?シンシア様、ユリカ王国に行くらしいぜ?」
「えー。心配だな。大丈夫か?」
「幼い頃に会った事のある王子様が好きだったらしいぜ。陛下がずっとその事を覚えていたそうだ。陛下がシンシア様のためにユリカ王国の再建に手を貸そうとしてるらしいぜ。」
「陛下もシンシア様に甘いからな。」
「シンシア様可愛いもんな。幸せになってくれるといいな。」
隣国のユリカ王国に嫁ぐ事が決まり、王城の中はしんみりとした空気に包まれていた。
それでも皆シンシア王女の幸せを願っていた。
勿論、
…密かに想いを寄せる俺も…
シンシア様の婚姻に際し、同行する騎士や侍女が選ばれた。
こういった場合、帰れなくなる為、希望者は殆ど居ないのが普通だが、シンシア王女の人気のせいか、抽選するくらいに希望者は殺到した。
「お前は行かないのか?」
「母親の事があるからな。俺は残るよ。」
俺も行きたかったが、持病のある母親を置いては行けず、パンデルム帝国に残ることにした。
★☆★
シンシア様が嫁いでからというもの、陛下や皇后が深刻な表情をしている事が増えた。
何だか城の雰囲気がピリピリしている。
詳細は知らされていないが、シンシア王女に関連した事だろうと誰もが予想していた。
そして、
「シンシア様が重傷だ。」
「痩せてしまわれて、まだ意識もはっきりしないらしいぜ。」
「陛下が宣戦布告するそうだ。」
「会議があるぞ、集まれ。」
シンシア王女が急に怪我をした状態で帰って来た。意識もはっきりしていない状態で。
王城内で働く者達にあった
「シンシア様は大切にされてないのでは?」
という推測は確信に変わる。
怒りを含んだ思いを抱える騎士達は戦争への士気が高い。
騎士達は戦争に向けて、迅速に準備をはじめた。高い武力を誇るパンデルム帝国だ。騎士達は、各々が何をすべきか分かっている。
王城は緊張感に包まれ、ユリカ王国への侵攻を開始した。
武力の差は圧倒的でユリカ王国は数日で攻め落とされた。
そして、王城ではシンシア王女に同行したミゲルが、陛下へ婚姻の許可を貰いに奔走していた。
「ミゲルがシンシア様との婚姻を陛下に直訴したらしいぞ。」
「陛下が許可を出されたらしいぞ。」
騎士達が騒いでいる。
ミゲルはライゼンド公爵家の四男だ。
このまま騎士爵ではシンシア様の嫁ぎ先としては問題があるため、実家の持つ爵位を継ぐことになったようだ。
未だにシンシア様の意識ははっきりせず、後遺症が残るかもしれないと言われている。
城の雰囲気も暗い。
しかし、ミゲルは後遺症が残っても構わないと強引に許可を取ったと聞いた。
ミゲルは名家の出で、騎士としての実力もあり顔立ちも整っているため、令嬢からの人気は高かった。
しかし、夜会でも令嬢と踊ることもなく、最低限の会話しか交わさない。クールな彼は一部では女性に興味が無いのでは?と噂されていた程だ。
「シンシア様の意識がはっきりしてきたそうだ。後遺症も無かったらしい。」
「ミゲルが毎日通っているらしいぞ。」
シンシア様に尽くすミゲルの事が噂になっていた。
護衛騎士として、守れなかった後悔と贖罪の気持ちが強いのだろう。
シンシア様の元にフルーツを抱えて毎日通い、爵位を継ぐための準備、騎士を止める準備と忙しそうだ。
シンシア様が回復してきた頃、二人で王城を散歩する姿を見かけた。
「ミゲル、大丈夫よ。」
「シンシア、あまり長時間は……。」
「うふふ、心配性ねー。」
ミゲルがシンシア様を見つめる表情は優しくて、愛しくて仕方ないといった様子だ。
ミゲル…お前、そんな表情出来たのか?
