47 / 56
第2章 血の追求者
2-13:次の一手
しおりを挟む
とある隠れ名店の喫茶連にて
「今日はまた珍しいところに誘うのですね」
「ためには気分転換も必要だと思っていたので。ご迷惑でしたか?」
「いいえ。部屋に閉じこもってばかりだとそれも体に良くないのでよろしいかと」
若弥と菫が店の隅で話を始める。
「それにしても小堂さん、貴方の言っていた双子の姉妹なかなか可愛らしいじゃないですか」
「倉ノ葉志穂さんと美穂さんのことですよね」
わかりきっていることだがそう確認すると、菫はウットリしながら答える。
「ええ、それにしても素質あるのに組織にいることがもったいないですね」
「と仰いますと?」
若弥は具体的な説明を求める。
「外見から申し上げますと小柄ではありますがそれを最大限生かせることが出来れば組織じゃなくて芸能面でも充分に通用するのではないかと」
「ああ~」
何か思い当たることがあるのか、若弥はその感想に対してこう切り出す。
「東雲さん、そのことに関することで残念ながら本人たちはその類の話に全く興味ないですよ」
「何か理由でもおありで?」
今度は菫が若弥に尋ねると、
「2人は目指していることがあるそうで、色眼鏡を使って自分たちに言い寄ってくる人が嫌いみたいです。その目指していることについて具体的なことは僕はもちろん、メンバーにも話をしたことがないみたいなので詳細は何とも」
「そうでしたの。踏み込んではいけないことを聞いてしまったようで申し訳ありませんわ」
「それを僕に謝られても仕方ないですよ」
少し対応に困ったものの、ここで若弥が尋ねる。
「それからその口調から推察するに2人に接触しましたね?」
菫は隠すことなくあっさり認める。
「ええ、実際にどんな人物なのか自分の目で確かめておかないと何かあってからでは遅すぎると思いましてね。多少リスクを背負っても会っておきたいと思いましたので」
「そういえば権藤さんもメンバーの視察で似たようなことを言っていましたね」
「見かけによらず人一倍、結果を重んじる性格をした方ですからね」
「見かけによらずは少し失礼なのでは?」
「そうでもないですよ。自身が認めていたことですから」
「そうでしたか」
腹を探り合うかのような牽制した会話が続く。
路線を変えて若弥がこう切り込む。
「それにしても志穂さんと美穂さん、今の2人からしてみれば東雲さんに裏切られた気持ちでしょうね」
「裏切る?それを貴方が言いますか?まあでも私自身その気持ちは全くないんですけどね」
軽く言葉を躱すだけではなく切り返して話を続ける。
「お会いして数分しか経っていない関係ですが、久々に戦ってみたいタイプの相手なので、そういった意味では嘘を申し上げているつもりはありませんよ」
「へえー意外ですね。貴女の口からそんな言葉が聞けるとは思っていませんでしたよ」
「どこぞの戦闘狂たちと同じに思われるのも心外なので申し上げますと私も人間なので当然、好き嫌いはありますよ。人であろうと戦いであろうと」
その言葉を聞いた後で若弥はやんわりと謝る。
「これは失礼しました。肝心なところが伝わっていませんでした」
「やるからには全力でやりますが、どちらの結果に転ぼうとも文句は言わないでくださいね。私たちにフリープランでやってもいいと言ったのは他でもなく小堂さん、貴方ですからね」
「わかっています。くれぐれも無理はなさらないでください」
「言われずとも」
ここまで話を進めて最後に若弥が確認をとる。
「また話が変わりますが、今回の注射の新薬は如何ですか?」
その言葉に待っていましたといわんばかりの、したり顔で答える。
「ええ、そこに関しまして今のところ前例を軽く覆らせるほどの効果が期待出来そうです。まだまだ途中経過にしか過ぎませんが少なくとも悪い条件さえつかない限りは命を落とすことはありません。また効き目も数日早く、人によって副作用が生じるかもしれませんが、数日経てば日常の生活に支障は出ないでしょう」
捲し立てるようにして説明すると若弥は嬉々として、
「素晴らしいですね。納得のいく結果が得られればそれこそノーベル賞ものではないですか。そちらも含めて引き続き進行をお願いします」
「もちろん、医療機関にいる絵実先生でさえ成し得なかった快挙が見られるかもしれません。その瞬間を見届けてください」
「是非そうさせていただきます」
「ではもう一段階やることをやってきますので私はこれで」
「いってらっしゃい」
席を立ちお店を後にする菫を見送り若弥はというと、
「さて僕もそろそろ少しずつ動くとしますか」
自分にそう言い聞かせて宣言した。
