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第二章 神白樹の飛躍
7話
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7
ロスタイムを含めても、残り十分ほどとなった。スコアは一対一。相変わらずビジャルは高いストライカー能力を発揮し続け、ゴールを脅かし続けた。
神白は苦痛に耐えつつ、ディフェンスを動かしてはセーブを続けた。バルサ攻撃陣も神白の奮闘に燃えたのか、レオンを中心に惜しい攻めを繰り返していた。
敵がフリーキックを得た。場所はペナルティーエリア左角から五mほど敵陣側。キッカーの5番がボールを地面に置き、四歩退いた。
ゴール前では両チーム会わせて十人強の選手たちがポジション争いを繰り広げている。相手のエース・ビジャルのマーカーはアリウムだった。鋭い表情で、ビジャルの敏速な挙動に従いていっている。
走り込んだ5番がキックした。低弾道のボールが、ニアポスト(ボールに近い側のゴールポスト)へと飛んでくる。
ビジャルが駆けた。身体を横に倒して跳んだ。真横から右足を振り抜いて、ボレーシュートを放つ。
アリウムが足を出した。ビジャルのシュートは妨害され、ボールはコーナーへと転がっていく。
敵の3番が拾いに行った。滑り込んで、コート外に出かけたこぼれ球を確保。バルサ8番が当たるが、左に切り返し躱してクロスを上げる。
ふわりとした球がゴール真正面に飛んだ。ビジャルはアリウムに競り勝ち、高い打点でヘディングした。
神白は瞬時に反応。叩きつけるシュートに飛び込み、左手一本で弾いた。
ボールが零れた。ビジャルが詰める。
だが神白は、地に付いた膝を基点に前に倒れた。両手でがっちり捕まえると、上半身でボール上を覆う。
「ナイスキーパー!」エレナから澄んだ声援が届いた。神白はさっと立ち上がり、前方に視線を向けた。
前線の左サイドでは、天馬だけが敵陣に残っていた。ジムナスティコは、2番一人が天馬に付くのみで他はキーパー以外いなかった。
(侑亮!)閃きを得た神白は、近くに転がして力いっぱいキックした。キャッチしてから蹴るまでを全力で早くした。
高速パスが天馬に向かう。両チームのメンバーが、ジムナスティコ陣へと流れ込む。
ボールが落ちてきた。天馬の右足にぴたりと付けるコースだ。
天馬、バウンド直後を左足外側ですらした。2番の股をボールが通過する。
一瞬の後に、天馬自身は反転。2番の右を抜き去る。
キーパーが詰め寄る。ボールは両者のちょうど中間。どちらが先に触れてもおかしくない位置だった。
天馬はにゅっと右脚を伸ばした。爪先でコツンと突き、キーパーの股を抜いた。
手を突き、天馬は立ち上がった。筋肉の詰まった両足で地を蹴り、凄まじい加速を始める。
一秒も経たずに、天馬はボールに追いついた。ちらりと無人のゴールに目を遣り、インサイドで緩く転がした。
ボールがネットを揺らした。天馬は振り返った。すぐに疾走を開始し、十歩ほど行くと右手を大きく掲げて跳躍した。満足げな大きな笑顔は、少年らしい無邪気な喜びに満ちていた。
(やってくれたな! 侑亮! 難しいボールを見事に収めて、二人連続で股を抜いてシュート! いつもにも増してキレッキレじゃないかよ!)
神白は誇らしい思いで、チームメイトに囲まれている天馬を見つめていた。頭をぶつけた痛みも、今は遠ざかっているように感じられた。
ロスタイムを含めても、残り十分ほどとなった。スコアは一対一。相変わらずビジャルは高いストライカー能力を発揮し続け、ゴールを脅かし続けた。
神白は苦痛に耐えつつ、ディフェンスを動かしてはセーブを続けた。バルサ攻撃陣も神白の奮闘に燃えたのか、レオンを中心に惜しい攻めを繰り返していた。
敵がフリーキックを得た。場所はペナルティーエリア左角から五mほど敵陣側。キッカーの5番がボールを地面に置き、四歩退いた。
ゴール前では両チーム会わせて十人強の選手たちがポジション争いを繰り広げている。相手のエース・ビジャルのマーカーはアリウムだった。鋭い表情で、ビジャルの敏速な挙動に従いていっている。
走り込んだ5番がキックした。低弾道のボールが、ニアポスト(ボールに近い側のゴールポスト)へと飛んでくる。
ビジャルが駆けた。身体を横に倒して跳んだ。真横から右足を振り抜いて、ボレーシュートを放つ。
アリウムが足を出した。ビジャルのシュートは妨害され、ボールはコーナーへと転がっていく。
敵の3番が拾いに行った。滑り込んで、コート外に出かけたこぼれ球を確保。バルサ8番が当たるが、左に切り返し躱してクロスを上げる。
ふわりとした球がゴール真正面に飛んだ。ビジャルはアリウムに競り勝ち、高い打点でヘディングした。
神白は瞬時に反応。叩きつけるシュートに飛び込み、左手一本で弾いた。
ボールが零れた。ビジャルが詰める。
だが神白は、地に付いた膝を基点に前に倒れた。両手でがっちり捕まえると、上半身でボール上を覆う。
「ナイスキーパー!」エレナから澄んだ声援が届いた。神白はさっと立ち上がり、前方に視線を向けた。
前線の左サイドでは、天馬だけが敵陣に残っていた。ジムナスティコは、2番一人が天馬に付くのみで他はキーパー以外いなかった。
(侑亮!)閃きを得た神白は、近くに転がして力いっぱいキックした。キャッチしてから蹴るまでを全力で早くした。
高速パスが天馬に向かう。両チームのメンバーが、ジムナスティコ陣へと流れ込む。
ボールが落ちてきた。天馬の右足にぴたりと付けるコースだ。
天馬、バウンド直後を左足外側ですらした。2番の股をボールが通過する。
一瞬の後に、天馬自身は反転。2番の右を抜き去る。
キーパーが詰め寄る。ボールは両者のちょうど中間。どちらが先に触れてもおかしくない位置だった。
天馬はにゅっと右脚を伸ばした。爪先でコツンと突き、キーパーの股を抜いた。
手を突き、天馬は立ち上がった。筋肉の詰まった両足で地を蹴り、凄まじい加速を始める。
一秒も経たずに、天馬はボールに追いついた。ちらりと無人のゴールに目を遣り、インサイドで緩く転がした。
ボールがネットを揺らした。天馬は振り返った。すぐに疾走を開始し、十歩ほど行くと右手を大きく掲げて跳躍した。満足げな大きな笑顔は、少年らしい無邪気な喜びに満ちていた。
(やってくれたな! 侑亮! 難しいボールを見事に収めて、二人連続で股を抜いてシュート! いつもにも増してキレッキレじゃないかよ!)
神白は誇らしい思いで、チームメイトに囲まれている天馬を見つめていた。頭をぶつけた痛みも、今は遠ざかっているように感じられた。
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