魔法犯罪の真実

水山 蓮司

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第1章 始まりの壁

1-16:それぞれの行動2

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(急に休みをもらってもこれといってやることがなぁ…)
 修助は内心呟きながら店内を歩き回る。
 都内の大型書店で1階フロアの新刊や雑誌売り場で修助は足を止め週刊誌を手に取って読み始める。
 黙って目を通していた次の記事をゆっくり黙読した。

――大手株式会社広告代理店の代表を務めていた本田史郎ほんだしろう(52歳)と同じく代表の草野信二(53歳)を機密情報窃盗及び賄賂の受け渡しが発覚されたため逮捕した。
 その場にいた社員10~20名も同席していたため逮捕した。
 両代表の供述は黙秘していて動機はわかっておらず引き続き取り調べが行なわれるようである。
 一方で両社員は会議に参加したことについて全面的に認めたが、代表同士の機密情報や賄賂について詳しく知る者はおらず、こちらの取り調べも余罪を含めて詳しく行われるようである。
 なお押収した資料は警視庁の捜査官が慎重に入手ルートを調べ、アタッシュケースに入っていた5000万円の大金は警察に類似るいじした捜査官が魔導財務機関まどうざいむきかんに行って適正を申請したとのこと――

 内容を把握して修助は推測する。
(警視庁に内通者でもいたのか?そうでなければ最後の文章は書けないはず…)
 警視庁側から見て修助たちのような捜査官に出くわしたとしても警視庁はその時にあった話をするはずがないし、仮に話をしたところで記者の大多数は興味を示さないか、他の話題を取り上げ、それを世間に流しているというのが修助の見立てである。
「そうだった。今日は難しいことはなしのはずだった」
 首を横に振って小声で自分にそう言い聞かせて話題を反らすため次のページをめくる。
 ここでも目に入る記事が載っていたので修助は黙読した。
 その内容が次の通りである。

――大手電機会社の社長の富永義一とみながよしかず(57歳)が地方議員から賄賂を受け取ったとして昨夜に逮捕されたことが判明した。
 富永容疑者は「やっていたことに関しては事実だがそれは私の意思でやったことではない」と一部容疑を否認しているとのことで東京地検の特捜部が富永容疑者と関係のあった地方議員を始めとする関係者の特定を急ぎ、引き続き取り調べを行うとのことである。
 また富永容疑者が勤務していた会社関係者にも賄賂のことについて知る者がいないか、いつ頃そのような話が出たのか詳しく調べる方針である――

「どうしたらこんなことが出来るのか…」
 大きく溜息を吐くと読んでいた雑誌を元の場所に戻そうとする時だった。
「申し訳ない。何処か怪我しなかったか?」
「いいえ。何処にも当たっていないので大丈夫ですよ」
 隣から本を置こうとして修助の手に当たったのではないかと女性が謝ってきた。
 キリッとした目で女性としては背丈も高く性別問わず誰もが振り向きそうな感じの人だった。
「そうか。では私はこれで」
 頭を下げその場を去った。
「綺麗な人だな。でも何処かで見たような…」
 修助は呟くも深くは追求せず別の本を読むのであった。

 ♦

「真奈ちゃんこっちだよ、早く」
「そう急かさなくてもわかっているわよ」
 都内のショッピングモールで真奈と綾菜が買い物をしている。
 綾菜が雑貨から日用品で消耗するものを買うために店内を歩き回っている。
 真奈は買うものを決めていないらしく目ぼしいものがあれば買うスタンスを取っている。
「ねえ、今更聞くのも何だけどその服装は何⁉」
 真奈が綾菜の服装にビシッと指すと綾菜はキョトンとした顔で答える。
「これのこと?フフッいいでしょう?」
「何処が⁉」
 人目を気にかけながらも真奈は全力でツッコミを入れる。
 綾菜の服装はというと、ピンポイントに胸元が開いてゆったりとしたタートルネックのセーターに膝よりも上の超がつくほどのパンツスタイルで性別問わず目の毒になる服装である。
「私の中じゃ露出度控え目なんだけどね」
「貴女の基準がおかしすぎるわよ!」
「そんなことないよ。真奈ちゃんも着てみる?」
「嫌よそんな恥ずかしい格好!」
 綾菜に薦められるも真奈は即却下した。
 そんな真奈の服装は、白いシャツにワインレッドのジャケットに膝より下の黒いスカートで肌を露出させないようにストッキングをはいている。
 露出させていなくても周囲の目を集めていることは本人もわかっているが気にしないようにしている。
「真奈ちゃんだったら何着ても似合うのに」
「そうだとしてもそんな服は着たくないわよ!」
「あっ」
「今度は何よ?」
 2人のすぐ離れた場所に下着売り場があり、そこに駆けつけた綾菜が一着取り、真奈を呼びかける。
「真奈ちゃん、これなんかどうかな?」
「っ⁉」
 息を詰まらせ驚いた真奈はとうとう我慢ならずズンズンと早歩きで綾菜の元まで行く。
 理由は単純、綾菜が見せてきた下着があまりにも面積の狭いものだったからである。
 真奈は綾菜の襟首を掴んで人通りの少ない道まで引っ張り出して、そこで思いっきりツッコミを入れる。
「ねえ貴女馬鹿なの⁉本当に馬鹿なの⁉よくもまあ公衆の面前であんなことを!」
「そんなに怒らなくても冗談だったのに」
「貴女の冗談は洒落にならないわよまったく!頭痛薬ないかしら…」
 怒るのもバカバカしくなった真奈は呆れて溜息を吐いた。
 その様子を見た綾菜がクスリと笑う。
「何がおかしいのよ?」
 疑問に思った真奈が綾菜に問うと、
「やっといつもの真奈ちゃんに戻ったなぁと思ってつい。出かける前から今に至るまで時光ちゃんのことを考えていたんでしょ?」
「それは…」
 真奈は否定出来ずに黙ってしまうが、その様子を知りつつ綾菜は話を続ける。
「確かに今はあまり良い状況とはいえないけど、いつまでも落ち込んでいるままじゃ出来ることも出来なくなっちゃうからね。それに時光ちゃんがいつまでも落ち込むような性格をしている人じゃないことも一番に理解しているのは真奈ちゃんのはずだよ」
 語調を柔らかくして言う綾菜に真奈は頷いて答える。
「そうね。貴女の言う通り、いつまでもこのままじゃ駄目ね。それでわざと私にツッコませるためにあんなことを?」
 真奈の問いに綾菜はニコッと答える。
「もちろん。でなければあんなことはしないよ」
「もっと他にも方法はあったはずでしょう?」
 言葉とは裏腹に真奈はホッとした表情で言う。
「真奈ちゃん話変わるけどいいかな?」
「いいけど何よ?」
「私を人通りの少ないところまで連れ出して本当はえっちな願望があるのかな?」
「っ!」
 息を詰まらせ周囲を確認した時にはもう手遅れだった。
 気付いた時には既に綾菜があっという間に距離を詰めて真奈に迫ってきた。
「さあ真奈ちゃん私とイイことしましょうか?」
「ちょ、ちょっと待って!いやあああああーーー!」
 真奈の絶叫をお構いなしに綾菜は欲望のまま真奈にえっちなことをするのであった。
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