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ふたりの始まりの初夜*
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夜の帳が王都を包み、タウンハウスの窓辺に淡い灯がともる。
侍女たちが去った後、寝室には柔らかな香と、整えられた寝具の気配だけが残っていた。
鏡台の前で、エリザベスはそっと息を吐いた。
彼女が身に纏っているのは、タウンハウスの侍女全員による“真剣勝負”の末に選ばれた夜着だった。
生地は、東方から取り寄せたという極上の絹。
光の加減で淡い青から銀へと表情を変えるその布は、まるでエドワードの瞳の色を閉じ込めたようだ。
胸元には、エリザベス自身の瞳と同じ色――透きとおる灰青のリボンが小さく結ばれている。
控えめでありながら可憐、上品でありながらどこか甘い。
まさしく、侍女たちが“これぞ夫人にふさわしい一着”と胸を張った渾身の品だった。
――もっとも、侍女たちの選考会はまるで戦場のようだった。
「これこそ奥様の清楚さを引き立てますわ!」
「いえ、こちらの透け感こそ旦那様を虜に――!」
「待って、落ち着いて。誰か、くじを引きましょう!」
リーナが慌てて持ってきた紙片に、それぞれの案を記して引き当てた結果――
この、青銀の絹の夜着が選ばれたのだった。
その情熱を思い出し、エリザベスは思わず小さく笑みを漏らす。
しかし、鏡に映る自分の姿を見て――すぐに顔が熱くなった。
(……こ、こんなに……肌が、出てしまっているなんて)
肩口は軽く露わになり、布地は身体の線を柔らかくなぞる。
決して下品ではない。けれど、清楚な彼女にとっては十分すぎるほど大胆だった。
指先がわずかに震える。
何度か肌を寄せ合ったことはあっても、今夜は正式な夫婦として迎える夜。
胸の鼓動が、落ち着く気配を見せない。
――と、扉の外から静かな足音が近づいてくる。
ノックの音が、ゆっくりと響いた。
「……エリザベス、入ってもいいか?」
その声を聞いた瞬間、エリザベスの心臓が跳ねた。
返事をしようとしても声がうまく出ず、どうにか「はい」と囁くように答える。
扉が開き、入ってきたのはガウンを羽織ったエドワードだった。
淡い灯りが彼の姿を照らす緩く結ばれた髪、無造作に開いた襟元、長い脚。
普段の完璧な侯爵の顔とは違う、どこか柔らかで、危ういほどに色気を帯びた姿だった。
「遅くなってすまない。思っていたより、こちらでの仕事が溜まっていて……ふっ」
ふと、エリザベスの方へ目を向けた彼が、息を止めた。
驚きと、微かな笑みが混ざる。
そして、緊張で固まっている彼女の様子に気づき、優しく微笑んだ。
「……美しいな。それに、少し……照れているのか?」
「わたくしは別のを望んだのですが……その……侍女たちが、この夜着をと……」
言葉がもつれて、まるで言い訳のようになってしまう。
エドワードは短く笑い、ゆっくりと彼女の前まで歩み寄った。
「侍女たちの審美眼に、心から感謝したくなるな」
「そ、そんな……!」
顔を真っ赤にするエリザベスの手を、エドワードがそっと取る。
その手を包み込む掌は温かく、力強い。
彼はそのまま彼女の指先に唇を寄せ、低く囁いた。
「――その姿を見られるのは、この世で私だけだ」
その言葉に、胸の奥がきゅうと締めつけられる。
不安も、緊張も、ゆっくりと溶けていくようだった。
エリザベスはそっと息を吸い、微笑んだ。
エドワードが傍にいる――ただそれだけで、心が満たされていく。
「エ、ドワードさ、ま」
ふと、エドワードが彼女の頬を包み込む。
視線が合った瞬間、世界の音がすべて遠ざかるようだった。
唇がそっと触れる。
