迷★探偵ノアの創作事件簿

双葉

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【へっぽこ探偵★爆誕】

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 エリックが繰り広げる推理に、ノアは頭の中がこんがらがっている様子――?







エリック
(そもそも〝人の嗜好〟に頼った殺害方法などリスクしかないがな。もしかしたら「嫌いだけど克服してみよう」なんて気持ちで突然口にする可能性もあるわけで――なんて野暮なツッコミはやめておくか。ノアが楽しむために考えたシナリオだもんな。そう……これはノアが書いた推理ドラマなんだ……)



ノア
「じゃあやっぱり容疑者全員が事実を語ったと仮定した上で、《パスカルがタケルを殺害するつもりだった》というシナリオかもよ? ステラが飲まないようブラックコーヒーは避けて、砂糖入りの方はケリーが飲む可能性も考えた……だからパスカルはミルク入りコーヒーだけに毒を仕込んだ」


エリック
「パスカルの証言を思い返してくれ。事件当日、マリアは毒入りコーヒーを『パスカルのために残しておいた』と渡した。奴はそれを飲まず『楽屋に置いておけばいい』と返している。撮影スタジオを出入りする人間は容疑者4名だけではない――いくつかの証言で明らかになっていたよな?」


ノア
「うん。容疑者たちも言ってたけど、スタジオの常駐スタッフや警備員がいる」


エリック
「そんななか毒入りコーヒーを置きっぱなしにして、無関係な誰かが口にしたら大惨事だぞ。もしパスカルが犯人なら、マリアに渡された時点で一旦回収するだろう」


ノア
「……そっか」


エリック
「マリアがコーヒー嫌いだということ、ケリーが無糖のコーヒーを飲まないこと――両方知っていたのはステラとパスカルの2名。しかしパスカルは先述の理由で容疑者から除外」


ノア
「……じゃあアニキは、ステラにタケルを殺害する動機があったと思うの?」


エリック
「ここからは俺の勝手な憶測だが、タケルとステラは親しい間柄だったんじゃねーか? タケルなら確実にミルク入りコーヒーを手に取る、もしくはタケルが好む缶コーヒーだとステラは知っていた。だからミルク入りコーヒーに毒を仕込んだ。マリアを恨んでいた人物としてタケルを挙げたのもステラのみ――しかもパスカルとケリーのことはかばうような発言をしていたな。あわよくばタケルに罪を着せようとでも思ったんだろ」


ノア
「……」


エリック
「ステラとタケルに追加で話を聞いてみたいところだな。二人の関係性と、タケルが砂糖入りコーヒーを飲むのか否か。あとはマリアが何故、嫌いなコーヒーを自宅に持ち帰ってまで飲んだのか。その点についても調べるべきだ」


ノア
「……やっぱアニキは鋭いな。現代文のテストで平均点以下しか取れないオレに、殺人事件の設定を作るなんて無理だったのかも……」


エリック
「犯人はステラで正解なのか?」


ノア
「うん、ほぼアニキの推理どおり。《ステラとタケルは元恋人同士で、恋愛関係のもつれで殺害を試みる》という脚本だったんだ」


エリック
「マリアがコーヒーを飲んだ理由は?」


ノア
「《マリアはパスカルに片想い中》という設定なんだ。パスカルは自分で豆を挽くくらいコーヒーが好きだと言ってただろ? パスカルに気に入られたくて、コーヒーを克服しようと密かに頑張ってたんだ」


エリック
「マリアがストーカー被害を訴え、パスカルへ『家に来い』とメールしていたが。もしかしてあれも、パスカルと二人きりになるために?」


ノア
「超ツンツン女子のマリアは素直になれなかったんだ。パスカルが自分に興味ないことも気付いていて……。どうにかして気を引きたかったんだよ。コーヒーの件もそう」


エリック
「切ないのか何なのかよく分からんシナリオだが……。そろそろ俺が抱いていた最大の疑問をぶつけてもいいか?」


ノア
「なに?」


エリック
「ノアは〝立派な探偵となるためのトレーニング〟をしたかったんだよな? だが、この脚本を書いたのはノア自身――最初から犯人を知っている状態であり、実際に推理したのは脚本を知らない俺じゃねーか。これのどこが〝ノアの探偵トレーニング〟なんだよ」


ノア
「…………ハッ( ゚Д゚)!!」


エリック
「やはり気付いていなかったか……」


ノア
「ホントだ! アニキの言うとおりじゃん!」


エリック
「探偵トレーニングをしたいなら、ノアが犯人を知らない状態で聞き込みなり推理なりを行わなければ。自分で創作した事件じゃ推理トレーニングにならないだろ」


ノア
「だな……(´;ω;`) オレが敏腕探偵になる日は遠そうだぜ……」


エリック
「まぁそう気を落とすな。探偵としての成長は見込めないが、俺はそれなりに楽しかったぜ? 教師とは全然違う仕事をするのも新鮮でよかった」


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