小猿令嬢に惚れた元プレイボーイの奮闘

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12.エドゥアール視点

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パーティー会場に入ると招待客が一斉に振り返る。
みんなの視線を感じる。俺には慣れた視線だ。けれど今日はルビールを不埒な輩から守らなければならない。
ルビールは初めてのパーティーに緊張していて、身体を固くするのが分かった。

会場の彼方此方から羨望の籠った溜め息が聞こえる。

着飾ったルビールを見た瞬間、あまりの美しさに声を失った。
条件反射のように出てくる筈の誉め言葉が思い浮かばない。
ただ彼女を凝視して過ぎていく時間。

母に小突かれ漸く出てきた言葉が『綺麗』の一言。
月並みの言葉しか思い浮かばない自分に呆れる。
この美しさは危険だろう?

母が今日の招待客の令嬢は厳選していたが、男性客は?
招待客のリストを思い出すと……アイツもアイツもいるっ!!
俺の幼なじみの女癖の悪い男たち。
自分の交遊関係を激しく後悔した。

会場を見渡すと警戒すべき男たちがルビールを見ている。
そっとルビールを自分の背に隠した。

「エドゥアール様?前に立たれると歩きにくいのですが……。」

「ん?あ、ああすまない。あっちに行くのは止めよう。」

進路をさりげなく変更し、ルビールを男たちの視線から守る。
俺は細心の注意を払いながらルビールを両親の所まで連れていくと、母上に呆れられた。

「貴方……、今日はルビールちゃんを婚約者としてお披露目することも兼ねているのよ…。隠してどうするの……。」
「……はい。すみません。」

ルビールはそんな会話を気にする素振りを見せず、両親に向かって優雅なカーテシーをしてみせた。
淑女教育が始まったばかりだというのに、流れるような動作を身に付けている。

「バークレン侯爵、マーガレット様、私の為にこのようなパーティーを開催していただきありがとうございます。」

スカートがふんわり広がるデザインのドレスが多い中、細身のドレスを身に着けた彼女は一際目立つ。
細い首に長い手足。
目の覚めるような黄色いドレスは光を集めて彼女を引き立てていた。

ルビールはまだ幼いが、既にその佇まいは今まで出会ったどんな女性より『いい女』だ。
彼女を見る男の視線が気になって仕方がない。

そんな俺の抵抗も虚しく、聞きなれた男の声が背後から聞こえた。

「よう!エドゥアール。その綺麗なご令嬢がお前の婚約者だって?俺にも紹介してくれよ。」

俺は何も聞こえない振りをして彼女に話し掛けた。

「今日の料理はシェフがルビールの為に腕によりをかけて作ったそうだよ。折角だしゆっくり食べよう。」

ルビールの腕を取って、男から離れようと試みたが何も知らない純真な彼女は男の存在を俺に伝えてくれた。

「エ、エドゥアール様、お知り合いの方じゃ無いんですか?」

知らないよ。今日で縁を切ったんだ。

「ルビールは何も気にしなくていいからね。」

俺はルビールを連れてどんどん男から離れた。

「お、おい?エドゥアール、」

何も聞こえない、何も聞こえない。
ルビールを紹介してくれだって?
冗談じゃない。

「ルビール様!」

今度は女性の声がした。安心して振り返る。
彼女はサニーナ伯爵令嬢。先日のお茶会で友人になった筈だ。
ウィッガ子爵令嬢は失礼な振る舞いだったらしく母上が招待客リストから外していた。

「エリーゼ様っ!今日は来てくださってありがとうございます。」
「ルビール様、今日のドレスとても素敵ですわ。ルビール様のスタイルを引き立てていてて……。どこのデザイナーの物ですの?」

サニーナ伯爵令嬢とキャッキャツとお喋りするルビールは年齢相応の無邪気な笑顔を見せる。

「サニーナ嬢、これからもルビールと仲良くして欲しい。領地で長く過ごしたせいで、此方には友人が少ないんだ。」
「は、はい。」

その他にもお茶会で知り合った同じ年頃の友人たちが近寄ってきた。俺は友人たちに囲まれ楽しげに話すルビールから離れ、そっと見守っていた。

男が近づこうとすればさりげくブロックする。
パーティー終了後、両親に呼び出され振る舞いを注意されてしまったが……。
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