ほんの短い、触れるだけの口づけ――けれど、それは次第に深く、温度を帯びていく。
「ん……ふ」
息づかいが混じり、互いの鼓動が触れ合う距離で、時間がゆっくりと流れていく。
「んっ、ん……」
不慣れなエリザベスの肩が小さく震えるのを見て、エドワードは静かに笑った。
その笑みには、優しさと、包み込むような愛情が滲んでいる。
「また忘れているのか」
「ふぁ、っは……あ、そう、でした。鼻で、したね」
口付けの最中は鼻で呼吸をするものだが、エリザベスはいつもそれを忘れてしまう。その不慣れさが、エドワードには堪らなく愛おしかった。
「もう一度」
「ん……」
彼の声が、耳の奥で溶けていく。
言葉よりも確かな温もりが、唇から、指先から伝わってくる
「ん、あ……」
エドワードの手が、彼女の頬から髪をすくい、肩をなぞる。
絹のような夜着の布が、かすかに音を立てた。
触れるたびに、彼女の心が波立ち、目を閉じる。
そのまま彼女を抱き寄せ、額を寄せる。
互いの呼吸が重なり合い、静かな吐息が夜気に溶けた。
「甘い香りがする」
「侍女たちが、ぁ、香油を塗ってくれたので……」
リボンを解かれ顕になった胸にエドワードが舌を這わす。
「食べてしまいそうだ」
「ひゃん」
その一言に、エリザベスの頬が再び赤く染まる。
先端を口に含んでは味わうように舌で転がして味わっているのかと思うと、恥ずかしくて仕方がない。羞恥心を紛らわしたくて、エリザベスはせめてもとエドワードのガウンの紐を引く。はらりと解けた腰紐が、彼の肉体美を露わにさせる。
「っ……!」
医療団団長という立場でありながら、第一線で活躍する騎士のような鍛え抜かれた身体に、エリザベスは更に顔を赤くして、見てはいけないものを見てしまったと手で顔を覆う。
そんな彼女が可愛らしくて、エドワードはふっと笑ってガウンを脱いだ。
「見たくて紐を引いたのだろ?」
「っご。ごめんなさい。わたくしったら、なんてはしたないことを」
「この身体は君のものだ。好きにしてくれて構わない。ほら」
エドワードが彼女の顔を隠す手をつかみ、そっと剥がすと自らの胸筋へ導く。びくりと体を震わせるエリザベスは、手に伝わる温かさと自身とは真逆の硬い胸にドキリとした。
「か、硬いのですね……」
「好まないか?」
「まさか! ……素敵だと思って」
「それは良かった」
「んッ、ひゃあ!?」
胸を触らせていた手に唇を寄せて労うと、その手をエドワードの背中へ導いた。
そして、エドワード自身は身体を下げ、エリザベスの下半身へ移動。
開かせた脚の付け根に舌を這わせ、最近可愛がっている蕾を舐め上げた。
「あッ、や! そんな、とこぉ」
「ようやく、君と繋がれる」
「きたない、からぁ……ッあ!」
「君に汚いところなんて存在しない」
「なに、言っ、あッん、あ」
外を丁寧に舐め上げたと思えば、中へ侵入して掻き回す。優しく、円を描くように、徐々にその円を大きくしていく。
拡げられる恥ずかしさに、エリザベスは逃げるように目を瞑った。
「んッ、あ、やぁ」
舌が抜かれ、力を抜くと次は中へ指が入ってきた。
一本、二本と増やされ、更に拡げていく。経験の浅いエリザベスでも分かる。この行為は、彼を受け入れるためのものだと。
「エド、ワ、様ッ」
「ん?」
「ッ!」
目線を合わせば、蕩けるような甘い表情を見せるエドワードに、エリザベスの身体が反応する。
指の形が伝わるほど狭くなった膣内に、エドワードは息を熱くした。
高まる熱に指を動かせば、いつの間にか快楽に慣れていた彼女の身体は言うことを聞くようにあっさり達してしまった。
「やっとだ。やっと君とひとつになれる」
当てがわれた中心は、エリザベスの予想を大きく上回っていて、受け止めてあげられるのか一瞬不安が過ぎる。その変化を見逃さなかったエドワードは、エリザベスに深いキスを落とす。
