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番を探しに行きます!
しおりを挟む「こんにちは!私の番さん。お名前は何ですか?」
「は?お前……なに?」
「えっ?」
私の番のはずなのに……。
天国のばば様ーー
番さんは私が自分の番だってことが分からないみたいです。
人間って、嗅覚が鈍いって聞いたことがあります。そのせいでしょうか?
ーーーー
私はチンチラ獣人のエラト。お母さんは私と同じチンチラ獣人でお父さんはカワウソ獣人。
二人は番同士だからとっても仲良し。そんな両親を見て育った私は、自分の番を探すために18歳で獣人の国レネールを出た。
それは村の占いばば様が私の番は人間の国に居るって教えてくれたから。占いばば様はもう死んじゃったけれど、私はずっとその言葉を信じていた。
両親は一人で旅をすることを心配したけれど、私の決心は揺るがなかった。
「知らない人について行っちゃ駄目よ!」
「人間の国に知り合いなんて居ないからみんな知らない人よ?お母さんは心配しすぎよ。私もう大人だしちゃんと旅ぐらい出来るわ!」
「知り合いの人が一人も居ない国だから心配なんじゃない!」
「エラトは単純で人を簡単に信じちまうからなぁ」
心配するお母さんに同意するようにお父さんも隣でうんうん頷いている。
私はもう大人なのに、二人ともまだ私を子供扱いするんだから……。
「大丈夫よ!いざとなったら獣化して人間の通れないような隙間に逃げるもん!」
「エラトよ。人間は『網』を使うかもしれんぞ?」
「え?あ、あみっ!!……あの恐ろしい『網』は人間の国にもあるの?」
「ああ勿論だ。『網』は人間が作りだした物だ。そして、人間の国では一般人でも『網』を使う」
「そ、そんな‥‥」
私達小動物獣人にとって『網』は脅威。
大きな『網』は私達小動物を一網打尽にしてしまう。
獣化した姿で『網』にかかり、そのまま人間の姿に戻ろうとすると皮膚が裂けてしまうって噂。
そんな恐ろしい凶器を一般人も使うなんて……。マーヤって発展した平和な国だって聞いていたけど、案外怖いのかも……。
「はぁ、……どうしても行くんだな。ならばエラト、これを持って行きなさい」
お父さんは赤い石の着いた小さなペンダントをくれた。
「これは?」
「このペンダントには転移の魔法が込められている」
「え?こんな貴重な物、どうして……」
転移のペンダントなんて護国兵たちが使うような代物。とても高価なもののはずだけど……。
「エラトが番を探しに行くんだ。応援してやりたいじゃないか」
お父さんは自慢げにお髭をピクピク動かした。
「お父さん、ありがとう!」
「流石ね、あなた!」
お母さんと私に抱きつかれたお父さんは満足そうに胸を反らせた。
「エラトの命が一番大切だ。危険があったら帰って来なさい」
「うん!」
これがあればレネール国の転移陣まで一瞬で戻って来れるから、例えば悪い奴に捕まっても大丈夫。
私は動き易い少年のような服を着て帽子を被り、大きなリュックを背負った。首にはお父さんから貰ったペンダント。
「エラト、気をつけてね!」
「ちゃんと、ご飯は食べるんだぞ!」
「必ず番を見つけてくるわ!お父さん、お母さん、行ってきます!」
こうして、私は意気揚々とレネール国を出発した。
私の番はどんな人だろう。お父さんみたいに優しいといいな。
お父さんもお母さんも「番の匂いは甘くてとっても幸せな気持ちになる」って言ってた。
人混みの中でも匂いは分かるし、番が近くに住んでいる場所に行けば残り香や気配も感じることが出来るらしい。それぐらい番の匂いって強烈なんだって!
私の番!待っててねーっ!!
~・~・~・~・~
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