海が囁く誓い ー冤罪で島流しになった令嬢は、初恋王子と戀に堕ちるー

まめなちゅせん

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閃光の剣、月下の口づけ*

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 光と火が交錯する中、決闘の幕が切って落とされた。
 だが、広間を支配するのは炎の熱ではなく、鋭い剣戟の音だった。

「はあっ!」

 エルヴェの剣が鋭く閃き、炎の魔力を纏った斬撃が容赦なくエドワードへと襲いかかる。
 だがエドワードは、一歩も退かない。
 軽やかに剣を操り、そのすべてを受け流すようにいなしていた。

 金属がぶつかる火花が散るたび、見物していた騎士や医療団員たちは息を呑む。
 彼らの目には、次第にエドワードが押されているように映っていた。
 特にエリザベスには、その光景は胸を締め付けるものに見える。

(エドワード様……! このままでは……!)

 必死に祈るような視線を送るエリザベス。
 だが、彼女の不安をよそに、背後から聞こえたのは軽やかな笑い声だった。

「ふむ、随分と楽しそうじゃないか」

 振り返ると、広間の入口にカルロスとアナスタシア姫が姿を現していた。
 騎士団長と医療副団長が慌てて跪こうとするが、カルロスは片手を上げて制する。

「構わん。しばらく観戦といこう」

 その声音には余裕があった。まるで、勝敗の結末を既に知っているかのように。
 不思議に思うエリザベスへ、隣のアナスタシア姫が微笑みを向ける。

「ご安心なさいませ。エリザベス様」

「……え?」

「わたくしには、見えておりますの。――閣下が、ただ受け流しているだけだと」

 アナスタシアの言葉に、エリザベスは目を見開いた。
 その瞳には確信が宿っている。彼女の隣でカルロスも頷き、愉快そうに口元を緩めていた。

 いなされていると最も痛感していたのは、剣を振るっている本人――副団長エルヴェだった。

(くそっ……! 何故だ、何故だ! たかが侯爵の身で、これほどまでの剣技を……!)

 苛立ちと焦りが彼の呼吸を乱す。
 次の瞬間、彼は叫ぶようにして炎を爆発させた。

「燃え尽きろおおッ!」

 炎の奔流が剣と共に奔る。広間に熱気が渦巻き、観客たちが思わず悲鳴を上げた。

「エルヴェ、やめろ!」

 騎士団長の怒声が飛ぶ。

「エドワード様っ!」

 エリザベスが息を呑む。

 だが――

「――光は癒しだけではない」

 低く響いた声と同時に、白銀の輝きが広間を満たした。
 エドワードの剣から放たれた光が、燃え盛る炎を一瞬で呑み込み、相殺したのだ。

 そして次の一撃。
 閃光の剣が、エルヴェの剣を弾き飛ばした。

「っ……!」

 床に響く金属音と共に、エルヴェの体は大きく揺れ、膝をつく。
 そのまま力なく前へ倒れ込んだ。

 広間に静寂が訪れる。

「完敗です……」

 呻くような声が、敗者の口からこぼれ落ちた。

 騎士団長は怒りを抑えきれず、声を張り上げた。

「馬鹿者ッ! 身の程を知れ!」

 副団長の肩を叩きつけるように押さえつけると、深々と頭を下げて謝罪する。

「侯爵閣下、人魚姫様。部下の非礼、心よりお詫び申し上げます!」

 緊張が解けたように、エリザベスは大きく息を吐いた。
 安堵に胸を撫で下ろす彼女へ、静かに歩み寄る影があった。

 ――エドワードだった。

「……エドワード様」

 その瞬間、カルロスの笑い声が響く。

「最後は手加減無しか。やはり恐ろしい男だ」

 アナスタシア姫も柔らかに微笑み、言葉を添える。

「わたくしの見解通りですわ。閣下はお強い。……あの時もそうでしたでしょう? エリザベス様に向かって飛んできた剣。閣下ならば弾き返すことも出来たのに、わざと受けられましたね」

