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第1章 始まりの壁
1-22:それぞれの想い1
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比較的長い映像が終わり、良歌が口を開く。
「ここまで酷な場面を含めご覧いただきお疲れ様でした。コメントしづらいことが多いかもしれませんが、これがここにいる皆さんが追跡している第三者の正体もとより権藤達人です」
その言葉にメンバーが少し黙るが、やがて時光が手を挙げ発言する。
「権藤さんが連行した宮城さんが裁判にかけられたところまでは存じていますが、その後はどうなりましたか?」
その問いに良歌は少し重い口調で答える。
「ご覧いただいた当時の権藤さんと和矢さんの証言で罪の重さが大きく軽減されました。それでも実刑を免れることは出来ませんでしたが本人もそれくらいの罪の意識があったことを認め、判決を受け入れて牢獄に入りました。その2年後に刑務所内で心不全で亡くなりました」
「そんなっ!」
時光の驚きの反応とメンバーが息を詰まらせる様子が見られる中、
「当時、受刑者を管理された担当の刑務官が宮城さんに何か精神的に追い込むような真似をされたなんてことはありますか?」
若弥が痛いところを狙い撃つ鋭い質問に良歌は目を閉じ、間を置いて答える。
「確かにそのような愚行を働かせていた刑務官がいました。その当時、私が組織犯罪対策部の長であった頃にその案件は私自身が処分しました。その刑務官を更迭にして二度と同じことが起きないように厳しく徹底させました。宮城さんの心不全の原因としては刑務官によるものが半分、そして事件を起こしてしまった後悔の念が精神的負担の引き金になっていたことも一つの原因だという結果が出ました」
その当時の純平の様子をもっと早くに察するべきだと思うかのように話した。
「知らなかったとはいえ答えづらい質問をして申し訳ございませんでした」
「いいえ謝ることはありませんよ。疑問に思っても不思議ではないですから」
頭を下げて謝る若弥を良歌は頭を上げるように促す。
一通り状況を把握したと見て鉄茂が口を開く。
「改めて今回起きた事件について、権藤の目的は何なのか、何故このような惨事を起こしたのか、彼の行方を探して見つけ次第、追求していくことにする」
ここで真奈が手を挙げ質問する。
「今後の捜査方針はわかりましたが、権藤さんの手がかりになるものはありますか?」
その質問に良歌が答える。
「それでしたら、今まで皆さんがご覧いただいた映像の中にいた和矢里実さんに依頼して行方を探していただくことが可能ですよ」
「それはまたどうして?」
修助が尋ねると良歌が続けて答える。
「宮城さんが亡くなった半年後に、和矢さんが面会に訪れました。その時に私が知る限りのことを全部伝えて、その場で和矢さんをスカウトしました。現在、組織犯罪対策部の長として務めていただいています」
誇らしげに言うと、改めて鉄茂が口を開く。
「和矢さんは今、他の捜査で不在だが、明日の朝に来てもらうように調整して権藤の居場所を突き止めていく形をとる」
その場にいたメンバーは頷き解散した。
♦
「「そうだったんだ」」
今までの会議でのやり取りを真奈が説明すると、志穂と美穂は口を揃えて関心する。
「それにしても思い切ったことをしますね村富警視監」
恵は驚きながらもそう口にする。
「スカウトとはいえ試験の方はどうなのかな?」
綾菜の疑問に若弥が答える。
「そこは村富警視監の特別な措置で試験を受けて一発で合格したそうだよ」
その言葉にメンバーは口をポカリと開いて驚く様子がハッキリと伺えた。
試験内容として、一般常識はもちろん専門的な知識や犯罪抑制政策に加えて、自分が持つ魔法が如何に実践で活かされるのか、その実践方式がとられていた。
それを特別な措置で行われていたとはいえ図太い神経で頭もキレていなければ結果が残せない極めて難しい試験である。
「その情報は何処で知ったの?」
綾菜が続けて質問すると若弥が更に答える。
