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クリスマス?
「クリスマス?」
「ええ、西方の国で子供たちに人気のイベントらしいの。最近は王都でも流行っているみたい……。私も屋敷のみんなでパーティーをしたいのです。」
「そうか……。分かった。皆も喜ぶだろう。俺は何を手伝えばいい?」
やった!
エヴァンさまはそう言ってくれると思ってました!
皆とワイワイパーティーなんて楽しみっ!
「西方の国では『もみの木』に色んな飾り付けをするそうですわ。この辺りでは『もみの木』は無いので買ってくださいませんか?」
「家の中に木を?」
「ええ。大広間にエヴァンさまの背丈ぐらいの木が欲しいの。」
「そうか……。分かった。用意しておこう。」
1才になったレグルスは何にでも興味津々。
目を輝かせて色んな物を指差して名前を聞いてくる。
きっとレグルスも喜んでくれるわっ!
私はエリーゼやアンリとクリスマスパーティーの準備を始めた。
~~~
パーティー前日。
「「「エヴァンさま(閣下)、これは………。」」」
届いた木に私とエリーゼとアンリは絶句した。
輸入商が運んで来たのは、『もみの木』では無いみたい。
幹は太くて曲がっていて、枝が横に広がっている。
うーん。何だか情緒のある木ね。なんの木かしら?
「うむ、手違いがあったようで、これは東方の国の『マツ』という木らしい。すまない。」
「マツ……。」
私の知っているクリスマスのもみの木は枝と葉が三角の形に広がって幹も真っ直ぐ伸びている。
そこにキラキラ光る飾りつけをすると一気に華やかになって気分が高揚するんだけど……。
私より更に、しょんぼりしたエヴァンさま。
これは……責めちゃダメだ。
しょんぼりエヴァンさまっ!貴重っ!!
「エヴァンさま!この木とっても面白い形ですもの。飾りつけをしたらきっと風情がありますわっ。」
エヴァンさまを必死にフォローしつつ、皆で喜んでいる振りをする。
「そ、そうか…。よし、一緒に飾り付けと願い事を書こう!」
「願い事?」
「ああ、輸入商の話では、『タンザク』と呼ばれる紙に願い事を書いてぶら下げるそうだ。そして、クリスマスが終わったら願いが天に届くように木ごと燃やすと聞いた。」
クリスマス?
そんなのだったかしら?
まぁいいや。きっとみんなでやれば楽しい。
我家流でいいかも。
「わぁー、それなら屋敷の皆にも願い事を書いて貰いましょうっ!!」
エリーゼとアンリに手伝って貰ってみんなの願い事を書いた『タンザク』を飾り付けることにした。
準備すらウキウキして楽しいなんて、クリスマスっていいっ!
「高い所は俺がする。」
「い、いえ。エヴァンさまは私を抱きあげてくださいませ。」
私が今手にしている『タンザク』に書いてある願い事は「訓練が少し楽になりますように。」と「訓練の休みの日がもっと欲しい」だ。
エヴァンさまが見たら怒りそう………。
彼は訓練に対しては厳しいから………。
そう思って、その『タンザク』はエヴァンさまに見えないようにぶら下げた。
屋敷のみんなが書いた色とりどりの『タンザク』飾ったマツの木はそこそこ華やかになった。
「キオネの願い事はどうする?」
「あっそうですね。どうしようかな?」
エヴァンさまとレグルスがずっと元気でいて欲しいな。
うーん。
彼は辺境伯。
健康も大切だけど、領地と国の安全も大切。
あっ!
「『我が国の次期王妃がしっかりした人になりますように!』って書きます。平和が一番ですもの。」
「ああ、スティーブン殿下では少々不安だからな。」
二人でそんな不敬な事を言いながら『タンザク』に願い事を書いた。
~~~
「キャーーーーっ!!レグルスさま可愛い。」
クリスマスパーティー当日。
白いファーで縁取られた赤いマント羽織ったレグルスは親の欲目抜きにしても可愛いっ!!
尻尾とケモミミが神レベルっ!!
当然、レグルスのお世話は使用人さん達の奪い合い。
レグルスのお世話係を勝ち取ったアンリの腕の中で、レグルスは尻尾をフリフリ振って嬉しそう!