「っ……!」

 エリザベスは目を丸くする。

 アナスタシアは口元を押さえ、くすりと笑った。

「あら、いけません。秘密でしたのね」

「さすがはアナスタシア殿下。その尊眼は軍師そのものですね」

 エドワードは穏やかに微笑む。

「……え?」

 エリザベスの驚きは増すばかりだった。

 カルロスが肩を揺らして笑う。

「いずれはバレることさ」

 その時、よろめきながら立ち上がったのは、敗北した副団長エルヴェだった。
 剣を失い、衣服を焦がしながらも、彼はなお前を向く。

「……完敗です、侯爵閣下」

 その震える声は、悔恨と屈辱に満ちていた。

 広間を包む沈黙を破ったのは、騎士団長の低い声だった。

「……侯爵閣下。エルヴェの処罰はいかようにも。王国騎士団を預かる身として、この不始末、断じて許すつもりはございません」

 その声音には怒りと同時に、深い悔恨が滲んでいた。
 彼は副団長を跪かせると、己もまた床に額を擦り付けるようにして頭を垂れた。

 その隣で、エルヴェは呆然と膝をついたまま動かない。
 最年少で王国騎士副団長まで登り詰めた己の力を、疑ったことすらなかった。
 欲しいものは力で奪い、名誉も地位も思いのままにしてきた。
 だからこそ――人魚姫さえも、簡単に奪えると思い込んでいたのだ。

(だが……全てが、違った)

 光に呑まれ、剣を弾かれ、完全にいなされ続けた。
 心が折れる音が、自分自身に響いていた。

「……打首もありえる」

「副団長殿……」

 周囲の騎士や医療団員たちが震えながら囁き合う。
 誰もが血の匂いを覚悟したその時。

 エドワードは静かに剣を返した。
 戦いの間だけ借りていた剣を、持ち主の騎士へと手渡す。

「良い余興になっただろう」

 まるで大したことではないとでも言うように、微笑んだ。
 そしてエリザベスへと振り返る。

「さ、帰ろう。エリザベス」

 その言葉に、彼女の顔が柔らかにほころぶ。

「……ええ、エドワード様」

 場の空気が和みかけたその瞬間。

「お待ちください!」

 エルヴェが叫んだ。
 血走った目で必死に立ち上がろうとする。

「貴様! まだ言うか!」

 団長が怒声を上げるが、エルヴェは振り絞るように続けた。

「このままでは……私は……!」

 声はかすれていた。己の誇りが崩れ落ちるのを必死に止めようともがいていた。

 しかし、エドワードは一瞥しただけで言い放つ。

「――無礼講だろう?」

 その一言に、エルヴェの身体が震えた。
 敗北を覆す余地すら与えられない。赦されたことが、何よりも屈辱だった。

 カルロスが肩を揺らして笑う。

「さすがは閣下。容赦の仕方すら恐ろしい」

 アナスタシア姫も小さく両手を打ち合わせ、瞳を輝かせる。

「幻の光魔法……生まれて初めて目にしましたわ。ああ、感動いたしました」

 こうして決闘は、誰一人血を流すことなく終わった。
 だが――お咎め無しという判定こそ、エルヴェにとって最も重い罰。
 そのことに気付いていたのは、エルヴェ本人と、エドワード、そしてカルロスだけだった。



 ◆


 決闘が終わり、騎士団長の叱責と謝罪が収まると、広間にはまだ緊張の余韻が漂っていた。
 剣を収めたエドワードは一言「良い余興だった」と告げただけで、エリザベスの肩を抱き寄せる。

 その仕草に周囲は安堵の吐息を漏らし、ようやく場が解けていった。
 けれどもエリザベスの胸はまだ早鐘を打ったまま。彼の背中を見つめながら、足取りを合わせるのが精一杯だった。

(……怪我は、本当にしていないのかしら)

