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第1章 始まりの壁
1-15:それぞれの行動1
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「ここがその警視庁ですか」
1人の女性が高い建物を見上げながら言った。
20代前半で肩よりも少し長めの髪で穏やかな声をした、雰囲気からしても心が洗われるオーラを纏っていた。
エントランスに入り、受付の女性職員に警視総監室を尋ねると最上階へ向かった。
部屋の前まで来てノックすると「どうぞ」と部屋の奥から声がしたのを確認して入室する。
「失礼します」
「遠いところからわざわざありがとう」
「いいえ、そんな遠い距離ではないので大丈夫ですよ」
「そうか、では立ちながら話をするのも何だからそちらへどうぞ」
「はい」
右手を差し出し女性をソファに座らせると、自分も向かい合うようにしてソファにかける。
「では早速だが、君をここへ呼び出した理由を単刀直入に言わせてもらうと、私の設立したJSIA捜査官としてメンバーに加わって欲しいことなんだ」
「と仰いますと?」
容量が掴めず疑問に思った女性は説明を求める。
「メンバーの中に回復系統の魔法が使える人はいるのだが、それが1人しかいない。今後、現場へ行って活動するメンバーの治療はもちろん、場合によって市民を治療する時に1人でも多くの人の怪我や病気を治療出来る人がいてくれた方が助かると思って呼んだのだよ」
その理由に少し間をおいて返答する。
「わかりました。私でよければお力になります。それからメンバーの一員となるからには他のメンバーを把握しておきたいので、差し支えなければ資料を拝見させていただけますか?」
「もちろん、今その資料を見せるから少し待ってもらえるだろうか?」
「はい」
鉄茂は立ち上がり自分の席の引き出しからメンバーの資料を取り出し、女性の座るテーブルに置いた。
「改めて拝見します」
メンバーの顔、生年月日、血液型、身長、使用魔法などの項目をゆっくり見ていた。
その途中でピタリと手が止まった。
「あら、この方メンバーの1人だったんですね」
「誰か知り合いでもいたのかな?」
「はい、正確には顔見知りですがこの女性です」
女性が見せた資料は舞香のものだった。
「先日、工場の場所が何処にあるのかをその女性が私に声をかけてきたので印象に残っていますよ」
「それはまた絶妙なタイミングで」
そう話すと再び資料に目を通す女性である。
しばらくして資料を見終わり、トンと整理して口を開く。
「確認させていただきありがとうございます。メンバーの顔は覚えましたし、なかなか個性ある人たちが揃っているのですね」
「騒がしい面々かもしれないが構えずともすぐに馴染めるはずだから」
「そう信じて皆さんと仲良くしていきたいです」
「そう言ってくれると有難い。私からは以上だが質問があれば遠慮なくどうぞ」
「では私はいつ頃からメンバーに配属されますか?」
その質問に鉄茂は少し考えて答える。
「今のところ未定だが、君のいる職場の責任者に連絡を通して、その責任者から話をされた時と考えてくれればいいよ。それまでは今いる職場の仕事に専念してくれれば大丈夫だから」
「わかりました。改めてその時はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく頼むよ」
「では私はこれで失礼します」
女性は深く頭を下げ総監室を出た。
(舞香さんがメンバーとは驚きましたが、まさか彼もメンバーとは楽しみですね)
内心喜びに浸る女性であった。
♦
「いや~乗ったね。久々にここまで乗れるとは思っていなかったよ」
「平日だけあって並ぶ時間もそうかからなかったしラッキーだね」
目的地である遊園地に来て、志穂と美穂は絶叫系のアトラクションを中心に楽しむ。
「2人ともよくバテずに元気でいられるね」
肩を竦めて少し呆れながらも舞香は楽しそうに言う。
「せっかく来たのに楽しまないと損だよマイカちゃん」
「そうだよ、人が少ない今が絶好なんだから」
「はいはい」
2人の意見に舞香は押し込まれる。
ここで2人のお腹からクウッと可愛らしい音がした。
「少し早いけどお昼ご飯にする?」
舞香がクスッと笑って言うと、
「「それでお願い」」