「例の映像を見終わって解散した後すぐに、村富警視監に少しだけ話を聞いてみたんだ。そしたら当人も驚きを隠せなかったそうだよ」
「そこまで凄かったんだ」
話を聞き終え綾菜が納得すると、
「それじゃあ僕は引き続き権藤という人の調査に行ってくるよ。簡単に見つかりはしないだろうけど」
「相手はかなりの手練れよ。もし危険だと思ったらすぐに身を引くようにね」
「言われずともわかっているよ。また」
若弥が椅子から立ち上がると真奈が注意を促し、その後にメンバーが「お疲れ様」と言ってその背中を見送る。
それが確認出来て真奈が口を開く。
「さて相手は頭痛がするほどの強さの持ち主だけど戦略なしで向かえば、いくら束になっても勝ち目はなさそうね」
その言葉に恵が苦い顔して切り出す。
「戦闘を回避して説得することは望めませんか?」
誰もが言いづらい中で修助が答える。
「それは極めて難しいね。恵さんの言ったことが理想だけど高確率で戦闘を仕掛けてくるだろうね」
わかってはいたが、恵はそれでも確認せずにはいられなかった。
その様子を見て今度は志穂と美穂がそれぞれ恨みがましく質問する。
「仮に戦闘になったとして捕獲出来る割合はどれくらいなの?」
「もちろんマナちゃんの戦略が万全という前提でね」
真奈はその質問にすぐに答えられず黙り込む。
2人が真奈のことを責めているように見えて綾菜が穏やかに止めに入る。
「まあ2人とも、そう怖い顔をしなくてもいいんじゃないかな?」
「「じゃあアヤナちゃんに策があるとでも?」」
今度は口を揃えて綾菜に訴えるが、綾菜は怯むことなくその勢いを受け流すように答える。
「これといった策はないよ。ただ慌てても仕方ないことだし、言い争うことで相手の思う壺なだけでしょう。違う?」
諭された2人の気持ちが少し落ち着き真奈のことを責めてしまったことに反省して口を揃えて謝る。
「「マナちゃん、ごめんなさい」」
「いいえ、初めから戦闘を前提に話を進めた私にも非があるわ。こちらこそごめんなさい」
お互いにそれぞれ自分の非を認めると、場の雰囲気も落ち着き綾菜が改めて真奈に問う。
「真奈ちゃん、また少し話を戻すけどコレといった戦略は思いついたりしているのかな?」
その質問に真奈は首を横に振って答える。
「いいえまだ何も。ただハッキリと前提にしていることは、皆を死なせないだけの策と相手を怯ませ捕獲することくらいね」
ここで修助も思ったことを発言する。
「今ここにいない総監の任務に出向いている彼に加勢してもらうのはどうかな?」
「そうしたいところだけど、総監の任務で急務が多いから手が回らないというメッセージが来たから厳しいわね」
真奈が先回りして依頼していたらしく結果は望んでいた返答ではなかったが、そのことを踏まえてメンバーに思ったことを告げる。
「戦略は私が責任持って立てるわ。たとえどんな形であっても捕獲出来る策をね」
言い切ったところで修助が補足する。
「真奈さん、私じゃなく私たちだね。俺もその戦略を考えるよ」
「本当に?」
「もちろん、真奈さんばかりに負担をかけさせるわけにはいかないから」
「ありがとう。助かるわ」
真奈は少し安心した様子でホッと胸を撫でおろす。
「私にも何か出来ることはありませんか?」
恵が不甲斐なさそうに真奈に問うと、
「そうね、いつも通り巡回でも地下トレーニングで鍛えるのも休むのも自分がしたいことをやっているといいわ」
「わかりました」
頭を下げ短く返事をすると、そうと決まって志穂と美穂の手を掴む。
「さあ志穂さん、美穂さん練習に付き合っていただきますよ」
「「ちょっとメグミちゃん⁉」」
思いもよらないことに慌てて2人は引っ張り出される。
「私も恵ちゃんたちと同じく自由行動でいいかな?」
「ええ。行きたいところがあれば行っても構わないわ」
「ありがとう。そうさせてもらうね」
綾菜の言葉に真奈が頷き答えると、綾菜は真奈に近づいて真奈の頬に手を添え、チュッとキスした。
「じゃあね真奈ちゃん。また明日」
「ってちょっとー!」
「アハハッ。また綾菜さんペースだね」
手を振り医療室を後にした綾菜にキスされた真奈は左頬を抑えて顔を真っ赤にして絶叫した。
