病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。

文字の大きさ
19 / 19

19.結婚生活

しおりを挟む


「……もう……朝?」

「朝だな。」

 背後から聞こえるルーファスの声。
 は、恥ずかしい……。あ、あんなことして……もう顔も見れないよぉー。

 昨夜、散々ルーファスに甘やかされたのを思い出しちゃう。恥ずかしいところもたくさん見られた!

「あっ。」

 ふと彼に腕枕してもらっていたのに気が付いた。

「ご、ごめんなさい。一晩中頭を乗せてたわ。痛く無かった?」

「ん?痛いつったら何かしてくれんの?」

  ルーファスは頭を上げて彼の腕を擦る私の顔を覗き込んだ。

「ちょ、近い……。」

  昨夜は何回も口づけされた。私の名前を呼ぶ甘やかな声が耳に残ってる。背中にぴたりとくっついている彼の肌は、じっとりと汗ばんでいて……。彼の身体の下で何回も果てた。その甘美な快楽を身体に刻まれた。照れる……彼の顔が見れない……。

「まだ恥ずかしいのか?」

 彼の顔を見ないままコクコクと頷く。

「そっか……。」

 背後からぎゅっと抱きしめられると、遮るもののない直の肌の感触が伝わる。それは昨夜の情事を思い出させて……。
 ルーファスは抱きながら、何度も私の名前を呼んだ。少し眉を寄せて切なげに響く声。それは胸がきゅうっとなるような愛しさを孕んでいた。

「好き」も「愛してる」も言わない。でも名前を呼ぶその声だけで彼に愛されているのだと実感できる。喜びにも似た震えが身体を駆け巡る。   




カーテンの隙間から差し込む光が眩しくて目を細めた。きっともう日が高くなっているのだろう。

「今、何時かしら?」
「寝てろよ。まだ痛いだろ?」

 初めての私に、ルーファスは優しくしてくれたけど、やっぱり痛かった。今でも何か挟まっているみたい。

 ルーファスはさっと着替えを済ませて、部屋に朝食を運んでくれた。私が動かなくていいように気を遣ってくれているみたい。

「何飲む?……ほら口開けて。」

 ルーファスは甲斐甲斐しく私の世話を焼いてくれた。オレンジを絞って飲ませてくれて、パンは小さく千切って口に入れてくれる。

「ルーファスが優しい……。」

「あ?俺はいつでも優しいだろ?」

 ん?
 まあ……いつも……優しいか……?でもこんなに世話焼きだったかしら?

「……すまなかったな。」

「?」

 何だろう?らしくない。
 いつも自信家で偉そうな彼がやけにしおらしい。

「いっぱい血が出てたし、お前ずいぶん泣いてたろ?なのに、無理させて……悪かったな。」

 破瓜の血はみんな出ると聞いていた。それに涙は嬉し涙だったような?

「ねぇ、ルーファス?」
「ん?」
「初めてはみんな痛いって聞いてたわ。でもそんなに痛く無かったし、何よりルーファスと一つになれたのが嬉しくて泣いてたの……。」

「そうか……?」

 ルーファスは少し安心したようだった。
 昨夜ポロポロ泣いていた私を心配してくれたのかな?

