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しおりを挟むドアスコープから外を窺うと、青いエプロン姿のシュンスケが立っていた。面倒に思いながらもドアを開ける。
「やっほー、リツコちゃん」
「何してるの? コンビニは?」
「トイレ休憩用のプレートを出してきたから大丈夫。それより、今夜一緒に飲まない? リツコちゃんの入居祝いってことで」
「一人暮らしの女の部屋に押し掛けてきて、いきなりそれ?」
「まぁそう固いこと言わずに。今日はオレの異彩をバーンと大公開しちゃうよ」
「……そんなノリでいいわけ?」
「オレ、ファミリアの住人はみんな友達だと思ってるからね。リツコちゃんは隣人だからさらに特別って感じ? うん、がっつり仲良くしちゃおう!」
「……あなた、ここの住人から『うるさい』とか『鬱陶しい』とか言われたことない?」
「さすがリツコちゃん、ナイス推理!」
シュンスケはハイタッチを求めるように手を掲げたが、もちろん無視した。
本来ならこんな誘いなど一蹴するが、ハルはシュンスケのことを「何かと力になってくれる人」と言っていた。それに――異彩のことを聞かせてくれるというのなら聞きたい。
「分かった、ちょっとだけなら付き合ってもいいよ」
「ありがと! 八時でコンビニを閉めるから、また来るね。――あ、今日は全部オレがおごるよ」
こちらの返事も聞かず、シュンスケは階段の方へ走り去っていった。
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