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第1章 始まりの壁
1-06:背後に潜む第三者
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「さて面白い展開になってきましたね」
大きめの水晶型モニターで時光たちの戦闘を観察する一人の男、自身の現役の頃を思い出してしまったのか、今にでも時光たちの目の前に現れて戦闘を仕掛けていきそうな様子が伺える。
「間違っても今出向いて彼らと戦おうとしては駄目ですよ。まだもう少し準備が必要なので」
ボイスチェンジャーの主が釘をさす。
「わかっていますよ。私も久々に複数人の相手をするので感覚がいまいち戻りきっていないので」
「そうでしたか」
「話が変わりますが、私の同期との話はどうなりましたか?」
男がそう尋ねると、
「2人の女性と話をつけることが出来ましたが、男性の方は何度も電話をかけたのですが、なかなか繋がらなかったので、メッセージを送ってみましたが今のところ返信がありません」
「ほう。にしても相変わらずですね」
「と仰いますと?」
今度はボイスチェンジャーの主が尋ねると、
「いえね、その方ですが現役時代でも電話に繋がらない時が多く、メッセージの返信もいつ頃になるのかがわからないもので。それに口数もそこまで多くない人ですが、敵に回すと恐ろしい方ですが味方でいると頼もしい人ですよ」
「それは会うのが楽しみですね。引き続き話をつけてきますのでこれで」
ボイスチェンジャーの主はそう言ってその場を後にした。
♦
「雷瞬線」を使い本部まで急いで戻った舞香は、オペレート室にいる真奈と修助に今まで自分が調査した工場とその証拠、野口と大山が舞香の存在に気付かず自分たちに力を与えた人物のこと、ただしその顔がどんな感じなのかハッキリ覚えていないこと、知り得る限り全て話した。
その話に口を挟むことなく、じっと聞いた真奈は難しい顔して答える。
「まさかとんだ第三者がいたなんてね」
「ハッキリしていないところが気味悪いね」
真奈の言葉に続き修助もそう答える。
「2人の言うことは最もだけど時光クンたちをサポートしなくて大丈夫なの?」
舞香がそう尋ねると修助が画面をアップさせ戦況を見せると真奈が答える。
「時光たちなら見ての通り、サポートは貴女がいるところまで大丈夫と言って戦闘になったら自分たちで解決するみたいだから」
「敵は敵で違法薬を服用しているけど、それも含めて周囲から妨害されないためにも「索敵放射能」を時光くんたちのいる上空に準備しているから」
ここでも修助が言葉を補い状況を整理させる。
「それは助かるね。ありがとう、少し休ませてもらうよ。…っと」
舞香はホッとして気が抜けると軽く前に倒れそうになるがすぐに体を起こす。
「ほら気をつけないと、自分が思っているよりも体は正直だから休んでいなさい。それから綾菜に治療してもらったらどう?」
そう言われると明らかに嫌そうな顔して答える。
「ええ~大丈夫だよこれくらい。休めば本当に――」
その先の言葉を紡ごうとした時にドアが開いて綾菜が入って来る。
「真奈ちゃん、皆の状況はどうなっているの?って舞香ちゃん戻って来ていたんだね」
「綾菜…」
ぱあっと明るくわかりやすい綾菜に対して舞香は身を引く。
「もうそこまで嫌がらなくてもいいじゃん」
頬を膨らませ異議を唱えたところ、真奈が割って入って綾菜に時光たちの戦況を教える。
「文句言っているところ失礼だけど時光たちは小競り合いが続いて、力を抑えながら戦闘中よ」
目の前のモニターを見た綾菜は時光たちの戦況を見て告げる。
「このまま長引けば皆怪我するかも。早いところこの2人を怯ませて捕まえられればいいんだけどね」
その言葉を聞いて真奈は、
「もし万が一、時光たちがリミッター外して2人のどちらか、あるいは2人とも重傷を負わせてしまった時に治療お願い出来るかしら?」
最悪を想定して行動に支障が出ないようにお願いしたが、
「真奈ちゃん、今自分が何を言っているのかわかっているのかな?任務とはいえ明らかに大切な友達を傷つけた人の治療はしたくないよ。でもこの戦いが終わって2人が動けなくなったところが確認出来たら医療機関に運び出すように連絡することならいいよ」
綾菜にしては珍しくピリッとした厳しい雰囲気を醸し出し、たたみかけて言う。
「わ、わかったわ。無責任だったね。ごめんなさい」
あまりの迫力ある雰囲気に真奈は弱々しくなり綾菜に謝る。
それからして綾菜は表情を緩めて告げる。
「ううん。私の方こそ我が儘言ってごめんね。でも嫌なものは嫌ってあることはわかってもらえると嬉しいかな」
その緩やかな心安らぐ表情のまま、舞香の肩にポンと手をのせ告げる。
「それじゃあ舞香ちゃん、治療するからおいで」
「わ、わかった」
先ほどまでの反応と違って舞香は素直に頷き綾菜に同行する。
「何度見てもえげつない落差だな」
修助の言うことに真奈も思うところがあり述べる。
「一見して誰にでも出来そうで実は、かなりの経験を積まないと成し得ないでしょうね。伊達に10人の選ばれたうちの1人ってわけじゃないし。回復魔法以外にも人の精神を和らげ素直にさせる「話術」に長けているのも一目ね」
以前に経験したことがあり先ほどの舞香のような反応をしたことがあるからこそわかる真奈である。
それを思い出してしまったのか、ポツリと修助に呟いた。
「たまにはえっちになってみるのもいいかな…」
「ちょっと真奈さん⁉」
修助は慌てて真奈を止めるように呼ぶと、
「わ、わかっているわ。そうならないから!」