 そして急にいつもの意地悪顔に戻って、ニヤリと笑った。

「痛いのは今回だけだからな。もうコツは掴んだから、楽しみにしとけよ。」
「コ、コツって何よ?」
「うん?お前の反応が分かりやすいって事。」

 何だろう?私の反応って?
 だけど、ルーファスは自信たっぷりの態度。彼らしい微笑み。

「楽しみにして……いいの?」

「ああ、誰よりも幸せにするって俺が決めた。それはベッドの上でもだ。」

 ベッドの上ってところが気になるけど、ルーファスがそう言うなら間違いない。彼はこれからも私を幸せにしてくれるのだろう。

「うん。いつも私の事を考えてくれてありがとう。」

「お前、ほんっと純だよなー。ちょっとは疑えよ。」

「え?」

「ベッドの上で俺に好きにされちまうぞ?そんなに簡単に人を信用すんなよ。」

 彼はそう言って私のおでこを軽く小突いた。え?でも……。

「信用っていうか……。ルーファスになら何されてもいいよ。好きってそういうものでしょう?」

 「あー、もうお前はっ!」

ルーファスは頭を掻きむしり、がばりと私を押し倒した。

「責任もてよ?」

「え?うん、何するの?」

「幸せにしてやるよ。」

 言い終わると同時に口づけられる。
 そのまま、ルーファスと甘い時間を共にした。





 3ヶ月後


 結婚後、私は直ぐに妊娠した。現在妊娠2ヶ月目。

 ルーファスはもう少し二人で過ごしたかったみたいだったけど、私は嬉しい。

「ここに俺の子供がいるなんて不思議だな。」

 彼は今、私のお腹をゆっくり撫でている。意外に子煩悩になるのかもしれない。だって視線が優しいもの。

「ルーファス、あの日私を攫ってくれてありがとう。あの日の出来事がこんな幸せに続いてるなんて、思わなかった。」

 私は結婚した後もルーファスに大切にされて、毎日幸せだった。言葉は乱暴なのに真綿にくるむように甘やかしてくれる。

「突然攫ってきたからな。今幸せなら結構なこった。お腹の子どっちだろうな?」

 実は私は男の子が生まれるような気がしていた。彼そっくりの男の子。
「生意気なガキだな。誰に似たんだ?」
なんて彼が言うのが想像できる。

「ティアはどっちだと思う?」
「さあ?」
「どっちでもいっか。」
 二人で顔を見て笑い合った。
 

 遠くない未来、ルーファスそっくりで生意気な男の子が、彼を振り回すのだろうか?もしくは私そっくりの女の子が彼に甘えているのかもしれない。
 

 生まれてくるのは寒い季節。
 私は赤ちゃんのために靴下と帽子を編んでいた。幸せな未来はこの俺様な彼の隣でずっと続いていくのだろう。

ーー(完)ーー


※一旦本編完結にさせていただきます。
リクエストいただいたお話は上手くまとめられるか考えております。
しおりを挟む
感想 196

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(196件)

tensinokizuna
2026.01.01 tensinokizuna

完結おめでとうございます
2人が幸せになって本当に良かったです


バーバラさん、アイロスさん、ローレラ伯爵夫人の三角関係

バーバラさんがアイロスさんとローレラ夫人が付き合ってたの知ってて略奪したなら、よくママ友になったなって思うし、そりゃ復讐されるな、と
もし、バーバラさんが2人の関係知らずに、アイロスさんがローレラ伯爵夫人を弄んだんなら、酷い八つ当たりだし
ローレラ夫人の思い込み(例えばアイロスさんと2、3回ダンスしただけで付き合ってると思い込んでた)なら、狂気ですね

親世代の因果が子に報い、可哀想でしたね

2026.01.04

感想ありがとうございます(⁠人⁠ ⁠•͈⁠ᴗ⁠•͈⁠)

歪んでますよね。
そうですね。親世代の因果が子に報い、確かに。

解除
かおりん
2025.07.02 かおりん

番外編楽しみにしてます😆

2025.07.06

感想ありがとうございます。
番外編ですか🤔
そうですね。頑張ってみます。

解除
ブリトニー
2025.05.22 ブリトニー

フィオナ母がセレニティー母殺人・セレニティー殺人未遂犯設定かそれを教える設定はなくてよかったような…知らなかったとはいえセレニティー母娘に責任感じる事への立ち直りが早すぎですし、セレニティーの方が被害者過ぎて; 
その点以外は引き込まれて面白く読ませていただきました!

2025.05.23

感想ありがとうございます✨

立ち直り早すぎですかなるほど(⁠・⁠–⁠・⁠;⁠)⁠
面白く読んでいただけて良かったです。

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。

梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。 ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。 え?イザックの婚約者って私でした。よね…? 二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。 ええ、バッキバキに。 もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。

裏切りの先にあるもの

マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。 結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。 王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。 第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。 常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。 ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。 みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。 そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。 しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。

見捨てられたのは私

梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。 ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。 ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。 何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。

【完結】彼の瞳に映るのは  

たろ
恋愛
 今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。  優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。  そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。  わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。 ★ 短編から長編へ変更しました。

【完結】側妃は愛されるのをやめました

なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」  私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。  なのに……彼は。 「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」  私のため。  そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。    このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?  否。  そのような恥を晒す気は無い。 「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」  側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。  今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。 「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」  これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。  華々しく、私の人生を謳歌しよう。  全ては、廃妃となるために。    ◇◇◇  設定はゆるめです。  読んでくださると嬉しいです!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。