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【side.テツジ】4
しおりを挟む「そう堅苦しく考えることはないさ。お前さんならできる。頑張ってくれ」
「えっと、はい、ありがとうございます……」
ノブおじさんは何も買わずにコンビニを出ていった。何をしに来たのだろう。まさか、ぼくを励ますためだけに……?
ノブおじさんが去っていった方をぼんやり見つめていると、ハルくんに声を掛けられた。
「大丈夫ですか?」
「うん」
「――と、二人目のお客様ですね。おはようございます」
入ってきた男性に向かって微笑むハルくん。ぼくも何とか声を絞り出した。このくらいなら……ぼくにもできる。頑張ることができそうだ。
一週間経つと挨拶にも慣れてきた。
来店する人々の顔も覚えてきた。
レジ業務は相変わらずハルくん・ユイカさんのどちらかが行ってくれている。
兄妹の会話を聞いている限り、他の仕事の合間を縫って、レジ業務のためだけに交代勤務をしているようだった。……ぼくがレジに立てば、そんな必要もないのに。
* * *
土曜の午後、スケッチブックと鉛筆を持って図書室を訪れた。ファミリアの図書室に出入りする人は少なく、静かに絵を描くのに適している。
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