 彼女が不安げに横顔を窺うと、エドワードは気付いたように目を細め、そっとその手を握った。
 柔らかな温もりが伝わり、言葉よりも確かな安堵を与えてくれる。

 屋敷へ戻る馬車の中。
 二人は並んで座っていたが、しばらくは言葉がなかった。
 ただ車輪の揺れと、互いの吐息だけが夜気の中に溶けていく。

 こうして、屋敷へ戻ったエドワードとエリザベス。

 先ほどまでの緊張が嘘のように、二人きりの空気は穏やかで甘い。
 応接間のランプの下、エドワードはソファに腰を下ろすと、隣に座ったエリザベスの手をそっと取った。

「怖かっただろう?」

「……ええ。でも……誇らしかったのです」

 エリザベスの瞳は潤んでいた。
 その輝きに、エドワードは思わず微笑む。

「貴女を守るためなら、私は何度でも剣を抜く」

「……そんなに言われてしまっては……もう、怒れませんわ」

 彼女は小さく肩をすくめて微笑み、やがて彼の胸に身を預けた。
 心臓の鼓動が重なり合い、互いの体温が伝わる。

 二人はソファに身を寄せ合いながらも、なお距離を縮めていく。
 重ねた唇を離しても、互いの吐息が頬を撫で、熱を帯びた視線が絡み続けた。

「……エリザベス。もっと近くに」

 囁きと共に、エドワードは彼女を抱き上げた。
 驚きに小さく声を上げた彼女を、そのまま寝室へと運ぶ。
 扉が静かに閉ざされ、世界は二人だけのものとなった。

 月明かりに照らされる寝台へと降ろされると、エリザベスの胸が小さく上下する。
 その白い頬は熱を帯び、紅潮していた。

「……エドワード様……ん」

 震える声。
 それを遮るように、彼の唇が首筋へと触れる。

 くすぐったさと熱に、彼女は思わず肩を竦めるが、逃れられない。
 腕の中に捕らえられ、彼の熱に飲み込まれていく。

「恐れなくていい。……すべて、委ねてほしい」

 低く落とされた声は甘やかでありながら、有無を言わせぬ強さを帯びていた。
 彼の指先が彼女の髪を梳き、頬をなぞり、そして――手をそっと握る。

「この手を、離さない」

 その言葉に、エリザベスの胸が熱くなる。
 涙すら滲むほどの愛しさに、彼女は彼の首に両腕を回し、縋りついた。

「……はい。わたくしも、離しません」

 再び重なった唇は、先ほどよりも深く、熱を帯びていた。
 やがて口づけは甘いだけでなく、互いを確かめ合うように強く、長く続いていく。

 彼女の細い肩を抱き寄せ、髪へ、耳へ、唇を這わせる。
 エリザベスは小さく息を漏らし、紅潮した顔を隠すように胸元へ顔を埋めた。

「エドワード様……昨日は、あんな言い方をしてごめんなさい」

 ためらいがちな声と共に、エリザベスは彼の背中へ両手を回し、抱きついた。
 厚い胸板に頬を擦り寄せれば、安堵と甘やかな高揚が胸を満たしていく

「私こそ、すまなかった」

 低い声が耳元に落ちる。

「君の言う通り、あんな所でこの柔肌を味わえば……君の尊厳を傷つけていた」

 そう囁きながら、彼の指が昨日痕をつけかけた首筋を撫でる。
 ひと筋の刺激に、エリザベスの身体が小さく震えた。

「それに――騎士たちに君のこんな表情を見せるところだった」

 首筋にそっと口づけが落ちる。

「んっ……こんな表情、とは……?」

「私にしか見せてはならない、妖艶な顔だ」

 囁きは熱を帯び、牙を隠した獣のように甘美。

「こんな表情を知れば、あの騎士以上に、君の魅力に狂う者が現れるだろう」

「そんなこと――あっ!」

 ジュッと音を立て、彼の唇が痕を刻む。
 しかもドレスでは隠しづらい位置に。

 本当は恥ずかしい。だが――。