少し息が上がるまで舌を絡めると同時に、奥へと腰をすすめる。喘ぎにも悲鳴にも似た彼女の声を自身で受け止め飲み込むエドワード。
押し広げられる感覚と裂ける痛みに、エリザベスの瞳から涙が一雫流れた。
「……つらくはないか?」
「っは、い……。平気に、なってきました」
エドワードの心を占める満たされた感情と更なる欲への追求心が、彼の冷静さを欠いてくる。だが、エリザベスの涙の痕を舌で舐めとることで、彼女への配慮が上回る。
「動いても?」
「お好きな、ように」
「ッ、それでは君を傷つけてしまう。辛くなったら言ってほしい」
「っはい、あッ!?」
内側から掻かれる感覚と感じたことのない圧迫感に、変な声が漏れてしまう。この感覚を耐えなくてはいけないと、唇を噛むとエドワードがキスをして力を緩めてくる。
「ひ、あ」
「噛むな。手をこっちへ」
シーツを掴んでいた両手を広い背中へ回すよう誘導され、言われるがまましがみつく。すると、とんと奥まで来られたと同時に、快楽と痛みから逃げるように爪を立てた。
ガリッと――彼の背中を傷つけてしまったと理解しているのに、力を緩めることができない。
「あ、あッ、ごめ、なさ」
「エリザベス……っ」
けれどエドワードは痛みではなく、快感から息を漏らした。その表情に胸がキュンと締め付けられ、身体が反応してしまう。
「っ、すまない。少し耐えてくれ」
「は、いっ、あ! ん!」
腰の動きが早くなり、さらに深く打ち付けられて、エリザベスは声をあげた。
ぐっと押し込まれ、視界にチカチカと光が散った。
「あっ、あ、あぁ!!」
「ッ、は」
繋がれた喜びに、胸がいっぱいになる一夜。
「愛している。エリザベス」
「エドワード様……っ」
灯りがひとつ、またひとつ、静かに落とされる。
外の風がカーテンを揺らし、二人の影が寄り添うように重なった。
夜の帳が深く降りる頃。
王都の片隅で、ひとつの新しい家の灯が、静かにともり続けていた。
侍女たちが去った後、寝室には柔らかな香と、整えられた寝具の気配だけが残っていた。
鏡台の前で、エリザベスはそっと息を吐いた。
彼女が身に纏っているのは、タウンハウスの侍女全員による“真剣勝負”の末に選ばれた夜着だった。
生地は、東方から取り寄せたという極上の絹。
光の加減で淡い青から銀へと表情を変えるその布は、まるでエドワードの瞳の色を閉じ込めたようだ。
胸元には、エリザベス自身の瞳と同じ色――透きとおる灰青のリボンが小さく結ばれている。
控えめでありながら可憐、上品でありながらどこか甘い。
まさしく、侍女たちが“これぞ夫人にふさわしい一着”と胸を張った渾身の品だった。
――もっとも、侍女たちの選考会はまるで戦場のようだった。
「これこそ奥様の清楚さを引き立てますわ!」
「いえ、こちらの透け感こそ旦那様を虜に――!」
「待って、落ち着いて。誰か、くじを引きましょう!」
リーナが慌てて持ってきた紙片に、それぞれの案を記して引き当てた結果――
この、青銀の絹の夜着が選ばれたのだった。
その情熱を思い出し、エリザベスは思わず小さく笑みを漏らす。
しかし、鏡に映る自分の姿を見て――すぐに顔が熱くなった。
(……こ、こんなに……肌が、出てしまっているなんて)
肩口は軽く露わになり、布地は身体の線を柔らかくなぞる。
決して下品ではない。けれど、清楚な彼女にとっては十分すぎるほど大胆だった。
指先がわずかに震える。
何度か肌を寄せ合ったことはあっても、今夜は正式な夫婦として迎える夜。
胸の鼓動が、落ち着く気配を見せない。
――と、扉の外から静かな足音が近づいてくる。
ノックの音が、ゆっくりと響いた。
「……エリザベス、入ってもいいか?」
