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影に咲く誓い
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朝の光が差し込む食堂。
白いクロスのかかった長いテーブルには、美しく整えられた朝食が並んでいた。
だが、その光景はいつもとはまるで違っていた。
椅子に腰かけるエドワードの膝の上。
そこに、真っ赤な顔でちょこんと座らされているのは――エリザベスだった。
「……あ、あの、え、エドワード様。これは、さすがに……」
耳まで真っ赤にしながら、視線を泳がせる。
彼女の前に置かれた皿は、すでに一口分に切り分けられている。
そのフォークを握っているのは――彼女ではなく、エドワードの方だった。
「いやか?」
低い声が囁くように耳へ落ちる。
そのまま、ナイフとフォークを器用に操り、ひと切れをすくって口元へと差し出した。
「ほら、口を開けて。……“あーん”だ」
「っ……! そんな、子ども扱いしないでくださいませ!」
「子どもではない。私の妻になる人だ。だからこそ、食べさせてやりたい」
そう言われてしまっては、抗うことなどできない。
エリザベスは頬を赤らめたまま、意を決して小さく口を開いた。
「……あ、あーん……」
フォークの先が唇をかすめ、舌の上に乗せられる。
美味しいはずの料理の味が、熱に溶かされたように曖昧になった。
「よくできた。……もう一口」
「い、いりませんっ……!」
じっと見つめられ、観念してまた口を開く。
彼の微笑みと、優しく触れる指先だけで胸が高鳴って仕方がなかった。
その様子を少し離れた場所で見ていたラウルとマーシャは、思わず目を合わせる。
昨日まで互いに想いを隠し、すれ違っていた二人が、ようやく心を通わせたのだ。
ラウルはそっと一歩進み出て、声をかけた。
「旦那様……そろそろなのではありませんか」
エドワードは片眉を上げ、膝の上で固まっているエリザベスの髪を撫でながら答える。
「ああ。そうだな。――結婚式の準備を始めよう」
その言葉に、エリザベスの胸が高鳴る。
けれども次の瞬間、彼女は小さく首を横に振った。
「……いけません」
「なに?」
「大々的に式を挙げれば……わたくしだけではなく、エドワード様の存在もリンドブルグに知られてしまいます。それは、まだ――危ういのです」
言葉を選びながらも、彼女の声音はしっかりと強い。
それは、愛する人を守るための決意の響きだった。
エドワードはしばし沈黙し、納得しかけたが……眉間に皺を寄せた。
「……しかし、君を私の妻として公に示したいのだが」
その声音には、隠せぬ不満がにじむ。
だがエリザベスの真剣な瞳を見て、彼は深く息を吐いた。
「……分かった。ならば式は後にしよう。だが――婚姻手続きだけは済ませる」
「……ええ。それなら」
エリザベスが小さく頷くと、彼の瞳がわずかに安堵の色を宿した。
そして――。
ワインの杯を傾けるような余裕の笑みを浮かべ、エドワードは口元に手を添えた。
「木を隠すなら森の中、だ」
「……森?」
「カルロスとアナスタシアの婚礼を、盛大に催せばいい。世間の目はすべてそちらに向かう。我らの婚姻は、その影に隠す」
彼の声は静かだが、策士らしい光を帯びていた。
エリザベスは一瞬呆気に取られたが、次第に納得し、思わず微笑んだ。
「ふふ、閣下らしいお考えですわ」
◆
数週間後 ――王都・大聖堂前
その日、王都は朝からざわめきに満ちていた。
白い鳩が城門の塔を飛び立ち、花飾りに包まれた通りを、黄金の陽光が照らしていた。
窓辺から覗く子供たちは花びらを両手で投げ、商人たちでさえ店を閉じて祝宴の空気に浸っている。
街の中心を貫く大通りには、人、人、人――。
衛兵が花弁を撒き、楽団が優雅な旋律を奏で、王国の紋章旗が高く掲げられていた。
鐘の音が鳴り響く。
それは王都だけでなく、周辺の島々にまで届くほどの荘厳な音色だった。
人々は皆、胸に手を当て、口々に新たな夫婦の幸福を祈る。
やがて、大聖堂の扉がゆっくりと開かれた。
純白の光が射し込み、そこから現れた二つの影に、群衆は息を呑む。
新郎カルロス・フォン・ルシエンテス。
銀の刺繍を施した白の礼装に、肩章と勲章が静かに輝く。
真っ直ぐ前を見据えるその姿は、王国の若獅子と称えられるにふさわしい威厳に満ちていた。