その様子を見ていた修助が苦笑いをしてポツリとそう口にするのであった。
「ここまで酷な場面を含めご覧いただきお疲れ様でした。コメントしづらいことが多いかもしれませんが、これがここにいる皆さんが追跡している第三者の正体もとより権藤達人です」
その言葉にメンバーが少し黙るが、やがて時光が手を挙げ発言する。
「権藤さんが連行した宮城さんが裁判にかけられたところまでは存じていますが、その後はどうなりましたか?」
その問いに良歌は少し重い口調で答える。
「ご覧いただいた当時の権藤さんと和矢さんの証言で罪の重さが大きく軽減されました。それでも実刑を免れることは出来ませんでしたが本人もそれくらいの罪の意識があったことを認め、判決を受け入れて牢獄に入りました。その2年後に刑務所内で心不全で亡くなりました」
「そんなっ!」
時光の驚きの反応とメンバーが息を詰まらせる様子が見られる中、
「当時、受刑者を管理された担当の刑務官が宮城さんに何か精神的に追い込むような真似をされたなんてことはありますか?」
若弥が痛いところを狙い撃つ鋭い質問に良歌は目を閉じ、間を置いて答える。
「確かにそのような愚行を働かせていた刑務官がいました。その当時、私が組織犯罪対策部の長であった頃にその案件は私自身が処分しました。その刑務官を更迭にして二度と同じことが起きないように厳しく徹底させました。宮城さんの心不全の原因としては刑務官によるものが半分、そして事件を起こしてしまった後悔の念が精神的負担の引き金になっていたことも一つの原因だという結果が出ました」
その当時の純平の様子をもっと早くに察するべきだと思うかのように話した。
「知らなかったとはいえ答えづらい質問をして申し訳ございませんでした」
「いいえ謝ることはありませんよ。疑問に思っても不思議ではないですから」
頭を下げて謝る若弥を良歌は頭を上げるように促す。
一通り状況を把握したと見て鉄茂が口を開く。
「改めて今回起きた事件について、権藤の目的は何なのか、何故このような惨事を起こしたのか、彼の行方を探して見つけ次第、追求していくことにする」
ここで真奈が手を挙げ質問する。
「今後の捜査方針はわかりましたが、権藤さんの手がかりになるものはありますか?」
その質問に良歌が答える。
「それでしたら、今まで皆さんがご覧いただいた映像の中にいた和矢里実さんに依頼して行方を探していただくことが可能ですよ」
「それはまたどうして?」
修助が尋ねると良歌が続けて答える。
「宮城さんが亡くなった半年後に、和矢さんが面会に訪れました。その時に私が知る限りのことを全部伝えて、その場で和矢さんをスカウトしました。現在、組織犯罪対策部の長として務めていただいています」
誇らしげに言うと、改めて鉄茂が口を開く。
「和矢さんは今、他の捜査で不在だが、明日の朝に来てもらうように調整して権藤の居場所を突き止めていく形をとる」
その場にいたメンバーは頷き解散した。
♦
「「そうだったんだ」」
今までの会議でのやり取りを真奈が説明すると、志穂と美穂は口を揃えて関心する。
「それにしても思い切ったことをしますね村富警視監」
恵は驚きながらもそう口にする。
「スカウトとはいえ試験の方はどうなのかな?」
綾菜の疑問に若弥が答える。
「そこは村富警視監の特別な措置で試験を受けて一発で合格したそうだよ」
その言葉にメンバーは口をポカリと開いて驚く様子がハッキリと伺えた。
試験内容として、一般常識はもちろん専門的な知識や犯罪抑制政策に加えて、自分が持つ魔法が如何に実践で活かされるのか、その実践方式がとられていた。
それを特別な措置で行われていたとはいえ図太い神経で頭もキレていなければ結果が残せない極めて難しい試験である。
「その情報は何処で知ったの?」
綾菜が続けて質問すると若弥が更に答える。
「例の映像を見終わって解散した後すぐに、村富警視監に少しだけ話を聞いてみたんだ。そしたら当人も驚きを隠せなかったそうだよ」
「そこまで凄かったんだ」
話を聞き終え綾菜が納得すると、
