猫かぶり令嬢はゴリマッチョ騎士に夢中

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じゅうろく

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 今日は姉とのお茶会のため、王城に呼ばれていた。

 そこで久しぶりあったパトリック殿下は驚くほど変わっていた。あの事件の後、ずっと魂を抜かれたような眼をしていたのに、今の殿下はイキイキしている。

 姉を見つめるパトリック殿下の視線は、まさに従僕がご主人様を見るよう!
 仕事以外の時間は全て姉のお世話をしているみたい。
 姉は今妊娠6ヶ月。そんな一生懸命な殿下を慈しむように見つめていた。

(お姉様、相変わらず深い愛!)

 パトリック殿下は姉に尽くすことに生き甲斐を感じるようになったんだって。生き甲斐が出来て良かったね、殿下!


 私と姉の二人きりのお茶会。
 テーブルには大量のフルーツが置かれていた。

「お姉様、こんなにたくさんのフルーツ。いったいどうしたのですか?」

「リアが食べたがっているような気がして……。ほら、たくさん食べてね。」

 図星だった。私は最近嗜好が変わってきて、何故か酸っぱいフルーツが好きになっていた。

「どうして知っているんですか?もしかして……見張り??」

「まさか!」

 何の後ろめたさも隠し事も無いといったように、姉は明るくケラケラと笑いとばした。

「リアの旦那様のサイラス様は気配に敏感だから見張りなんてつけれないわよ!」

 姉は笑顔のまま、紅茶を一口飲んで、私の方を向いた。

「実はね、あなたの家の食材購入リストを見たら、最近になって急にフルーツの購入金額が増えていたから気になったのよ。」

 あー、食材の購入リスト。それなら納得。
 確かに私は最近シェフにフルーツをたくさん欲しいってお願いしていた。

「ええ、お姉様の仰るように最近何故かフルーツが食べたくなるの。どうしてかしら?」

「リア、あなた月のものはきているの?」

「……そういえば、遅れています。」

「そう、妊娠してるかもしれないわよ?ちょうどいいわ。今日、私も診察があるの。リアも診て貰ったら?女性のお医者様だし、安心よ?」
 
 姉は直ぐに手配してくれて、私はそのまま王城で診察を受けた。







「リアっ!!」
 
 血相を変えたサイラス様が医務室へと駆け込んできた。

「サイラス様、どうして……。」

「アナスタシア王太子妃殿下から連絡があった。リアが王城の医務室で休んでいるから、一緒に帰るように、と。」

 もー、お姉様も大袈裟!
 病気じゃないのに……。

「サイラス様、誤解しないで。身体の具合が悪いわけじゃないの。私妊娠してただけ。今2ヶ月だって。」

「2ヶ月っ!!大変だ!安定期に入る前じゃないかっ!!」

 うん?
 サイラス様は私に「どこもつらいところはないか?」としつこいぐらい確認したあと、私を抱えて家へと帰ってくれた。

「あんな高いヒールは履かせられない。」そう言って、私は一歩も歩かせて貰えず。

 姉とサイラス様の過保護により、私は快適すぎる妊娠生活を送った。

 その後、出産直後に見たサイラス様の心配そうな顔を忘れる事が出来ない。彼はあの厳つい顔をくしゃくしゃに歪めて、子供を産んだ私を労ってくれた。彼にあんな顔をさせられるのは私だけなのだと胸が熱くなる。



 ☆




 私ははその後二人の子宝に恵まれ幸せな生活を送っていた。

「お母様、わたくしシリウスの事が好きみたい。お母様も協力してくださいね。」

 長女のロゼッタは10歳。
 とても美しくて頭の良い自慢の娘。
 けれど、この娘には一つ心配事があった。

「まあ!初恋?素敵ね。」

「ええ、シリウスったら騎士を志望しているのに、庭園で転んで泣いてしまったのよ。」

「え?泣いて……。」

「そうなの……その泣き顔がゾクゾクしちゃった!」

「……。」

 泣き顔?
 ゾクゾク?
 あれ?どこかで聞いたような?

「まずは今日から自分磨きを頑張るわ。シリウスに好かれたいもの。」

 うん!
 それはいい事ね。

「それから、どんな恋敵が現れても対処出来るだけの力をつけたいの。」

 うん?
 いいこと……なのかな?

「シリウスが逃げないように今日から囲い込まなくちゃ!」

 ええーーっ?
 10歳でこんな思考になる?

 私の娘が姉似の件。

「そうね、頑張ろうね。」
 
 この娘が道を間違えないように導かなくちゃ。

「ところでシリウス君は騎士を目指しているの?」

「ええ、そうなの。」

「筋肉トレーニングならお父様に聞くと、綺麗な筋肉がつくわよ!」

「あっ!そっか、お母様、ありがとう。」

 サイラス様は今日は非番。この時間なら書斎にいるはずだ。

 パタパタとサイラス様の居る執務室に駆けていく娘。やがてすごーく困惑した表情をしてサイラス様が娘を抱えてやってきた。

 「リア、ロゼッタがシリウス君を鍛えて欲しいって言ってきたんだが……。」

 愛おしい人は年を重ねてますます渋みが増している。
 私は親子なのにまるで似ていない性質の二人を見て、微笑みながら、娘の恋についてどうやってサイラス様に説明しようかと考えていた。


ーーー(完)ーーー


※ふざけたお話にここまでお付き合いいただきありがとうございました‼️
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