13 / 34
12.エドゥアール視点
しおりを挟む
パーティー会場に入ると招待客が一斉に振り返る。
みんなの視線を感じる。俺には慣れた視線だ。けれど今日はルビールを不埒な輩から守らなければならない。
ルビールは初めてのパーティーに緊張していて、身体を固くするのが分かった。
会場の彼方此方から羨望の籠った溜め息が聞こえる。
着飾ったルビールを見た瞬間、あまりの美しさに声を失った。
条件反射のように出てくる筈の誉め言葉が思い浮かばない。
ただ彼女を凝視して過ぎていく時間。
母に小突かれ漸く出てきた言葉が『綺麗』の一言。
月並みの言葉しか思い浮かばない自分に呆れる。
この美しさは危険だろう?
母が今日の招待客の令嬢は厳選していたが、男性客は?
招待客のリストを思い出すと……アイツもアイツもいるっ!!
俺の幼なじみの女癖の悪い男たち。
自分の交遊関係を激しく後悔した。
会場を見渡すと警戒すべき男たちがルビールを見ている。
そっとルビールを自分の背に隠した。
「エドゥアール様?前に立たれると歩きにくいのですが……。」
「ん?あ、ああすまない。あっちに行くのは止めよう。」
進路をさりげなく変更し、ルビールを男たちの視線から守る。
俺は細心の注意を払いながらルビールを両親の所まで連れていくと、母上に呆れられた。
「貴方……、今日はルビールちゃんを婚約者としてお披露目することも兼ねているのよ…。隠してどうするの……。」
「……はい。すみません。」
ルビールはそんな会話を気にする素振りを見せず、両親に向かって優雅なカーテシーをしてみせた。
淑女教育が始まったばかりだというのに、流れるような動作を身に付けている。
「バークレン侯爵、マーガレット様、私の為にこのようなパーティーを開催していただきありがとうございます。」
スカートがふんわり広がるデザインのドレスが多い中、細身のドレスを身に着けた彼女は一際目立つ。
細い首に長い手足。
目の覚めるような黄色いドレスは光を集めて彼女を引き立てていた。
ルビールはまだ幼いが、既にその佇まいは今まで出会ったどんな女性より『いい女』だ。
彼女を見る男の視線が気になって仕方がない。
そんな俺の抵抗も虚しく、聞きなれた男の声が背後から聞こえた。
「よう!エドゥアール。その綺麗なご令嬢がお前の婚約者だって?俺にも紹介してくれよ。」
俺は何も聞こえない振りをして彼女に話し掛けた。
「今日の料理はシェフがルビールの為に腕によりをかけて作ったそうだよ。折角だしゆっくり食べよう。」
ルビールの腕を取って、男から離れようと試みたが何も知らない純真な彼女は男の存在を俺に伝えてくれた。
「エ、エドゥアール様、お知り合いの方じゃ無いんですか?」
知らないよ。今日で縁を切ったんだ。
「ルビールは何も気にしなくていいからね。」
俺はルビールを連れてどんどん男から離れた。
「お、おい?エドゥアール、」
何も聞こえない、何も聞こえない。
ルビールを紹介してくれだって?
冗談じゃない。
「ルビール様!」
今度は女性の声がした。安心して振り返る。
彼女はサニーナ伯爵令嬢。先日のお茶会で友人になった筈だ。
ウィッガ子爵令嬢は失礼な振る舞いだったらしく母上が招待客リストから外していた。
「エリーゼ様っ!今日は来てくださってありがとうございます。」
「ルビール様、今日のドレスとても素敵ですわ。ルビール様のスタイルを引き立てていてて……。どこのデザイナーの物ですの?」
サニーナ伯爵令嬢とキャッキャツとお喋りするルビールは年齢相応の無邪気な笑顔を見せる。
「サニーナ嬢、これからもルビールと仲良くして欲しい。領地で長く過ごしたせいで、此方には友人が少ないんだ。」
「は、はい。」
その他にもお茶会で知り合った同じ年頃の友人たちが近寄ってきた。俺は友人たちに囲まれ楽しげに話すルビールから離れ、そっと見守っていた。
男が近づこうとすればさりげくブロックする。
パーティー終了後、両親に呼び出され振る舞いを注意されてしまったが……。
みんなの視線を感じる。俺には慣れた視線だ。けれど今日はルビールを不埒な輩から守らなければならない。
ルビールは初めてのパーティーに緊張していて、身体を固くするのが分かった。
会場の彼方此方から羨望の籠った溜め息が聞こえる。
着飾ったルビールを見た瞬間、あまりの美しさに声を失った。
条件反射のように出てくる筈の誉め言葉が思い浮かばない。
ただ彼女を凝視して過ぎていく時間。
母に小突かれ漸く出てきた言葉が『綺麗』の一言。
月並みの言葉しか思い浮かばない自分に呆れる。
この美しさは危険だろう?
母が今日の招待客の令嬢は厳選していたが、男性客は?
招待客のリストを思い出すと……アイツもアイツもいるっ!!