その声を聞いた瞬間、エリザベスの心臓が跳ねた。
返事をしようとしても声がうまく出ず、どうにか「はい」と囁くように答える。
扉が開き、入ってきたのはガウンを羽織ったエドワードだった。
淡い灯りが彼の姿を照らす緩く結ばれた髪、無造作に開いた襟元、長い脚。
普段の完璧な侯爵の顔とは違う、どこか柔らかで、危ういほどに色気を帯びた姿だった。
「遅くなってすまない。思っていたより、こちらでの仕事が溜まっていて……ふっ」
ふと、エリザベスの方へ目を向けた彼が、息を止めた。
驚きと、微かな笑みが混ざる。
そして、緊張で固まっている彼女の様子に気づき、優しく微笑んだ。
「……美しいな。それに、少し……照れているのか?」
「わたくしは別のを望んだのですが……その……侍女たちが、この夜着をと……」
言葉がもつれて、まるで言い訳のようになってしまう。
エドワードは短く笑い、ゆっくりと彼女の前まで歩み寄った。
「侍女たちの審美眼に、心から感謝したくなるな」
「そ、そんな……!」
顔を真っ赤にするエリザベスの手を、エドワードがそっと取る。
その手を包み込む掌は温かく、力強い。
彼はそのまま彼女の指先に唇を寄せ、低く囁いた。
「――その姿を見られるのは、この世で私だけだ」
その言葉に、胸の奥がきゅうと締めつけられる。
不安も、緊張も、ゆっくりと溶けていくようだった。
エリザベスはそっと息を吸い、微笑んだ。
エドワードが傍にいる――ただそれだけで、心が満たされていく。
「エ、ドワードさ、ま」
ふと、エドワードが彼女の頬を包み込む。
視線が合った瞬間、世界の音がすべて遠ざかるようだった。
唇がそっと触れる。
ほんの短い、触れるだけの口づけ――けれど、それは次第に深く、温度を帯びていく。
「ん……ふ」
息づかいが混じり、互いの鼓動が触れ合う距離で、時間がゆっくりと流れていく。
「んっ、ん……」
不慣れなエリザベスの肩が小さく震えるのを見て、エドワードは静かに笑った。
その笑みには、優しさと、包み込むような愛情が滲んでいる。
「また忘れているのか」
「ふぁ、っは……あ、そう、でした。鼻で、したね」
口付けの最中は鼻で呼吸をするものだが、エリザベスはいつもそれを忘れてしまう。その不慣れさが、エドワードには堪らなく愛おしかった。
「もう一度」
「ん……」
彼の声が、耳の奥で溶けていく。
言葉よりも確かな温もりが、唇から、指先から伝わってくる
「ん、あ……」
エドワードの手が、彼女の頬から髪をすくい、肩をなぞる。
絹のような夜着の布が、かすかに音を立てた。
触れるたびに、彼女の心が波立ち、目を閉じる。
そのまま彼女を抱き寄せ、額を寄せる。
互いの呼吸が重なり合い、静かな吐息が夜気に溶けた。
「甘い香りがする」
「侍女たちが、ぁ、香油を塗ってくれたので……」
リボンを解かれ顕になった胸にエドワードが舌を這わす。
「食べてしまいそうだ」
「ひゃん」
その一言に、エリザベスの頬が再び赤く染まる。
先端を口に含んでは味わうように舌で転がして味わっているのかと思うと、恥ずかしくて仕方がない。羞恥心を紛らわしたくて、エリザベスはせめてもとエドワードのガウンの紐を引く。はらりと解けた腰紐が、彼の肉体美を露わにさせる。
「っ……!」
医療団団長という立場でありながら、第一線で活躍する騎士のような鍛え抜かれた身体に、エリザベスは更に顔を赤くして、見てはいけないものを見てしまったと手で顔を覆う。
そんな彼女が可愛らしくて、エドワードはふっと笑ってガウンを脱いだ。
「見たくて紐を引いたのだろ?」
「っご。ごめんなさい。わたくしったら、なんてはしたないことを」
「この身体は君のものだ。好きにしてくれて構わない。ほら」