隣に立つのは、新婦アナスタシア・フォン・アウローラ。
朝露を含んだ花のようなドレスが陽光を受け、細やかな刺繍が一面に光を散らす。
その純白のヴェールが風を受けて揺れ、銀糸の髪が淡く光を返す。
まるで“冬の月と氷の光”が寄り添うような二人の姿に、群衆から歓声が上がった。
人々の瞳には、希望と未来が映っていた。
神官の祝詞が静かに響く。
荘厳な声が高い天井へ反響し、聖堂のステンドグラスが虹色に輝いた。
花々の香りが風に乗って漂い、アナスタシアがゆっくりとカルロスの指に指輪を滑らせる。
指輪が光を弾く。
その瞬間、祭壇の扉が開かれ、数百羽の白鳩が放たれた。
空へと舞い上がる鳩たちの羽音とともに、花弁が無数に舞い、世界が祝福の光に包まれた。
指輪が交わされた後、神官が静かに手を掲げた。
その荘厳な声が高天井へと反響し、空気が凜と張り詰める。
「――カルロス・フォン・ルシエンテス。汝は、アナスタシアを妻とし、生涯その手を離さぬと誓うか」
カルロスは一歩前へ進み、アナスタシアの前に立った。
真っ直ぐに彼女の瞳を見据え、低く、それでいて力強い声で答える。
「誓う。嵐の日も、凪の夜も、彼女の隣に立ち続けると。――この命が尽きるまで、彼女の心を守り抜くと、神と民と、王国に誓う」
その言葉に、会場全体が静まり返る。
彼の声が響いたあと、ただ純粋な敬意の空気だけが残った。
神官が頷き、今度は新婦に問う。
「アナスタシア・フォン・アウローラ。汝はカルロスを夫とし、共に歩むことを誓うか」
アナスタシアはそっと顔を上げた。
金のまつ毛が光を受け、微笑をたたえるその瞳には、確固たる意志が宿っている。
「誓います。共に戦い、共に笑い、彼の傍らにある限り、ルシエンテスの民を導きましょう。――私は、彼の剣であり、彼の盾であり続けます」
その瞬間、参列者の間からざわめきが起こった。
“姫”が“戦う者の言葉”で誓いを述べるなど、かつてならあり得なかった。
けれど、今や誰もそれを笑わない。
むしろ、民は感嘆の息を漏らした。
彼女こそ、今や王国の戦略を支えし**〈軍師姫〉**――。
かつて「欠陥姫」と蔑まれた少女は、己の知略と勇気で騎士団を導き、いまこうして人々の前で誇り高く誓いを立てている。
カルロスが手を差し伸べ、アナスタシアの指を取る。
二人の指が絡み合った瞬間、外の鐘が鳴り響いた。
それはまるで、王国全土がふたりの誓いを讃えるかのようだった。
カルロスは微笑み、アナスタシアの頬へそっと口づけを落とす。
民衆が歓声を上げ、兵士たちは剣を掲げ、楽団が凱旋の調べを奏でた。
その光景は、まさに王国の繁栄そのもの――。
群衆の歓声の中、王国騎士団の列が整然と並び、彼らの祝福を見守っていた。
先頭に立つ騎士団長ライナルトは、年老いた手を胸に当て、静かに目を閉じた。
「……ようやく、この国に春が来たな」
その呟きは誰に聞かれるでもなく、誇りと涙が滲んでいた。
副団長のエルヴェは姿勢を正しながらも、唇の端に微笑を浮かべる。
「お幸せに」
そして列の後方、護衛騎士ヴィクトール。
アナスタシアを長年護ってきた彼は、誇らしげな笑顔を浮かべながらも、頬を濡らしていた。
頑なに背筋を伸ばしたまま、涙が途切れず頬を伝う。
隣の騎士が「おい、大丈夫か?」と小声で呟くと、彼は鼻をすすりながら震える声で言い返した。
「な、泣いてなんか……っ……ううっ……違う……これは……尊さが、限界を超えただけだ……!」
周囲の騎士たちが思わず笑い、空気が柔らかく揺れる。
その笑い声すら、まるで祝福の一部のように響いていた。
やがて誓いの口づけが交わされ、花弁が空へと舞う。
カルロスがアナスタシアの手を取り、ゆっくりと歩き出す。
兵士たちは剣を掲げ、陽光が刃に反射してきらめいた。
――誰も気づかない。
その人波の中に、すでに“もう一組の夫婦”が寄り添って立っていることを。
参列者として式を見守るエドワードとエリザベス。
彼女は控えめなドレスに身を包み、夫の腕にそっと手を添える。
それはまるで、世界に二人だけの秘密を共有しているようだった。
「……こうまで大々的に隠れ蓑にされるとはな」
カルロスが壇上から目線だけでエドワードを見つけ、口の端を上げる。
「ふふ、閣下らしいお考えですわ」
アナスタシアが柔らかく微笑み、肩を並べる。
祝福の鐘が高らかに鳴り響く。
王国が歓喜に包まれるその日――