2人はお腹に手をあて口を揃えて少し照れながら言った。
「それじゃあ向こうにあるレストラン風のお店で食べようか」
「「は~い」」
舞香の提案に2人は口を揃えて返事した。
店内に入っても人は疎らで空いている席にすぐに座ることが出来て、食べたいものを注文した。
志穂と美穂はミートスパゲティー、舞香はクリームパスタを注文した。
「それにしても高等部卒業して以来だからあっという間だね」
「なんだかんだで早かったなぁ」
志穂と美穂がしみじみと話す。
「そうだね。楽しい時間ほど短く感じるものだからね」
舞香もつられてしみじみと語る。
「「もっと遊べる時間があればねぇ」」
「君たちは遊び過ぎ」
声を揃えて言う2人に対して舞香が軽くツッコミを入れる。ここで、
「話が変わるようで申し訳ないけど、どうして時光クンを誘わなかったの?」
コップに入っている水を飲もうとした手をピタリと止め、ジトーとした目で舞香に訴える。
「「マイカちゃんそれ今言うかな?」」
「アハハッ。ごめんね、それでも2人の気持ちを確認したくてさ」
そう言うと2人は溜息を吐いて観念して心境を明かす。
「そりゃあトキちゃんと遊びたかったけど、今のトキちゃんを見て楽しめる雰囲気じゃないことくらいわかっているよ。だからメグミちゃんかマナちゃんなら元気にさせてくれると信じて任せたんだよ」
「どんな言葉をかけていいか、小難しいことが苦手な私たちじゃ駄目だから。それにまた元のトキ君になったらその時はいつも通り遊ぶだけだよ」
時光のことを思っての行動だと見た舞香は優しく声をかける。
「そうだったんだ。2人ともそういう意味では真奈や恵ちゃんよりも時光クンのことを考えているし、もし他の人が今の時光クンのような状況下にいたら今度は助けてみたらどう?」
そう言われた2人は笑って答える。
「うん、そうしてみるよ。難しい話にも対応出来るように努力するよ」
「マナちゃんやメグミちゃんのように賢くないけどやれるだけのことをやってみるよ」
舞香は更に思ったことを述べる。
「別に賢くなくても自分たちに合ったやり方で励ましても良いと私は思うよ。さて固い話はここまでにしてそろそろ料理が来そうだから、それを食べてもうひと遊びしよう」
「「もちろん」」
その後3人は早い昼食を済ませてアトラクションを堪能するのであった。
1人の女性が高い建物を見上げながら言った。
20代前半で肩よりも少し長めの髪で穏やかな声をした、雰囲気からしても心が洗われるオーラを纏っていた。
エントランスに入り、受付の女性職員に警視総監室を尋ねると最上階へ向かった。
部屋の前まで来てノックすると「どうぞ」と部屋の奥から声がしたのを確認して入室する。
「失礼します」
「遠いところからわざわざありがとう」
「いいえ、そんな遠い距離ではないので大丈夫ですよ」
「そうか、では立ちながら話をするのも何だからそちらへどうぞ」
「はい」
右手を差し出し女性をソファに座らせると、自分も向かい合うようにしてソファにかける。
「では早速だが、君をここへ呼び出した理由を単刀直入に言わせてもらうと、私の設立したJSIA捜査官としてメンバーに加わって欲しいことなんだ」
「と仰いますと?」
容量が掴めず疑問に思った女性は説明を求める。
「メンバーの中に回復系統の魔法が使える人はいるのだが、それが1人しかいない。今後、現場へ行って活動するメンバーの治療はもちろん、場合によって市民を治療する時に1人でも多くの人の怪我や病気を治療出来る人がいてくれた方が助かると思って呼んだのだよ」
その理由に少し間をおいて返答する。
「わかりました。私でよければお力になります。それからメンバーの一員となるからには他のメンバーを把握しておきたいので、差し支えなければ資料を拝見させていただけますか?」
「もちろん、今その資料を見せるから少し待ってもらえるだろうか?」
「はい」
鉄茂は立ち上がり自分の席の引き出しからメンバーの資料を取り出し、女性の座るテーブルに置いた。
「改めて拝見します」
メンバーの顔、生年月日、血液型、身長、使用魔法などの項目をゆっくり見ていた。
その途中でピタリと手が止まった。
「あら、この方メンバーの1人だったんですね」
「誰か知り合いでもいたのかな?」
「はい、正確には顔見知りですがこの女性です」
女性が見せた資料は舞香のものだった。
「先日、工場の場所が何処にあるのかをその女性が私に声をかけてきたので印象に残っていますよ」