エドワードが彼女の顔を隠す手をつかみ、そっと剥がすと自らの胸筋へ導く。びくりと体を震わせるエリザベスは、手に伝わる温かさと自身とは真逆の硬い胸にドキリとした。
「か、硬いのですね……」
「好まないか?」
「まさか! ……素敵だと思って」
「それは良かった」
「んッ、ひゃあ!?」
胸を触らせていた手に唇を寄せて労うと、その手をエドワードの背中へ導いた。
そして、エドワード自身は身体を下げ、エリザベスの下半身へ移動。
開かせた脚の付け根に舌を這わせ、最近可愛がっている蕾を舐め上げた。
「あッ、や! そんな、とこぉ」
「ようやく、君と繋がれる」
「きたない、からぁ……ッあ!」
「君に汚いところなんて存在しない」
「なに、言っ、あッん、あ」
外を丁寧に舐め上げたと思えば、中へ侵入して掻き回す。優しく、円を描くように、徐々にその円を大きくしていく。
拡げられる恥ずかしさに、エリザベスは逃げるように目を瞑った。
「んッ、あ、やぁ」
舌が抜かれ、力を抜くと次は中へ指が入ってきた。
一本、二本と増やされ、更に拡げていく。経験の浅いエリザベスでも分かる。この行為は、彼を受け入れるためのものだと。
「エド、ワ、様ッ」
「ん?」
「ッ!」
目線を合わせば、蕩けるような甘い表情を見せるエドワードに、エリザベスの身体が反応する。
指の形が伝わるほど狭くなった膣内に、エドワードは息を熱くした。
高まる熱に指を動かせば、いつの間にか快楽に慣れていた彼女の身体は言うことを聞くようにあっさり達してしまった。
「やっとだ。やっと君とひとつになれる」
当てがわれた中心は、エリザベスの予想を大きく上回っていて、受け止めてあげられるのか一瞬不安が過ぎる。その変化を見逃さなかったエドワードは、エリザベスに深いキスを落とす。
少し息が上がるまで舌を絡めると同時に、奥へと腰をすすめる。喘ぎにも悲鳴にも似た彼女の声を自身で受け止め飲み込むエドワード。
押し広げられる感覚と裂ける痛みに、エリザベスの瞳から涙が一雫流れた。
「……つらくはないか?」
「っは、い……。平気に、なってきました」
エドワードの心を占める満たされた感情と更なる欲への追求心が、彼の冷静さを欠いてくる。だが、エリザベスの涙の痕を舌で舐めとることで、彼女への配慮が上回る。
「動いても?」
「お好きな、ように」
「ッ、それでは君を傷つけてしまう。辛くなったら言ってほしい」
「っはい、あッ!?」
内側から掻かれる感覚と感じたことのない圧迫感に、変な声が漏れてしまう。この感覚を耐えなくてはいけないと、唇を噛むとエドワードがキスをして力を緩めてくる。
「ひ、あ」
「噛むな。手をこっちへ」
シーツを掴んでいた両手を広い背中へ回すよう誘導され、言われるがまましがみつく。すると、とんと奥まで来られたと同時に、快楽と痛みから逃げるように爪を立てた。
ガリッと――彼の背中を傷つけてしまったと理解しているのに、力を緩めることができない。
「あ、あッ、ごめ、なさ」
「エリザベス……っ」
けれどエドワードは痛みではなく、快感から息を漏らした。その表情に胸がキュンと締め付けられ、身体が反応してしまう。
「っ、すまない。少し耐えてくれ」
「は、いっ、あ! ん!」
腰の動きが早くなり、さらに深く打ち付けられて、エリザベスは声をあげた。
ぐっと押し込まれ、視界にチカチカと光が散った。
「あっ、あ、あぁ!!」
「ッ、は」
繋がれた喜びに、胸がいっぱいになる一夜。
「愛している。エリザベス」
「エドワード様……っ」
灯りがひとつ、またひとつ、静かに落とされる。
外の風がカーテンを揺らし、二人の影が寄り添うように重なった。
夜の帳が深く降りる頃。
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