シンシア様もふっくらとしてきて、幸せそうに笑う。華が開くようなふんわりとした笑顔は、俺達を癒してきた笑顔だ。
ああ、贖罪ではないんだと悟った。
ミゲルのように自分の手で幸せに出来ないのなら、せめてシンシア様の幸せを願おう。
シンシア王女は少しふっくらとした女性らしい身体つきで、笑顔が弾けるように明るい。
「皆さん、訓練お疲れ様。これ良かったら食べてね。」
シンシア王女は自作のクッキーを人数分配りだした。
「はい。いつも、ありがとうございます。」
毎回、訓練を見に来ると、身分に関わらず全員に微笑みながら労いの言葉と甘い菓子の差し入れをくれる。
王女自らが私達騎士を気遣ってくれるのが嬉しかった。
「なぁー聞いた?シンシア様、ユリカ王国に行くらしいぜ?」
「えー。心配だな。大丈夫か?」
「幼い頃に会った事のある王子様が好きだったらしいぜ。陛下がずっとその事を覚えていたそうだ。陛下がシンシア様のためにユリカ王国の再建に手を貸そうとしてるらしいぜ。」
「陛下もシンシア様に甘いからな。」
「シンシア様可愛いもんな。幸せになってくれるといいな。」
隣国のユリカ王国に嫁ぐ事が決まり、王城の中はしんみりとした空気に包まれていた。
それでも皆シンシア王女の幸せを願っていた。
勿論、
…密かに想いを寄せる俺も…
シンシア様の婚姻に際し、同行する騎士や侍女が選ばれた。
こういった場合、帰れなくなる為、希望者は殆ど居ないのが普通だが、シンシア王女の人気のせいか、抽選するくらいに希望者は殺到した。
「お前は行かないのか?」
「母親の事があるからな。俺は残るよ。」
俺も行きたかったが、持病のある母親を置いては行けず、パンデルム帝国に残ることにした。
★☆★
シンシア様が嫁いでからというもの、陛下や皇后が深刻な表情をしている事が増えた。
何だか城の雰囲気がピリピリしている。
詳細は知らされていないが、シンシア王女に関連した事だろうと誰もが予想していた。
そして、
「シンシア様が重傷だ。」
「痩せてしまわれて、まだ意識もはっきりしないらしいぜ。」
「陛下が宣戦布告するそうだ。」
「会議があるぞ、集まれ。」
シンシア王女が急に怪我をした状態で帰って来た。意識もはっきりしていない状態で。
王城内で働く者達にあった
「シンシア様は大切にされてないのでは?」
という推測は確信に変わる。
怒りを含んだ思いを抱える騎士達は戦争への士気が高い。
騎士達は戦争に向けて、迅速に準備をはじめた。高い武力を誇るパンデルム帝国だ。騎士達は、各々が何をすべきか分かっている。
王城は緊張感に包まれ、ユリカ王国への侵攻を開始した。
武力の差は圧倒的でユリカ王国は数日で攻め落とされた。
そして、王城ではシンシア王女に同行したミゲルが、陛下へ婚姻の許可を貰いに奔走していた。
「ミゲルがシンシア様との婚姻を陛下に直訴したらしいぞ。」
「陛下が許可を出されたらしいぞ。」
騎士達が騒いでいる。
ミゲルはライゼンド公爵家の四男だ。
このまま騎士爵ではシンシア様の嫁ぎ先としては問題があるため、実家の持つ爵位を継ぐことになったようだ。
未だにシンシア様の意識ははっきりせず、後遺症が残るかもしれないと言われている。
城の雰囲気も暗い。
しかし、ミゲルは後遺症が残っても構わないと強引に許可を取ったと聞いた。
ミゲルは名家の出で、騎士としての実力もあり顔立ちも整っているため、令嬢からの人気は高かった。
しかし、夜会でも令嬢と踊ることもなく、最低限の会話しか交わさない。クールな彼は一部では女性に興味が無いのでは?と噂されていた程だ。
「シンシア様の意識がはっきりしてきたそうだ。後遺症も無かったらしい。」
「ミゲルが毎日通っているらしいぞ。」
シンシア様に尽くすミゲルの事が噂になっていた。
護衛騎士として、守れなかった後悔と贖罪の気持ちが強いのだろう。
シンシア様の元にフルーツを抱えて毎日通い、爵位を継ぐための準備、騎士を止める準備と忙しそうだ。
シンシア様が回復してきた頃、二人で王城を散歩する姿を見かけた。
「ミゲル、大丈夫よ。」
「シンシア、あまり長時間は……。」
「うふふ、心配性ねー。」
ミゲルがシンシア様を見つめる表情は優しくて、愛しくて仕方ないといった様子だ。
ミゲル…お前、そんな表情出来たのか?
シンシア様もふっくらとしてきて、幸せそうに笑う。華が開くようなふんわりとした笑顔は、俺達を癒してきた笑顔だ。
ああ、贖罪ではないんだと悟った。
ミゲルのように自分の手で幸せに出来ないのなら、せめてシンシア様の幸せを願おう。
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芳野様
感想ありがとうございました
(。˘ㅅ˘)✩⡱
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面白かったです。
ざまぁwwwwも良かった!
なぁ恋様~💖
感想ありがとうございます💐
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わーい♪ヽ(´▽`)/