Duty

Kfumi

文字の大きさ
22 / 76
Ⅱ 第2の審判

chapter 8 推察 -1

しおりを挟む
1  7月5日 霧島響哉


 夕焼けで真っ赤に染まりきった空が広がっている。
 放課後となり下校するため神谷陽太と胡桃沢桜は校門の外へとやって来た。
 6月中旬。
 C軍・東佐紀とA軍・山田秋彦が犠牲者となった。
 5月の五十嵐アキラの事件から立て続けに3年1組の生徒が裁かれている。
 これは目を逸らしようのない事実であった。
 そして、その出来事には陽太たちのクラスに巻き起こる奇怪な『審判』と呼ばれる出来事が関係あることも。
 そんななか陽太も桜もこの『審判』に関するある約束事のようなものに気が付き始めていた。
 それは生徒が『罪人』となる条件。
 他人に迷惑な行為や不快となる行為をした人間は『罪人』に選ばれてしまうということ。
 そんなことを思いながら陽太と桜は校門を越え、学校という閉鎖空間から抜け出す。

 そのときだった。

「こんにちは。……ん、いや。こんばんは、かな?」

 校舎を取り囲む外壁に凭れていた一人の男子生徒が陽太と桜に声を掛けてきた。

「? えっと……」

 陽太は困惑した表情を浮かべ、返答に困った。
 ただの挨拶にしても違和感があり過ぎるから。
 それに陽太も桜も、この人物との関わりがほぼ無かったからである。
 しかし、桜は名前を知っていたようで、言葉を返した。

「霧島君、……霧島響哉君だよね?」

 霧島響哉キリシマキョウヤ
 そう呼ばれた人物は、明らかな作り笑顔を浮かべ、怪しく光る眼鏡の奥でにこやかに撫でられた瞳を飾っていた。
 そして、喜びのトーンでさらに話しかけてくる。

「お! 知っててくれたんだ! 嬉しいよ! 神谷陽太君と胡桃沢桜さん」
「同じクラスだったか。あまり詳しくないんだ、悪い」

 陽太は霧島にささやかな謝罪をした。

「別にいいよ。そんなこと気にならないから」

 霧島はニコっとして返す。
 そんな霧島を見て、陽太は「えっと……」と続けた。

「俺たちに何かよう?」

 「ふっ」と霧島は微かに笑ったように見えた。
 そして、

「うん。キミたちがクラスの中じゃあ、一番マトモそうだからね」
「マトモ……?」

 桜が首を傾げ、そう呟いた。

「そりゃあどうも。でも悪いな。俺は今、友達を作るような気分じゃあない」

 陽太は霧島から目を外し、去っていこうとした。

「それは僕も一緒さ。別にキミたちと友達になりたくて話しかけたわけじゃないよ。ただちょっとした用があってね」

 陽太と背中合わせに霧島が話を続ける。

「用?」
「今月はまだ、大丈夫みたいだし」
「何が?」

 陽太は霧島を振り返り見た。
 霧島はにやっと笑みを浮かべた。

「今月の第1週目が終わろうとしているのに。未だに誰も罪人に選ばれて無いだろう?」

 陽太と桜は驚愕した。
 目を見開き、目の前にいる眼鏡生徒の姿を見つめ続けた。
 霧島はにこっと微笑んだ。

「一緒にお茶でもどうかな。この話、興味あるでしょ?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

皆さんは呪われました

禰津エソラ
ホラー
あなたは呪いたい相手はいますか? お勧めの呪いがありますよ。 効果は絶大です。 ぜひ、試してみてください…… その呪いの因果は果てしなく絡みつく。呪いは誰のものになるのか。 最後に残るのは誰だ……

怪異の忘れ物

木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。 さて、Webコンテンツより出版申請いただいた 「怪異の忘れ物」につきまして、 審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。 ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。 さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、 出版化は難しいという結論に至りました。 私どもはこのような結論となりましたが、 当然、出版社により見解は異なります。 是非、他の出版社などに挑戦され、 「怪異の忘れ物」の出版化を 実現されることをお祈りしております。 以上ご連絡申し上げます。 アルファポリス編集部 というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。 www.youtube.com/@sinzikimata 私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。 いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

終焉列島:ゾンビに沈む国

ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。 最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。 会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

『ショート怪談』訪れるもの

見崎志念
ホラー
一話完結のお話をぽつぽつとしたためております。ドロッとしたよくわからないものに対しての恐怖をお楽しみください

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

処理中です...