「それじゃあ僕は引き続き権藤という人の調査に行ってくるよ。簡単に見つかりはしないだろうけど」
「相手はかなりの手練れよ。もし危険だと思ったらすぐに身を引くようにね」
「言われずともわかっているよ。また」
若弥が椅子から立ち上がると真奈が注意を促し、その後にメンバーが「お疲れ様」と言ってその背中を見送る。
それが確認出来て真奈が口を開く。
「さて相手は頭痛がするほどの強さの持ち主だけど戦略なしで向かえば、いくら束になっても勝ち目はなさそうね」
その言葉に恵が苦い顔して切り出す。
「戦闘を回避して説得することは望めませんか?」
誰もが言いづらい中で修助が答える。
「それは極めて難しいね。恵さんの言ったことが理想だけど高確率で戦闘を仕掛けてくるだろうね」
わかってはいたが、恵はそれでも確認せずにはいられなかった。
その様子を見て今度は志穂と美穂がそれぞれ恨みがましく質問する。
「仮に戦闘になったとして捕獲出来る割合はどれくらいなの?」
「もちろんマナちゃんの戦略が万全という前提でね」
真奈はその質問にすぐに答えられず黙り込む。
2人が真奈のことを責めているように見えて綾菜が穏やかに止めに入る。
「まあ2人とも、そう怖い顔をしなくてもいいんじゃないかな?」
「「じゃあアヤナちゃんに策があるとでも?」」
今度は口を揃えて綾菜に訴えるが、綾菜は怯むことなくその勢いを受け流すように答える。
「これといった策はないよ。ただ慌てても仕方ないことだし、言い争うことで相手の思う壺なだけでしょう。違う?」
諭された2人の気持ちが少し落ち着き真奈のことを責めてしまったことに反省して口を揃えて謝る。
「「マナちゃん、ごめんなさい」」
「いいえ、初めから戦闘を前提に話を進めた私にも非があるわ。こちらこそごめんなさい」
お互いにそれぞれ自分の非を認めると、場の雰囲気も落ち着き綾菜が改めて真奈に問う。
「真奈ちゃん、また少し話を戻すけどコレといった戦略は思いついたりしているのかな?」
その質問に真奈は首を横に振って答える。
「いいえまだ何も。ただハッキリと前提にしていることは、皆を死なせないだけの策と相手を怯ませ捕獲することくらいね」
ここで修助も思ったことを発言する。
「今ここにいない総監の任務に出向いている彼に加勢してもらうのはどうかな?」
「そうしたいところだけど、総監の任務で急務が多いから手が回らないというメッセージが来たから厳しいわね」
真奈が先回りして依頼していたらしく結果は望んでいた返答ではなかったが、そのことを踏まえてメンバーに思ったことを告げる。
「戦略は私が責任持って立てるわ。たとえどんな形であっても捕獲出来る策をね」
言い切ったところで修助が補足する。
「真奈さん、私じゃなく私たちだね。俺もその戦略を考えるよ」
「本当に?」
「もちろん、真奈さんばかりに負担をかけさせるわけにはいかないから」
「ありがとう。助かるわ」
真奈は少し安心した様子でホッと胸を撫でおろす。
「私にも何か出来ることはありませんか?」
恵が不甲斐なさそうに真奈に問うと、
「そうね、いつも通り巡回でも地下トレーニングで鍛えるのも休むのも自分がしたいことをやっているといいわ」
「わかりました」
頭を下げ短く返事をすると、そうと決まって志穂と美穂の手を掴む。
「さあ志穂さん、美穂さん練習に付き合っていただきますよ」
「「ちょっとメグミちゃん⁉」」
思いもよらないことに慌てて2人は引っ張り出される。
「私も恵ちゃんたちと同じく自由行動でいいかな?」
「ええ。行きたいところがあれば行っても構わないわ」
「ありがとう。そうさせてもらうね」
綾菜の言葉に真奈が頷き答えると、綾菜は真奈に近づいて真奈の頬に手を添え、チュッとキスした。
「じゃあね真奈ちゃん。また明日」
「ってちょっとー!」
「アハハッ。また綾菜さんペースだね」
手を振り医療室を後にした綾菜にキスされた真奈は左頬を抑えて顔を真っ赤にして絶叫した。
その様子を見ていた修助が苦笑いをしてポツリとそう口にするのであった。
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