「それはまた絶妙なタイミングで」
そう話すと再び資料に目を通す女性である。
しばらくして資料を見終わり、トンと整理して口を開く。
「確認させていただきありがとうございます。メンバーの顔は覚えましたし、なかなか個性ある人たちが揃っているのですね」
「騒がしい面々かもしれないが構えずともすぐに馴染めるはずだから」
「そう信じて皆さんと仲良くしていきたいです」
「そう言ってくれると有難い。私からは以上だが質問があれば遠慮なくどうぞ」
「では私はいつ頃からメンバーに配属されますか?」
その質問に鉄茂は少し考えて答える。
「今のところ未定だが、君のいる職場の責任者に連絡を通して、その責任者から話をされた時と考えてくれればいいよ。それまでは今いる職場の仕事に専念してくれれば大丈夫だから」
「わかりました。改めてその時はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく頼むよ」
「では私はこれで失礼します」
女性は深く頭を下げ総監室を出た。
(舞香さんがメンバーとは驚きましたが、まさか彼もメンバーとは楽しみですね)
内心喜びに浸る女性であった。
♦
「いや~乗ったね。久々にここまで乗れるとは思っていなかったよ」
「平日だけあって並ぶ時間もそうかからなかったしラッキーだね」
目的地である遊園地に来て、志穂と美穂は絶叫系のアトラクションを中心に楽しむ。
「2人ともよくバテずに元気でいられるね」
肩を竦めて少し呆れながらも舞香は楽しそうに言う。
「せっかく来たのに楽しまないと損だよマイカちゃん」
「そうだよ、人が少ない今が絶好なんだから」
「はいはい」
2人の意見に舞香は押し込まれる。
ここで2人のお腹からクウッと可愛らしい音がした。
「少し早いけどお昼ご飯にする?」
舞香がクスッと笑って言うと、
「「それでお願い」」
2人はお腹に手をあて口を揃えて少し照れながら言った。
「それじゃあ向こうにあるレストラン風のお店で食べようか」
「「は~い」」
舞香の提案に2人は口を揃えて返事した。
店内に入っても人は疎らで空いている席にすぐに座ることが出来て、食べたいものを注文した。
志穂と美穂はミートスパゲティー、舞香はクリームパスタを注文した。
「それにしても高等部卒業して以来だからあっという間だね」
「なんだかんだで早かったなぁ」
志穂と美穂がしみじみと話す。
「そうだね。楽しい時間ほど短く感じるものだからね」
舞香もつられてしみじみと語る。
「「もっと遊べる時間があればねぇ」」
「君たちは遊び過ぎ」
声を揃えて言う2人に対して舞香が軽くツッコミを入れる。ここで、
「話が変わるようで申し訳ないけど、どうして時光クンを誘わなかったの?」
コップに入っている水を飲もうとした手をピタリと止め、ジトーとした目で舞香に訴える。
「「マイカちゃんそれ今言うかな?」」
「アハハッ。ごめんね、それでも2人の気持ちを確認したくてさ」
そう言うと2人は溜息を吐いて観念して心境を明かす。
「そりゃあトキちゃんと遊びたかったけど、今のトキちゃんを見て楽しめる雰囲気じゃないことくらいわかっているよ。だからメグミちゃんかマナちゃんなら元気にさせてくれると信じて任せたんだよ」
「どんな言葉をかけていいか、小難しいことが苦手な私たちじゃ駄目だから。それにまた元のトキ君になったらその時はいつも通り遊ぶだけだよ」
時光のことを思っての行動だと見た舞香は優しく声をかける。
「そうだったんだ。2人ともそういう意味では真奈や恵ちゃんよりも時光クンのことを考えているし、もし他の人が今の時光クンのような状況下にいたら今度は助けてみたらどう?」
そう言われた2人は笑って答える。
「うん、そうしてみるよ。難しい話にも対応出来るように努力するよ」
「マナちゃんやメグミちゃんのように賢くないけどやれるだけのことをやってみるよ」
舞香は更に思ったことを述べる。
「別に賢くなくても自分たちに合ったやり方で励ましても良いと私は思うよ。さて固い話はここまでにしてそろそろ料理が来そうだから、それを食べてもうひと遊びしよう」
「「もちろん」」
その後3人は早い昼食を済ませてアトラクションを堪能するのであった。
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