これなら暫く泣かずにいてくれるだろう。
「キオネ様可愛いっ!!とても一児の母には見えないですよ!」
私は赤いドレスを着て、襟の部分に白いファーをあしらったボレロを羽織っている。
立食のビュッフェスタイルのパーティーは大盛況。
やっと歩けるようになったレグルスはお尻と尻尾を振りながら皆にヨチヨチ歩きを披露している。
得意げに手をあげて「あー!あー!」とニコニコ笑顔。
もうみんながレグルスに夢中!
そんな中、エヴァンさまが近づいてきてそっと顔を寄せる。
「キオネ、クリスマスの夜は性夜と言って、恋人たちが仲良く過ごすための夜だそうだ。」
「え?そうなんですか?聖夜って言葉は聞いた事がありますが……。」
驚いて見上げると、エヴァンさまの表情に熱が籠っていて思わず息を呑んだ。
「今日は少し激しくしてもいいだろうか?」
エヴァンさまは、少し掠れた声で……まるで懇願しているように聞こえた。
レグルスの出産以降手加減してくれていたのは知っている。
久しぶりに思いっきり抱かれたい気持ちもある。
私だって………。
だから………。
「エヴァンさま。今日は仲良くしましょう。」
私がそう言うとエヴァンさまはこれ以上無いぐらい蕩けるような顔で私を見つめた。
「ああ。……楽しみに…してる。」
やっぱり大好き!
今日はエヴァンさまの腕の中で思いっきり甘えよう。
その日の夜、私に甘えるチャンスはやって来なかった。
久しぶりに本気のエヴァンさまは激しくて、私は何回も意識を飛ばした。やっとゆっくり甘えられたのは翌日の明け方。
朝日に照らされた輝く筋肉に頬を擦り寄せる。
いつだって私とレグルスを守ってくれる逞しい筋肉。
昨夜の余韻の残るぼんやりした意識の中、エヴァンさまに尻尾を撫でて貰ったり、軽いキスを交わしたりしながらイチャイチャ過ごした。
あー幸せ…。
そして、半年後ーーー
財政難にあえぐ隣国を厳しい節制で見事に復活させた、少し年上の王女が我が国に嫁ぐことが決まった。
彼女の節約生活に、国王様がいたく惚れ込んで自分の息子の妻にと口説き落としたらしい。
とてもしっかりしている王女さまなので、これで我が国も安泰だとエヴァンさまは喜んでいた。
※クリスマスに関して間違った認識があります。
「ええ、西方の国で子供たちに人気のイベントらしいの。最近は王都でも流行っているみたい……。私も屋敷のみんなでパーティーをしたいのです。」
「そうか……。分かった。皆も喜ぶだろう。俺は何を手伝えばいい?」
やった!
エヴァンさまはそう言ってくれると思ってました!
皆とワイワイパーティーなんて楽しみっ!
「西方の国では『もみの木』に色んな飾り付けをするそうですわ。この辺りでは『もみの木』は無いので買ってくださいませんか?」
「家の中に木を?」
「ええ。大広間にエヴァンさまの背丈ぐらいの木が欲しいの。」
「そうか……。分かった。用意しておこう。」
1才になったレグルスは何にでも興味津々。
目を輝かせて色んな物を指差して名前を聞いてくる。
きっとレグルスも喜んでくれるわっ!
私はエリーゼやアンリとクリスマスパーティーの準備を始めた。
~~~
パーティー前日。
「「「エヴァンさま(閣下)、これは………。」」」
届いた木に私とエリーゼとアンリは絶句した。
輸入商が運んで来たのは、『もみの木』では無いみたい。
幹は太くて曲がっていて、枝が横に広がっている。
うーん。何だか情緒のある木ね。なんの木かしら?
「うむ、手違いがあったようで、これは東方の国の『マツ』という木らしい。すまない。」
「マツ……。」
私の知っているクリスマスのもみの木は枝と葉が三角の形に広がって幹も真っ直ぐ伸びている。
そこにキラキラ光る飾りつけをすると一気に華やかになって気分が高揚するんだけど……。
私より更に、しょんぼりしたエヴァンさま。
これは……責めちゃダメだ。
しょんぼりエヴァンさまっ!貴重っ!!
「エヴァンさま!この木とっても面白い形ですもの。飾りつけをしたらきっと風情がありますわっ。」
エヴァンさまを必死にフォローしつつ、皆で喜んでいる振りをする。
「そ、そうか…。よし、一緒に飾り付けと願い事を書こう!」
「願い事?」
「ああ、輸入商の話では、『タンザク』と呼ばれる紙に願い事を書いてぶら下げるそうだ。そして、クリスマスが終わったら願いが天に届くように木ごと燃やすと聞いた。」
クリスマス?