「今日はまた珍しいところに誘うのですね」
「ためには気分転換も必要だと思っていたので。ご迷惑でしたか?」
「いいえ。部屋に閉じこもってばかりだとそれも体に良くないのでよろしいかと」
若弥と菫が店の隅で話を始める。
「それにしても小堂さん、貴方の言っていた双子の姉妹なかなか可愛らしいじゃないですか」
「倉ノ葉志穂さんと美穂さんのことですよね」
わかりきっていることだがそう確認すると、菫はウットリしながら答える。
「ええ、それにしても素質あるのに組織にいることがもったいないですね」
「と仰いますと?」
若弥は具体的な説明を求める。
「外見から申し上げますと小柄ではありますがそれを最大限生かせることが出来れば組織じゃなくて芸能面でも充分に通用するのではないかと」
「ああ~」
何か思い当たることがあるのか、若弥はその感想に対してこう切り出す。
「東雲さん、そのことに関することで残念ながら本人たちはその類の話に全く興味ないですよ」
「何か理由でもおありで?」
今度は菫が若弥に尋ねると、
「2人は目指していることがあるそうで、色眼鏡を使って自分たちに言い寄ってくる人が嫌いみたいです。その目指していることについて具体的なことは僕はもちろん、メンバーにも話をしたことがないみたいなので詳細は何とも」
「そうでしたの。踏み込んではいけないことを聞いてしまったようで申し訳ありませんわ」
「それを僕に謝られても仕方ないですよ」
少し対応に困ったものの、ここで若弥が尋ねる。
「それからその口調から推察するに2人に接触しましたね?」
菫は隠すことなくあっさり認める。
「ええ、実際にどんな人物なのか自分の目で確かめておかないと何かあってからでは遅すぎると思いましてね。多少リスクを背負っても会っておきたいと思いましたので」
「そういえば権藤さんもメンバーの視察で似たようなことを言っていましたね」
「見かけによらず人一倍、結果を重んじる性格をした方ですからね」
「見かけによらずは少し失礼なのでは?」
「そうでもないですよ。自身が認めていたことですから」
「そうでしたか」
腹を探り合うかのような牽制した会話が続く。
路線を変えて若弥がこう切り込む。
「それにしても志穂さんと美穂さん、今の2人からしてみれば東雲さんに裏切られた気持ちでしょうね」
「裏切る?それを貴方が言いますか?まあでも私自身その気持ちは全くないんですけどね」
軽く言葉を躱すだけではなく切り返して話を続ける。
「お会いして数分しか経っていない関係ですが、久々に戦ってみたいタイプの相手なので、そういった意味では嘘を申し上げているつもりはありませんよ」
「へえー意外ですね。貴女の口からそんな言葉が聞けるとは思っていませんでしたよ」
「どこぞの戦闘狂たちと同じに思われるのも心外なので申し上げますと私も人間なので当然、好き嫌いはありますよ。人であろうと戦いであろうと」
その言葉を聞いた後で若弥はやんわりと謝る。
「これは失礼しました。肝心なところが伝わっていませんでした」
「やるからには全力でやりますが、どちらの結果に転ぼうとも文句は言わないでくださいね。私たちにフリープランでやってもいいと言ったのは他でもなく小堂さん、貴方ですからね」
「わかっています。くれぐれも無理はなさらないでください」
「言われずとも」
ここまで話を進めて最後に若弥が確認をとる。
「また話が変わりますが、今回の注射の新薬は如何ですか?」
その言葉に待っていましたといわんばかりの、したり顔で答える。
「ええ、そこに関しまして今のところ前例を軽く覆らせるほどの効果が期待出来そうです。まだまだ途中経過にしか過ぎませんが少なくとも悪い条件さえつかない限りは命を落とすことはありません。また効き目も数日早く、人によって副作用が生じるかもしれませんが、数日経てば日常の生活に支障は出ないでしょう」
捲し立てるようにして説明すると若弥は嬉々として、
「素晴らしいですね。納得のいく結果が得られればそれこそノーベル賞ものではないですか。そちらも含めて引き続き進行をお願いします」
「もちろん、医療機関にいる絵実先生でさえ成し得なかった快挙が見られるかもしれません。その瞬間を見届けてください」
「是非そうさせていただきます」
「ではもう一段階やることをやってきますので私はこれで」
「いってらっしゃい」
席を立ちお店を後にする菫を見送り若弥はというと、
「さて僕もそろそろ少しずつ動くとしますか」
自分にそう言い聞かせて宣言した。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる