異分子マンション

カナデ

文字の大きさ
上 下
215 / 220

【side.シュンスケ】1

しおりを挟む


 今村ミカ。
 十五年もの間、密かに片想いしていた相手。
 綺麗さっぱり諦めて、オレはファミリアへと戻ります――。


 * * *


「――そういった事情があったんですね」

 コンビニを辞めてから現在までの出来事を簡単に説明すると、ハルは珍しく神妙な面持ちで声を落とした。

「や、やだなぁ、ハルらしくもない。そんな顔されたらオレまで落ち込んじゃうよ」

「失恋は辛いものでしょう? 笑顔で話を聞くのもおかしいのでは」

「……そりゃそうだ」

 オレ自身、カラ元気を振りまいてしまっているのは自覚していた。ミカのことは諦めると自分に言い聞かせてはいるが、本当に心から吹っ切れるのはいつになるのやら。

しおりを挟む

処理中です...