動揺しながら否定はするものの、内心少しだけならいいなと感じた真奈であった。
大きめの水晶型モニターで時光たちの戦闘を観察する一人の男、自身の現役の頃を思い出してしまったのか、今にでも時光たちの目の前に現れて戦闘を仕掛けていきそうな様子が伺える。
「間違っても今出向いて彼らと戦おうとしては駄目ですよ。まだもう少し準備が必要なので」
ボイスチェンジャーの主が釘をさす。
「わかっていますよ。私も久々に複数人の相手をするので感覚がいまいち戻りきっていないので」
「そうでしたか」
「話が変わりますが、私の同期との話はどうなりましたか?」
男がそう尋ねると、
「2人の女性と話をつけることが出来ましたが、男性の方は何度も電話をかけたのですが、なかなか繋がらなかったので、メッセージを送ってみましたが今のところ返信がありません」
「ほう。にしても相変わらずですね」
「と仰いますと?」
今度はボイスチェンジャーの主が尋ねると、
「いえね、その方ですが現役時代でも電話に繋がらない時が多く、メッセージの返信もいつ頃になるのかがわからないもので。それに口数もそこまで多くない人ですが、敵に回すと恐ろしい方ですが味方でいると頼もしい人ですよ」
「それは会うのが楽しみですね。引き続き話をつけてきますのでこれで」
ボイスチェンジャーの主はそう言ってその場を後にした。
♦
「雷瞬線」を使い本部まで急いで戻った舞香は、オペレート室にいる真奈と修助に今まで自分が調査した工場とその証拠、野口と大山が舞香の存在に気付かず自分たちに力を与えた人物のこと、ただしその顔がどんな感じなのかハッキリ覚えていないこと、知り得る限り全て話した。
その話に口を挟むことなく、じっと聞いた真奈は難しい顔して答える。
「まさかとんだ第三者がいたなんてね」
「ハッキリしていないところが気味悪いね」
真奈の言葉に続き修助もそう答える。
「2人の言うことは最もだけど時光クンたちをサポートしなくて大丈夫なの?」
舞香がそう尋ねると修助が画面をアップさせ戦況を見せると真奈が答える。
「時光たちなら見ての通り、サポートは貴女がいるところまで大丈夫と言って戦闘になったら自分たちで解決するみたいだから」
「敵は敵で違法薬を服用しているけど、それも含めて周囲から妨害されないためにも「索敵放射能」を時光くんたちのいる上空に準備しているから」
ここでも修助が言葉を補い状況を整理させる。
「それは助かるね。ありがとう、少し休ませてもらうよ。…っと」
舞香はホッとして気が抜けると軽く前に倒れそうになるがすぐに体を起こす。
「ほら気をつけないと、自分が思っているよりも体は正直だから休んでいなさい。それから綾菜に治療してもらったらどう?」
そう言われると明らかに嫌そうな顔して答える。
「ええ~大丈夫だよこれくらい。休めば本当に――」
その先の言葉を紡ごうとした時にドアが開いて綾菜が入って来る。
「真奈ちゃん、皆の状況はどうなっているの?って舞香ちゃん戻って来ていたんだね」
「綾菜…」
ぱあっと明るくわかりやすい綾菜に対して舞香は身を引く。
「もうそこまで嫌がらなくてもいいじゃん」
頬を膨らませ異議を唱えたところ、真奈が割って入って綾菜に時光たちの戦況を教える。
「文句言っているところ失礼だけど時光たちは小競り合いが続いて、力を抑えながら戦闘中よ」
目の前のモニターを見た綾菜は時光たちの戦況を見て告げる。
「このまま長引けば皆怪我するかも。早いところこの2人を怯ませて捕まえられればいいんだけどね」
その言葉を聞いて真奈は、
「もし万が一、時光たちがリミッター外して2人のどちらか、あるいは2人とも重傷を負わせてしまった時に治療お願い出来るかしら?」
最悪を想定して行動に支障が出ないようにお願いしたが、
「真奈ちゃん、今自分が何を言っているのかわかっているのかな?任務とはいえ明らかに大切な友達を傷つけた人の治療はしたくないよ。でもこの戦いが終わって2人が動けなくなったところが確認出来たら医療機関に運び出すように連絡することならいいよ」
綾菜にしては珍しくピリッとした厳しい雰囲気を醸し出し、たたみかけて言う。
「わ、わかったわ。無責任だったね。ごめんなさい」
あまりの迫力ある雰囲気に真奈は弱々しくなり綾菜に謝る。
それからして綾菜は表情を緩めて告げる。
「ううん。私の方こそ我が儘言ってごめんね。でも嫌なものは嫌ってあることはわかってもらえると嬉しいかな」
その緩やかな心安らぐ表情のまま、舞香の肩にポンと手をのせ告げる。
「それじゃあ舞香ちゃん、治療するからおいで」
「わ、わかった」
先ほどまでの反応と違って舞香は素直に頷き綾菜に同行する。
「何度見てもえげつない落差だな」
修助の言うことに真奈も思うところがあり述べる。
「一見して誰にでも出来そうで実は、かなりの経験を積まないと成し得ないでしょうね。伊達に10人の選ばれたうちの1人ってわけじゃないし。回復魔法以外にも人の精神を和らげ素直にさせる「話術」に長けているのも一目ね」
以前に経験したことがあり先ほどの舞香のような反応をしたことがあるからこそわかる真奈である。
それを思い出してしまったのか、ポツリと修助に呟いた。
「たまにはえっちになってみるのもいいかな…」
「ちょっと真奈さん⁉」
修助は慌てて真奈を止めるように呼ぶと、
「わ、わかっているわ。そうならないから!」
動揺しながら否定はするものの、内心少しだけならいいなと感じた真奈であった。
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