魔法犯罪の真実

水山 蓮司

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第2章 血の追求者

2-13:次の一手

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 とある隠れ名店の喫茶連にて
「今日はまた珍しいところに誘うのですね」
「ためには気分転換も必要だと思っていたので。ご迷惑でしたか?」
「いいえ。部屋に閉じこもってばかりだとそれも体に良くないのでよろしいかと」
 若弥と菫が店の隅で話を始める。
「それにしても小堂さん、貴方の言っていた双子の姉妹なかなか可愛らしいじゃないですか」
「倉ノ葉志穂さんと美穂さんのことですよね」
 わかりきっていることだがそう確認すると、菫はウットリしながら答える。
「ええ、それにしても素質あるのに組織にいることがもったいないですね」
「と仰いますと?」
 若弥は具体的な説明を求める。
「外見から申し上げますと小柄ではありますがそれを最大限生かせることが出来れば組織じゃなくて芸能面でも充分に通用するのではないかと」
「ああ~」
 何か思い当たることがあるのか、若弥はその感想に対してこう切り出す。
「東雲さん、そのことに関することで残念ながら本人たちはその類の話に全く興味ないですよ」
「何か理由でもおありで?」
 今度は菫が若弥に尋ねると、
「2人は目指していることがあるそうで、色眼鏡を使って自分たちに言い寄ってくる人が嫌いみたいです。その目指していることについて具体的なことは僕はもちろん、メンバーにも話をしたことがないみたいなので詳細は何とも」
「そうでしたの。踏み込んではいけないことを聞いてしまったようで申し訳ありませんわ」
「それを僕に謝られても仕方ないですよ」
 少し対応に困ったものの、ここで若弥が尋ねる。
「それからその口調から推察するに2人に接触しましたね?」
 菫は隠すことなくあっさり認める。
「ええ、実際にどんな人物なのか自分の目で確かめておかないと何かあってからでは遅すぎると思いましてね。多少リスクを背負っても会っておきたいと思いましたので」
「そういえば権藤さんもメンバーの視察で似たようなことを言っていましたね」
「見かけによらず人一倍、結果を重んじる性格をした方ですからね」
「見かけによらずは少し失礼なのでは?」
「そうでもないですよ。自身が認めていたことですから」
「そうでしたか」
 腹を探り合うかのような牽制した会話が続く。
 路線を変えて若弥がこう切り込む。
「それにしても志穂さんと美穂さん、今の2人からしてみれば東雲さんに裏切られた気持ちでしょうね」
「裏切る?それを貴方が言いますか?まあでも私自身その気持ちは全くないんですけどね」
 軽く言葉を躱すだけではなく切り返して話を続ける。
「お会いして数分しか経っていない関係ですが、久々に戦ってみたいタイプの相手なので、そういった意味では嘘を申し上げているつもりはありませんよ」
「へえー意外ですね。貴女の口からそんな言葉が聞けるとは思っていませんでしたよ」
「どこぞの戦闘狂たちと同じに思われるのも心外なので申し上げますと私も人間なので当然、好き嫌いはありますよ。人であろうと戦いであろうと」
 その言葉を聞いた後で若弥はやんわりと謝る。
「これは失礼しました。肝心なところが伝わっていませんでした」
「やるからには全力でやりますが、どちらの結果に転ぼうとも文句は言わないでくださいね。私たちにフリープランでやってもいいと言ったのは他でもなく小堂さん、貴方ですからね」
「わかっています。くれぐれも無理はなさらないでください」
「言われずとも」
 ここまで話を進めて最後に若弥が確認をとる。
「また話が変わりますが、今回の注射の新薬は如何ですか?」
 その言葉に待っていましたといわんばかりの、したり顔で答える。
「ええ、そこに関しまして今のところ前例を軽く覆らせるほどの効果が期待出来そうです。まだまだ途中経過にしか過ぎませんが少なくとも悪い条件さえつかない限りは命を落とすことはありません。また効き目も数日早く、人によって副作用が生じるかもしれませんが、数日経てば日常の生活に支障は出ないでしょう」
 まくし立てるようにして説明すると若弥は嬉々として、
「素晴らしいですね。納得のいく結果が得られればそれこそノーベル賞ものではないですか。そちらも含めて引き続き進行をお願いします」
「もちろん、医療機関にいる絵実先生でさえ成し得なかった快挙が見られるかもしれません。その瞬間を見届けてください」
「是非そうさせていただきます」
「ではもう一段階やることをやってきますので私はこれで」
「いってらっしゃい」
 席を立ちお店を後にする菫を見送り若弥はというと、
「さて僕もそろそろ少しずつ動くとしますか」
 自分にそう言い聞かせて宣言した。
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