誰にも知られぬ場所で、侯爵と人魚姫は静かに視線を交わし、指先を重ねた。
――それは、誰の祝福にも頼らぬ、静かなる二人の永遠の誓いだった。
白いクロスのかかった長いテーブルには、美しく整えられた朝食が並んでいた。
だが、その光景はいつもとはまるで違っていた。
椅子に腰かけるエドワードの膝の上。
そこに、真っ赤な顔でちょこんと座らされているのは――エリザベスだった。
「……あ、あの、え、エドワード様。これは、さすがに……」
耳まで真っ赤にしながら、視線を泳がせる。
彼女の前に置かれた皿は、すでに一口分に切り分けられている。
そのフォークを握っているのは――彼女ではなく、エドワードの方だった。
「いやか?」
低い声が囁くように耳へ落ちる。
そのまま、ナイフとフォークを器用に操り、ひと切れをすくって口元へと差し出した。
「ほら、口を開けて。……“あーん”だ」
「っ……! そんな、子ども扱いしないでくださいませ!」
「子どもではない。私の妻になる人だ。だからこそ、食べさせてやりたい」
そう言われてしまっては、抗うことなどできない。
エリザベスは頬を赤らめたまま、意を決して小さく口を開いた。
「……あ、あーん……」
フォークの先が唇をかすめ、舌の上に乗せられる。
美味しいはずの料理の味が、熱に溶かされたように曖昧になった。
「よくできた。……もう一口」
「い、いりませんっ……!」
じっと見つめられ、観念してまた口を開く。
彼の微笑みと、優しく触れる指先だけで胸が高鳴って仕方がなかった。
その様子を少し離れた場所で見ていたラウルとマーシャは、思わず目を合わせる。
昨日まで互いに想いを隠し、すれ違っていた二人が、ようやく心を通わせたのだ。
ラウルはそっと一歩進み出て、声をかけた。
「旦那様……そろそろなのではありませんか」
エドワードは片眉を上げ、膝の上で固まっているエリザベスの髪を撫でながら答える。
「ああ。そうだな。――結婚式の準備を始めよう」
その言葉に、エリザベスの胸が高鳴る。
けれども次の瞬間、彼女は小さく首を横に振った。
「……いけません」
「なに?」
「大々的に式を挙げれば……わたくしだけではなく、エドワード様の存在もリンドブルグに知られてしまいます。それは、まだ――危ういのです」
言葉を選びながらも、彼女の声音はしっかりと強い。
それは、愛する人を守るための決意の響きだった。
エドワードはしばし沈黙し、納得しかけたが……眉間に皺を寄せた。
「……しかし、君を私の妻として公に示したいのだが」
その声音には、隠せぬ不満がにじむ。
だがエリザベスの真剣な瞳を見て、彼は深く息を吐いた。
「……分かった。ならば式は後にしよう。だが――婚姻手続きだけは済ませる」
「……ええ。それなら」
エリザベスが小さく頷くと、彼の瞳がわずかに安堵の色を宿した。
そして――。
ワインの杯を傾けるような余裕の笑みを浮かべ、エドワードは口元に手を添えた。
「木を隠すなら森の中、だ」
「……森?」
「カルロスとアナスタシアの婚礼を、盛大に催せばいい。世間の目はすべてそちらに向かう。我らの婚姻は、その影に隠す」
彼の声は静かだが、策士らしい光を帯びていた。
エリザベスは一瞬呆気に取られたが、次第に納得し、思わず微笑んだ。
「ふふ、閣下らしいお考えですわ」
◆
数週間後 ――王都・大聖堂前
その日、王都は朝からざわめきに満ちていた。
白い鳩が城門の塔を飛び立ち、花飾りに包まれた通りを、黄金の陽光が照らしていた。
窓辺から覗く子供たちは花びらを両手で投げ、商人たちでさえ店を閉じて祝宴の空気に浸っている。
街の中心を貫く大通りには、人、人、人――。
衛兵が花弁を撒き、楽団が優雅な旋律を奏で、王国の紋章旗が高く掲げられていた。
鐘の音が鳴り響く。
それは王都だけでなく、周辺の島々にまで届くほどの荘厳な音色だった。
人々は皆、胸に手を当て、口々に新たな夫婦の幸福を祈る。
やがて、大聖堂の扉がゆっくりと開かれた。
純白の光が射し込み、そこから現れた二つの影に、群衆は息を呑む。
新郎カルロス・フォン・ルシエンテス。
銀の刺繍を施した白の礼装に、肩章と勲章が静かに輝く。
真っ直ぐ前を見据えるその姿は、王国の若獅子と称えられるにふさわしい威厳に満ちていた。
隣に立つのは、新婦アナスタシア・フォン・アウローラ。
朝露を含んだ花のようなドレスが陽光を受け、細やかな刺繍が一面に光を散らす。