そんなのだったかしら?
まぁいいや。きっとみんなでやれば楽しい。
我家流でいいかも。
「わぁー、それなら屋敷の皆にも願い事を書いて貰いましょうっ!!」
エリーゼとアンリに手伝って貰ってみんなの願い事を書いた『タンザク』を飾り付けることにした。
準備すらウキウキして楽しいなんて、クリスマスっていいっ!
「高い所は俺がする。」
「い、いえ。エヴァンさまは私を抱きあげてくださいませ。」
私が今手にしている『タンザク』に書いてある願い事は「訓練が少し楽になりますように。」と「訓練の休みの日がもっと欲しい」だ。
エヴァンさまが見たら怒りそう………。
彼は訓練に対しては厳しいから………。
そう思って、その『タンザク』はエヴァンさまに見えないようにぶら下げた。
屋敷のみんなが書いた色とりどりの『タンザク』飾ったマツの木はそこそこ華やかになった。
「キオネの願い事はどうする?」
「あっそうですね。どうしようかな?」
エヴァンさまとレグルスがずっと元気でいて欲しいな。
うーん。
彼は辺境伯。
健康も大切だけど、領地と国の安全も大切。
あっ!
「『我が国の次期王妃がしっかりした人になりますように!』って書きます。平和が一番ですもの。」
「ああ、スティーブン殿下では少々不安だからな。」
二人でそんな不敬な事を言いながら『タンザク』に願い事を書いた。
~~~
「キャーーーーっ!!レグルスさま可愛い。」
クリスマスパーティー当日。
白いファーで縁取られた赤いマント羽織ったレグルスは親の欲目抜きにしても可愛いっ!!
尻尾とケモミミが神レベルっ!!
当然、レグルスのお世話は使用人さん達の奪い合い。
レグルスのお世話係を勝ち取ったアンリの腕の中で、レグルスは尻尾をフリフリ振って嬉しそう!
これなら暫く泣かずにいてくれるだろう。
「キオネ様可愛いっ!!とても一児の母には見えないですよ!」
私は赤いドレスを着て、襟の部分に白いファーをあしらったボレロを羽織っている。
立食のビュッフェスタイルのパーティーは大盛況。
やっと歩けるようになったレグルスはお尻と尻尾を振りながら皆にヨチヨチ歩きを披露している。
得意げに手をあげて「あー!あー!」とニコニコ笑顔。
もうみんながレグルスに夢中!
そんな中、エヴァンさまが近づいてきてそっと顔を寄せる。
「キオネ、クリスマスの夜は性夜と言って、恋人たちが仲良く過ごすための夜だそうだ。」
「え?そうなんですか?聖夜って言葉は聞いた事がありますが……。」
驚いて見上げると、エヴァンさまの表情に熱が籠っていて思わず息を呑んだ。
「今日は少し激しくしてもいいだろうか?」
エヴァンさまは、少し掠れた声で……まるで懇願しているように聞こえた。
レグルスの出産以降手加減してくれていたのは知っている。
久しぶりに思いっきり抱かれたい気持ちもある。
私だって………。
だから………。
「エヴァンさま。今日は仲良くしましょう。」
私がそう言うとエヴァンさまはこれ以上無いぐらい蕩けるような顔で私を見つめた。
「ああ。……楽しみに…してる。」
やっぱり大好き!
今日はエヴァンさまの腕の中で思いっきり甘えよう。
その日の夜、私に甘えるチャンスはやって来なかった。
久しぶりに本気のエヴァンさまは激しくて、私は何回も意識を飛ばした。やっとゆっくり甘えられたのは翌日の明け方。
朝日に照らされた輝く筋肉に頬を擦り寄せる。
いつだって私とレグルスを守ってくれる逞しい筋肉。
昨夜の余韻の残るぼんやりした意識の中、エヴァンさまに尻尾を撫でて貰ったり、軽いキスを交わしたりしながらイチャイチャ過ごした。
あー幸せ…。
そして、半年後ーーー
財政難にあえぐ隣国を厳しい節制で見事に復活させた、少し年上の王女が我が国に嫁ぐことが決まった。
彼女の節約生活に、国王様がいたく惚れ込んで自分の息子の妻にと口説き落としたらしい。
とてもしっかりしている王女さまなので、これで我が国も安泰だとエヴァンさまは喜んでいた。
※クリスマスに関して間違った認識があります。
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