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しおりを挟むハルの目がこちらに向く。
相変わらず色のない面持ちで、いつもの彼とは別人のように見えた。心苦しさが強くなる。
「お気持ちはとても嬉しいですし、リツコさんとお食事する時間が好きだと伝えたのも本心です。でも……恋愛感情はありません。リツコさんは大切な友人だと、僕は思っています」
「……そっか」
「ですから……リツコさんのお気持ちには応えられない。申し訳ありません」
深々と頭を下げるハルを見たら、ますます胸が痛くなった。
好きだと自覚してからあまりにも呆気なく訪れた失恋。たった一言「分かった」と返すのが精いっぱいだった。
再びハルと視線が交わったとき、彼の表情は仕事モードに切り替わっていた。
「妹としっかり話をして、リツコさんに迷惑を掛けないようにさせますから。もう少し時間をください」
話をするも何も、ユイカはあたしがここにいるだけで気に入らないのだ。仮にユイカが納得したところで、管理人兄妹が恋人同士であるという事実も変わらない。
あたしはこのままファミリアにいてもいいのだろうか。
出て行くべきなのだろうか――。
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