その純白のヴェールが風を受けて揺れ、銀糸の髪が淡く光を返す。
まるで“冬の月と氷の光”が寄り添うような二人の姿に、群衆から歓声が上がった。
人々の瞳には、希望と未来が映っていた。
神官の祝詞が静かに響く。
荘厳な声が高い天井へ反響し、聖堂のステンドグラスが虹色に輝いた。
花々の香りが風に乗って漂い、アナスタシアがゆっくりとカルロスの指に指輪を滑らせる。
指輪が光を弾く。
その瞬間、祭壇の扉が開かれ、数百羽の白鳩が放たれた。
空へと舞い上がる鳩たちの羽音とともに、花弁が無数に舞い、世界が祝福の光に包まれた。
指輪が交わされた後、神官が静かに手を掲げた。
その荘厳な声が高天井へと反響し、空気が凜と張り詰める。
「――カルロス・フォン・ルシエンテス。汝は、アナスタシアを妻とし、生涯その手を離さぬと誓うか」
カルロスは一歩前へ進み、アナスタシアの前に立った。
真っ直ぐに彼女の瞳を見据え、低く、それでいて力強い声で答える。
「誓う。嵐の日も、凪の夜も、彼女の隣に立ち続けると。――この命が尽きるまで、彼女の心を守り抜くと、神と民と、王国に誓う」
その言葉に、会場全体が静まり返る。
彼の声が響いたあと、ただ純粋な敬意の空気だけが残った。
神官が頷き、今度は新婦に問う。
「アナスタシア・フォン・アウローラ。汝はカルロスを夫とし、共に歩むことを誓うか」
アナスタシアはそっと顔を上げた。
金のまつ毛が光を受け、微笑をたたえるその瞳には、確固たる意志が宿っている。
「誓います。共に戦い、共に笑い、彼の傍らにある限り、ルシエンテスの民を導きましょう。――私は、彼の剣であり、彼の盾であり続けます」
その瞬間、参列者の間からざわめきが起こった。
“姫”が“戦う者の言葉”で誓いを述べるなど、かつてならあり得なかった。
けれど、今や誰もそれを笑わない。
むしろ、民は感嘆の息を漏らした。
彼女こそ、今や王国の戦略を支えし**〈軍師姫〉**――。
かつて「欠陥姫」と蔑まれた少女は、己の知略と勇気で騎士団を導き、いまこうして人々の前で誇り高く誓いを立てている。
カルロスが手を差し伸べ、アナスタシアの指を取る。
二人の指が絡み合った瞬間、外の鐘が鳴り響いた。
それはまるで、王国全土がふたりの誓いを讃えるかのようだった。
カルロスは微笑み、アナスタシアの頬へそっと口づけを落とす。
民衆が歓声を上げ、兵士たちは剣を掲げ、楽団が凱旋の調べを奏でた。
その光景は、まさに王国の繁栄そのもの――。
群衆の歓声の中、王国騎士団の列が整然と並び、彼らの祝福を見守っていた。
先頭に立つ騎士団長ライナルトは、年老いた手を胸に当て、静かに目を閉じた。
「……ようやく、この国に春が来たな」
その呟きは誰に聞かれるでもなく、誇りと涙が滲んでいた。
副団長のエルヴェは姿勢を正しながらも、唇の端に微笑を浮かべる。
「お幸せに」
そして列の後方、護衛騎士ヴィクトール。
アナスタシアを長年護ってきた彼は、誇らしげな笑顔を浮かべながらも、頬を濡らしていた。
頑なに背筋を伸ばしたまま、涙が途切れず頬を伝う。
隣の騎士が「おい、大丈夫か?」と小声で呟くと、彼は鼻をすすりながら震える声で言い返した。
「な、泣いてなんか……っ……ううっ……違う……これは……尊さが、限界を超えただけだ……!」
周囲の騎士たちが思わず笑い、空気が柔らかく揺れる。
その笑い声すら、まるで祝福の一部のように響いていた。
やがて誓いの口づけが交わされ、花弁が空へと舞う。
カルロスがアナスタシアの手を取り、ゆっくりと歩き出す。
兵士たちは剣を掲げ、陽光が刃に反射してきらめいた。
――誰も気づかない。
その人波の中に、すでに“もう一組の夫婦”が寄り添って立っていることを。
参列者として式を見守るエドワードとエリザベス。
彼女は控えめなドレスに身を包み、夫の腕にそっと手を添える。
それはまるで、世界に二人だけの秘密を共有しているようだった。
「……こうまで大々的に隠れ蓑にされるとはな」
カルロスが壇上から目線だけでエドワードを見つけ、口の端を上げる。
「ふふ、閣下らしいお考えですわ」
アナスタシアが柔らかく微笑み、肩を並べる。
祝福の鐘が高らかに鳴り響く。
王国が歓喜に包まれるその日――
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