 自分を身を挺して守ってくれた彼の望みを、拒むことなどできなかった。

「え、エドワード様……そんなに、何箇所も……んっ」

「足りないくらいだ。君の魅了は、男を狂わせる」

 気づけばドレスのリボンは解かれ、肩口が滑り落ちていた。
 白い肌に、首に、鎖骨に……花弁のように刻まれる痕。

「あ、ん……っ」

 痕を残すたび、仕上げのように噛み、舌で舐め上げられる。
 そのたびに身体から力が抜け、いつの間にか彼の膝の上へ座らされていた。

 視線は並び、距離はほとんどない。
 愛おしげに細められた瞳に、心臓が強く跳ねた。

「……つけられるのは、嫌ではないのか」

「嫌というより……その……恥ずかしいのです。それに」

「それに?」

「……身を挺して守ってくださった貴方のご希望に、応えたいの……」

 その一言に、彼の瞳が細められる。

「……傷を負った甲斐があったな」

 言うや、支えられた背が反らされ、唇が胸へと降りる。

「あっ、ぁ……」

 舌で転がされ、吸い上げられる。
 小さな突起はすぐに硬さを帯び、くすぐるような熱で全身が痺れる。

「や、ぁ……っ」

 腰が勝手に跳ね、抑えきれない声が漏れる。

「そ、そこには……痕は……残らな……っ」

「そうだな。既に君色に染まっているからな」

「ひゃう……!」

 再び甘噛みされ、痕ではなく快楽だけが刻まれる。

「この愛らしい所に、色付ける必要はない」

「んっ、んー!」

 背をなぞる手が下へと降りていき、思わず声を抑え込んだ。

胸にもう一度吸い付き、同時に背を支える手が上から下へと動き始め、仰け反る背を撫でていく。
その刺激に思わず漏れ出す声を手でなんとか抑えた。

「……背中は、もう痛まないの、ですか」

「ああ、魔法で癒えた。あの程度、問題ない」

「それでも……痛みはあったはずです。もう、仲直りのために……あんな無茶、なさらないで」

 愛らしく願われ、彼は微笑んだ。

「……そんなに可愛く頼まれては、従うしかないな」

 そう囁きながら、手はさらに深くへと忍び込む。

「エドワード様、ま、待っ――」

「待たない。いい加減、理解してもらう」

 内腿を撫で、指が解き放つ。
 秘められた果実が露わになり、震える蕾が触れられる。

「あぁ、ひゃっ……!」

「君は私のものだ。この声も、身体も、誰にも渡さない」

 エドワードの指が膣内を犯し始める。慣れ始めた圧迫感に、エリザベスの身体は快楽を拾うようになっていた。

「君の魅了は強力すぎる。風の令息といい、土騎士といい」

「あッ、や、ん!」

「あの若騎士といい、無意識に男を虜にする」

「わ、わたくしは……なにも……っあぁ!」

「だからこそ怖い。無自覚に男を虜にしている……私の知らぬところで触れられるなど、絶対に許さない」

 蕾を愛撫する指に翻弄され、エリザベスは必死に声を押し殺し、こくこくと頷いた。

「……いい子だ」

 そう囁きと共に与えられる熱。
 意識が白く塗りつぶされ、彼の腕の中で果てた。

「あっ、あぁ、んー……!」

 遠のく意識の中、彼の声だけがはっきりと耳に届く。

「――愛している。エリザベス」

 その言葉に、震える唇がかすかに動いた。

「わたくしも……ずっと前から……お慕いして……」

 そう告げて、彼女は力を失う。

 膝の上で気を失った彼女を抱きしめながら、エドワードの表情は驚愕に固まった。

「……は……? 慕って……ずっと前から?」

 初めて。
 ようやく。
 彼の知らぬ想いが、その口から零れ落ちたのだった。
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