異分子マンション

カナデ

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 * * *


 初めての失恋で落ち込んでいようが、ファミリアを出るべきか否か悩もうが、当たり前に朝はやってくる。

 浮かない気持ちのまま部屋を出て一階フロアへ向かった。エレベーターを降り、コンビニが目に入ったところで反射的に立ち止まる。コンビニの前にユイカの姿があった。あたしに用事があるとみて間違いない。不安を抱きながら近付くと、ユイカがあたしの名を呼んだ。

「話したいことがあるの。一緒に来てくれる?」

 自分で結論を出すまでもなく、追い出されることになるかもしれない。短く溜め息をつき、事務所へ向かうユイカに付いていく。

 室内でハルが待っているかと思ったが、誰もいなかった。ユイカと二人、距離を空けて向かい合う。コンビニの開店時間まで二十分を切っているが、それまでに話は終わるのだろうか――という疑問をユイカは読み取ったようで、「遅れたって構わない」と口にした。

「管理人さんも同席する話なのかと思ったけど。違うの?」

「兄さまは倒れてしまったわ」

「倒れたって――」


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