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第11話
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翌日、恭介は重い気持ちで玄関の扉を開いた。
「先輩、おはようございます。新しい朝が来ましたね。今日は快晴、気分もテンションもこの晴れ空に負けないように頑張りましょう!」
今日も今日とて、佳奈は元気いっぱい。何の迷いも感じさせない声とともに、恭介に満面の笑顔を向ける。
「……君は全然堪えてないんだな。でも、もう辞めよう。あれだけ噂になってる中で一緒にいたら、もうどんなことになるかわかんないよ」
恭介が静かに返事をすると、佳奈は「噂ってなんですか?」と、きょとんとした顔で不思議そうに答えた。
「あれだけ広まってて知らないのか? 昨日、俺らが一緒に登校してたのが、陸上部の女子に見られてたんだよ。それが学校中に広まって、今じゃあ俺は、中学生にしか見えない一年女子に手を出した、最低最悪のロリコン野郎だよ!」
耳に届いた自分の声は、想像以上に荒れていた。
「えっ? ロリコンって。……でも私、そんな」
佳奈の顔には、驚きと悲しみが浮かんでいる。
「だからやめやめ。な、もういいだろ?」
恭介は畳み掛けるように、投げやりな早口で即答した。
しかし必死げな佳奈はなおも食い下がる。
「お願いです! 私、先輩をどうにかして……。そうだ! 会うのがダメなら電話すればいいんです! ナイスアイデア! 先輩、これからは……」
一転、佳奈は、明るい口調になった。
いらいらと頭を掻いた恭介は、佳奈を睨み付ける。
「は、電話? 時間の無駄無駄。んな事、するわけないだろ。だいたい昨日は、君が途中で離れなきゃいけないこと忘れててこんな大事態になったんだろ。どの面下げてそんな提案ができんだよ! ってか最初に言おうと思ってたけど、いったいなんなのその執念? どっから湧いてくんの? 意味がわかんないよ」
やりきれなさに任せて、恭介は大声で佳奈をなじった。離れて歩くのを忘れていたのは自分も同じなのは、わかっていた。だがもう、止められなかった。
「っていうか、女子っていっつもそうだよなぁ。誰と誰がひっついただの離れただの。そっち方面の噂ばっかりしてさ。人の気持ちも考えない、しょーもない悪巧みしてさぁ」
泣きそうに唇を震わす佳奈に、恭介は思いつきの言葉を容赦なく投げる。
「ああわかったわかった。君も何か企んでんだな」
「そんなことないです。私はただ先輩に……」
うつむいた佳奈は、涙声で答えた。ひっくと一回鼻をすすったかと思うと、ついにその目から滴がこぼれ落ちた。
「……先輩に好きになってもらえなくても良かった。私が先輩を好きだって事だけは信じてて欲しかった」
佳奈は、落ち続ける涙を小さな手で拭い続けた。だがやがて、そろそろと再び顔を上げた。目こそ赤かったが、その表情は晴れ晴れとしている。
「今まで本当にありがとうございました。それと、離れなきゃいけないの忘れててすみませんでした」
変に爽やかに言った佳奈は、「では失礼します」とぺこりと頭を下げた。間髪を入れずに、小走りで去って行く。
(やっと厄介払いができたか。ったく俺とした事が、なんであんな馬鹿げた提案を受けたんだ)
少し気持ちが軽くなった恭介は、ゆっくりと学校へと歩き始めた。
翌日、恭介は重い気持ちで玄関の扉を開いた。
「先輩、おはようございます。新しい朝が来ましたね。今日は快晴、気分もテンションもこの晴れ空に負けないように頑張りましょう!」
今日も今日とて、佳奈は元気いっぱい。何の迷いも感じさせない声とともに、恭介に満面の笑顔を向ける。
「……君は全然堪えてないんだな。でも、もう辞めよう。あれだけ噂になってる中で一緒にいたら、もうどんなことになるかわかんないよ」
恭介が静かに返事をすると、佳奈は「噂ってなんですか?」と、きょとんとした顔で不思議そうに答えた。
「あれだけ広まってて知らないのか? 昨日、俺らが一緒に登校してたのが、陸上部の女子に見られてたんだよ。それが学校中に広まって、今じゃあ俺は、中学生にしか見えない一年女子に手を出した、最低最悪のロリコン野郎だよ!」
耳に届いた自分の声は、想像以上に荒れていた。
「えっ? ロリコンって。……でも私、そんな」
佳奈の顔には、驚きと悲しみが浮かんでいる。
「だからやめやめ。な、もういいだろ?」
恭介は畳み掛けるように、投げやりな早口で即答した。
しかし必死げな佳奈はなおも食い下がる。
「お願いです! 私、先輩をどうにかして……。そうだ! 会うのがダメなら電話すればいいんです! ナイスアイデア! 先輩、これからは……」
一転、佳奈は、明るい口調になった。
いらいらと頭を掻いた恭介は、佳奈を睨み付ける。
「は、電話? 時間の無駄無駄。んな事、するわけないだろ。だいたい昨日は、君が途中で離れなきゃいけないこと忘れててこんな大事態になったんだろ。どの面下げてそんな提案ができんだよ! ってか最初に言おうと思ってたけど、いったいなんなのその執念? どっから湧いてくんの? 意味がわかんないよ」
やりきれなさに任せて、恭介は大声で佳奈をなじった。離れて歩くのを忘れていたのは自分も同じなのは、わかっていた。だがもう、止められなかった。
「っていうか、女子っていっつもそうだよなぁ。誰と誰がひっついただの離れただの。そっち方面の噂ばっかりしてさ。人の気持ちも考えない、しょーもない悪巧みしてさぁ」
泣きそうに唇を震わす佳奈に、恭介は思いつきの言葉を容赦なく投げる。
「ああわかったわかった。君も何か企んでんだな」
「そんなことないです。私はただ先輩に……」
うつむいた佳奈は、涙声で答えた。ひっくと一回鼻をすすったかと思うと、ついにその目から滴がこぼれ落ちた。
「……先輩に好きになってもらえなくても良かった。私が先輩を好きだって事だけは信じてて欲しかった」
佳奈は、落ち続ける涙を小さな手で拭い続けた。だがやがて、そろそろと再び顔を上げた。目こそ赤かったが、その表情は晴れ晴れとしている。
「今まで本当にありがとうございました。それと、離れなきゃいけないの忘れててすみませんでした」
変に爽やかに言った佳奈は、「では失礼します」とぺこりと頭を下げた。間髪を入れずに、小走りで去って行く。
(やっと厄介払いができたか。ったく俺とした事が、なんであんな馬鹿げた提案を受けたんだ)
少し気持ちが軽くなった恭介は、ゆっくりと学校へと歩き始めた。
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