俺の幼なじみの女癖の悪い男たち。
自分の交遊関係を激しく後悔した。
会場を見渡すと警戒すべき男たちがルビールを見ている。
そっとルビールを自分の背に隠した。
「エドゥアール様?前に立たれると歩きにくいのですが……。」
「ん?あ、ああすまない。あっちに行くのは止めよう。」
進路をさりげなく変更し、ルビールを男たちの視線から守る。
俺は細心の注意を払いながらルビールを両親の所まで連れていくと、母上に呆れられた。
「貴方……、今日はルビールちゃんを婚約者としてお披露目することも兼ねているのよ…。隠してどうするの……。」
「……はい。すみません。」
ルビールはそんな会話を気にする素振りを見せず、両親に向かって優雅なカーテシーをしてみせた。
淑女教育が始まったばかりだというのに、流れるような動作を身に付けている。
「バークレン侯爵、マーガレット様、私の為にこのようなパーティーを開催していただきありがとうございます。」
スカートがふんわり広がるデザインのドレスが多い中、細身のドレスを身に着けた彼女は一際目立つ。
細い首に長い手足。
目の覚めるような黄色いドレスは光を集めて彼女を引き立てていた。
ルビールはまだ幼いが、既にその佇まいは今まで出会ったどんな女性より『いい女』だ。
彼女を見る男の視線が気になって仕方がない。
そんな俺の抵抗も虚しく、聞きなれた男の声が背後から聞こえた。
「よう!エドゥアール。その綺麗なご令嬢がお前の婚約者だって?俺にも紹介してくれよ。」
俺は何も聞こえない振りをして彼女に話し掛けた。
「今日の料理はシェフがルビールの為に腕によりをかけて作ったそうだよ。折角だしゆっくり食べよう。」
ルビールの腕を取って、男から離れようと試みたが何も知らない純真な彼女は男の存在を俺に伝えてくれた。
「エ、エドゥアール様、お知り合いの方じゃ無いんですか?」
知らないよ。今日で縁を切ったんだ。
「ルビールは何も気にしなくていいからね。」
俺はルビールを連れてどんどん男から離れた。
「お、おい?エドゥアール、」
何も聞こえない、何も聞こえない。
ルビールを紹介してくれだって?
冗談じゃない。
「ルビール様!」
今度は女性の声がした。安心して振り返る。
彼女はサニーナ伯爵令嬢。先日のお茶会で友人になった筈だ。
ウィッガ子爵令嬢は失礼な振る舞いだったらしく母上が招待客リストから外していた。
「エリーゼ様っ!今日は来てくださってありがとうございます。」
「ルビール様、今日のドレスとても素敵ですわ。ルビール様のスタイルを引き立てていてて……。どこのデザイナーの物ですの?」
サニーナ伯爵令嬢とキャッキャツとお喋りするルビールは年齢相応の無邪気な笑顔を見せる。
「サニーナ嬢、これからもルビールと仲良くして欲しい。領地で長く過ごしたせいで、此方には友人が少ないんだ。」
「は、はい。」
その他にもお茶会で知り合った同じ年頃の友人たちが近寄ってきた。俺は友人たちに囲まれ楽しげに話すルビールから離れ、そっと見守っていた。
男が近づこうとすればさりげくブロックする。
パーティー終了後、両親に呼び出され振る舞いを注意されてしまったが……。
86
あなたにおすすめの小説
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜
ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」
あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。
「セレス様、行きましょう」
「ありがとう、リリ」
私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。
ある日精霊たちはいった。
「あの方が迎えに来る」
カクヨム/なろう様でも連載させていただいております
大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた
黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」
幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。
どなたか私の旦那様、貰って下さいませんか?
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
私の旦那様は毎夜、私の部屋の前で見知らぬ女性と情事に勤しんでいる、だらしなく恥ずかしい人です。わざとしているのは分かってます。私への嫌がらせです……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
政略結婚で、離縁出来ないけど離縁したい。
無類の女好きの従兄の侯爵令息フェルナンドと伯爵令嬢のロゼッタは、結婚をした。毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込む彼。政略結婚故、愛妾を作るなとは思わないが、せめて本邸に連れ込むのはやめて欲しい……気分が悪い。
彼は所謂美青年で、若くして騎士団副長であり兎に角モテる。結婚してもそれは変わらず……。
ロゼッタが夜会に出れば見知らぬ女から「今直ぐフェルナンド様と別れて‼︎」とワインをかけられ、ただ立っているだけなのに女性達からは終始凄い形相で睨まれる。
居た堪れなくなり、広間の外へ逃げれば元凶の彼が見知らぬ女とお楽しみ中……。
こんな旦那様、いりません!
誰か、私の旦那様を貰って下さい……。
『影の夫人とガラスの花嫁』
柴田はつみ
恋愛
公爵カルロスの後妻として嫁いだシャルロットは、
結婚初日から気づいていた。
夫は優しい。
礼儀正しく、決して冷たくはない。
けれど──どこか遠い。
夜会で向けられる微笑みの奥には、
亡き前妻エリザベラの影が静かに揺れていた。
社交界は囁く。
「公爵さまは、今も前妻を想っているのだわ」
「後妻は所詮、影の夫人よ」
その言葉に胸が痛む。
けれどシャルロットは自分に言い聞かせた。
──これは政略婚。
愛を求めてはいけない、と。
そんなある日、彼女はカルロスの書斎で
“あり得ない手紙”を見つけてしまう。
『愛しいカルロスへ。
私は必ずあなたのもとへ戻るわ。
エリザベラ』
……前妻は、本当に死んだのだろうか?
噂、沈黙、誤解、そして夫の隠す真実。
揺れ動く心のまま、シャルロットは
“ガラスの花嫁”のように繊細にひび割れていく。
しかし、前妻の影が完全に姿を現したとき、
カルロスの静かな愛がようやく溢れ出す。
「影なんて、最初からいない。
見ていたのは……ずっと君だけだった」
消えた指輪、隠された手紙、閉ざされた書庫──
すべての謎が解けたとき、
影に怯えていた花嫁は光を手に入れる。
切なく、美しく、そして必ず幸せになる後妻ロマンス。
愛に触れたとき、ガラスは光へと変わる
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
【完結】愛する人はあの人の代わりに私を抱く
紬あおい
恋愛
年上の優しい婚約者は、叶わなかった過去の恋人の代わりに私を抱く。気付かない振りが我慢の限界を超えた時、私は………そして、愛する婚約者や家族達は………悔いのない人生を送れましたか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる