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第3章 新たな勇者編

最強の聖剣を求めて!

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俺は洞窟に封印されているという聖剣を手に入れるためにラッシュ王国という国の近くにあった洞窟に来ている。

「それにしても薄気味悪いなぁ····」

俺が来ている洞窟の壁やら天井やらは何故か光っている。

「なんか、気分が悪くなってきたな····」

洞窟に入ってからめちゃめちゃ体調が悪い。何故だろうか····そんなことを考えていると体の力が抜け、躓いてしまった。

「おっと!」

俺は驚いて洞窟の壁に手を着いてしまった。すると俺の気分が少し回復した。そして、手を着いていた壁の所だけ光が弱くなる。

「俺の触れている所だけ光が弱くなった····この石には何か秘密があるのか?」

俺が壁から手を離すとまた光が増す。
そして壁に手を着き、また離す。それを繰り返している間に気づいた。この壁は俺から何かを吸っている。····と。

「こんなことをしている場合じゃない!先を急がなきゃ!」

俺は気分が悪くなったら壁に手を着け、離す、そしてまた気分が悪くなったら手を着き、離すを繰り返しながら歩いた。

少し歩くとあることに気付く。あれからもう何時間も歩いているのにモンスターが出てこない。

「こういう洞窟とかダンジョンとかでは普通モンスターが沢山いるものだと思っていたが····明らかにおかしいな····まぁ良いか!」

俺が洞窟に入ってから3時間経ったその時、前方に行き止まりが見えた。恐らくここが最深部だろう····そこには何やらキラキラ光る鉱石があった。

「····あれ?変な石はあっても、聖剣なんてどこにもないぞ?」

俺はどこかに隠し扉でもないかと探してみる。しかし、どこにも見当たらない。

「『聖剣召喚』」

俺は聖剣を召喚し、手に持つ。

「封印されてるのが聖剣なら俺の聖剣が導いてくれるかもしれない····」

そんなことを呟きながら聖剣に問いかける。

「聖剣よ!我が問いに応えよ!」

すると聖剣から返事が帰ってくる。

「どうされたのですか?」
「この近くに怪しい場所はあるか?」
「少々お待ちください····」

10秒ほど経つと聖剣がまた喋りだす。

「主のちょうど右側に隠し扉があります····」
「了解!」

俺は右を見ると少しだけ洞窟の壁の色と違う部分があった。違うと言っても普通の人には見分けがつかないほどだが····

「これどうやって開けるのかな?」

見たところ、どこにも隙間や鍵穴はない。俺はまた聖剣を頼ることにした。

「聖剣よ、こいつの開け方が分かるか?」
「····その壁にに手を触れてください」
「了解!」

俺は聖剣に言われた通りに色の違う壁に手を触れる。するとその壁が光を放ち、そして消えた。そしてその向こう側には真っ暗な道が続いていた。俺はもちろん驚いた。

「どうなってんだこの壁····」

俺は少し不思議に思いながら前に進む。そして俺が通ったあと、再び壁が現れ道を塞いだ。

「先を急ごう!」

俺は真っ暗な道を全力で走る。

そして走り続けること大体30分経ったその時、目の前に微かな光が見えた。俺はその光を目指し、さらにスピードを上げる。何故か息切れを起こしてはいなかった。

(これも勇者の力なのか?····まぁ、良いか!)

光に最も近づいた時、目の前が光に覆われた。突然のことに驚いた俺は目が眩む。

「眩しい!なんだこの光は····」

俺は思い切って目を開くと目の前には1本の剣があった。その剣は物凄く神々しい光を放っていた。

「これが····聖剣····なのか?」

俺はその聖剣に手を触れる。すると神々しい光がおさまり、次の瞬間には闇の深淵を覗いているかのような黒い炎のようになっていた。

「なんだ····これは!」

この黒い炎を放つ剣ははもはや聖剣と呼べるものでは無い、これは····

「魔剣····か?」

その時、俺は急な頭痛に襲われた。

「なんだ····この··痛みはァ!」

我を解放しろ!我をここから出せ!

「声が····声が聞こ····える····この声····はいったい?」

そこのガキ!我の封印を解け!

「封····印?」

俺の手はいつの間にか、その剣を握っていた。俺はこの剣の封印は解いてはいけないものと分かっていたが、体が勝手に動いてしまっていたのだ。

そしてその剣を抜いた瞬間、視界が闇に支配された。
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「ここ····は?」

俺は何も無い真っ暗な空間に一人、立っていた。

「俺は確か、封印された剣を抜いて····」

俺の手には剣が握られていた。その剣は浮遊し、俺の前に移動した。

「我を解放せし者よ····貴様は何を求める?」
「俺は····魔王を倒すためにお前の力が欲しい!」
「魔王を倒す力か····良いだろう!」

剣は俺に近付いてきた。まるでもう一度剣を掴めと言わんばかりに。

「最強の聖剣よ!俺に力を!」

俺は剣を掴んで叫んだ。体に激痛が走る。

「汝に魔王を倒す力を与えよう!だが、覚悟をしておけ!」
「覚悟?俺がここに呼ばれた以上は魔王を倒さなくてはならない!そんなものは····既に!」

さらに俺の体に激痛が走る。意識が飛びそうだ。だがここで諦めるわけにはいかない。俺は力にしがみついた。

「例え、その力が『魔王』の力だったとしてもか?」
「え?」
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「····あれ?お、俺の聞き間違え····かな?」

俺は聖剣との会話をしっかりと思い出した。

「確かにあの聖剣は「魔王」と言った····まさか!?」

その時俺は、ようやく気付いた。あの聖剣が封印された理由が。

「何をしているんだ貴様は····」

俺の頭に声が響く。

「この声は····さっきの聖剣!どこから話しかけてるんだ?」
「もう既に貴様の中におるよ····」
「ちょうどいいや!さっきお前が言ってた魔王の力って何だ?」
「言葉の通りだよ。我には魔王の力が封印されているのだ····世界を救ったと思っていたのに人間どもは我をここに封印してしまったのだ。「こいつは危険だ」と言ってな····」

そうか、だからこいつは自分の力を魔王の力だと言ったのか····だがいくら危険だと言えど世界を救えることに変わりはないはずだ。

「どうしてお前の封印を解きに来る勇者がいなかったんだ?」
「我を扱える者がいなかった。それだけだ····」
「そういう事だったのか····という事はまだ俺も使えるか分からないという訳か····」
「いいや、貴様は使えるぞ?」
「え?」

こいつは何を言ってるんだ?この世界の勇者が扱えなかったんだから、ひよっこ勇者の俺じゃあ····

「いや、ひよっこ勇者だからこそ使えるのだよ····」
「····っ!」

こいつ!俺の心を読んでやがる!

「····ひよっこ勇者だから使えるって、どういう事だ?」
「魔王の力は勇者の力と反発しあってしまうのだよ····だからこそ勇者の力が弱い····そう、貴様のような勇者が1番最適という訳だ····それにお前の左手には既に魔王の刻印が刻まれているぞ?」

そう言われて俺は左手を見る。そこには右手の勇者の証と同じような刻印が刻まれていた。

「まじ····かよ」
「貴様の命の半分は勇者、半分は魔王つまり、勇者と魔王のハーフとなった訳だ。だが、絶対にこの事を他の人間に話してはならぬ····良いな?」
「当たり前だろ!」

俺が魔王の力を受け継いだと言ってしまったら、俺は確実に死刑になっちゃうだろ!

「まぁ、死刑になったところでお前はその程度じゃ死なないがな!ふははは!」
「笑い事じゃないよ!」

俺は聖剣と話をしながら、洞窟を出た。
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