田舎者の王立学院生活 ~魔眼【透視】持ちでも逃げない女の子はいませんか?~

花咲一樹

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透視10 魔物から女の子達を救ったら眼福だった!?てお話

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 あれから槍術や馬術、格闘術に魔術(総合)ときて、今日の午後は二駒使って郊外の森に薬草採取だった。三組と四組の合同授業になっている。

「アベル、楽しそうね」
「久しぶりの森だからな!ミアさんは嫌いか?」
「ま、まあ楽しいわよ」
「なら良かった」

 俺達五人は薬草を探して森の中を歩いていた。今日は五人一組の行動となっていた。俺の組はミアさん、コレットさん、それと双子の女の子ルフィアさんとソフィアさんだ。双子の二人は薄い空色の髪の毛で顔もそっくり。既にどっちがルフィアさんでどっちがソフィアさんか分からなくなっている。

「ホシゾラ草発見!」「おっ!ハルナ草だ」「ゲングリ草にカリエラス草も有るぞ!」「マクラ草の花だよ!此れを煎じると便秘薬になるんだ。ミアさん便秘だから持って帰ろう!……ん?」

 何故かミアさんを俺を睨んで見ている?

「アベルぅぅぅ、私のお通じの事を何故ご存じなのかしらぁぁぁ???」
「え、ああ……風の知らせかな?かな?」
「見たのね!見たんでしょ!見たんだわ~!アベルゥゥウウウ!!!」
「違う!事故だ!ミアさんが俺のシャワー上がりに部屋を歩くから~」
「…………シャワー禁止ね!」
「え~~~~~~~!」

 俺達が森に入って一時間。少し奥の森には他の組も薬草探しをしている。

「ミアさん危ない!」
「え!?」

 ミアさんの足元には獣の糞があった。ミアさんは足を止めて後退る。

「危なかったな」
「あ、ありがとう……」

 大きな黒い糞。……まさかな?俺は糞に近付き状態を確認する。臭いも嗅いでみる。

「あ、アベル君!」
「アベル何やってるのよ!」

 コレットさんとミアさんが吃驚している。双子のルフィアさんとソフィアさんはボソボソと二人で耳打ちしていた。

 この糞は新しい。まずいな。

「ミアさん!先生に連絡!薬草探しは止めた方がいい!この辺にブラック…「きゃあああああああああ!」」

 森の奥から女の子達の叫び声!ヤバい!俺は森の奥に走っていく。ミアさん達も付いて来ている。

「ミアさん戻れ!ブラックマッドドッグだ!」

 あの糞は山暮らしで何度か見たブラックマッドドッグの糞だった。奴らは肉食だがたまにマクラ草の花を食べる。あの糞からはマクラ草の花の臭いが僅かにしていた。

 茂みを抜けると五人の女の子グループと、今にも襲いかかろうとしている魔獣ブラックマッドドッグ三匹がいた。体長2m近い大型の黒い狂犬。ゴブリンやオークでさえ襲って食べる魔獣だ。

「あ、アベル……あれは……」

 結局ミアさん達は付いて来てしまっていた。俺達は薬草採取用のナイフしか持っていない。

「魔眼を使う」
「え!?」

 俺は紫色の魔眼封じの眼鏡を外しミアさんに預けた。

 【未来視】! 3秒……7秒……15秒……21秒……ブラックマッドドッグが女の子達を襲う未来が見える。チッ!時間が無い!

 【急所】!【加速視】!魔眼の同時使用。 

 【加速視】の発動により、世界がゆっくりと動いて見える。【加速】ギフトと似た恩恵を【加速視】のスキルで受けられる。

 【急所】で薬草採取用ナイフでも倒せる攻撃箇所を見る。三匹のブラックマッドドッグに向かって俺は走りだした!

 動きだすブラックマッドドッグ。俺は【加速視】のゆっくり流れる時間の中でブラックマッドドッグの鼻を狙う。

 右側のブラックマッドドッグが蠅が止まりそうなスピードで一番早く俺に近付く。その鼻っ柱を薬草採取用のナイフで切り、ついでに大口を開けて涎を垂らしている舌も切り落とす。

 次に中央のブラックマッドドッグがゆっくり近付いてくる。その鼻にナイフを突き刺し、ついでに片目も斬り裂く。

 最後に左側のブラックマッドドッグの鼻にナイフを突き刺して横に回り腹を思いっきり蹴り上げた。

「オラああああああッ!!!」

 本当なら喉でもかっ切ってやりたいが薬草採取用のナイフではコイツらの皮を斬り裂く事が出来ない。しかし鼻ならば硬くはなく傷をつけられた。

 犬の急所である鼻を傷付けられたブラックマッドドッグはキャンキャン鳴きながら森の奥に走って行ってくれた。

「大丈夫だったか!」

「「「…………………………」」」

 呆然と俺を見ている襲われていた五人の女子生徒達。ミアさん達も呆然と俺を見ている……。無防備で!!!

ガハッ!!!

 ノーガード美少女九人の綺麗な体……。鼻血大量放出で俺は手で鼻を押さえた。

 フッ。どうやら負傷したのは俺だけのようだな……。



「「「あ、アベル君」」」
「ん?」

 女子寮の食堂で俺とミアさんが晩飯を食べていると、今日森の中でブラックマッドドッグに襲われていた女の子五人がテーブルの横にやってきた。隣のクラスの女の子達で話した事も無いが?

「きょ、今日はありがとう御座いました」
「あ、あの私達で御礼に」
「く、クッキー焼いてきました」
「「「た、食べて下さい!」」」

 テーブルの上に小さな可愛い袋が置かれた。

「俺にくれるのか?」
「「「はい!」」」
「食べていいのか?」
「「「はい!」」」

 俺は袋からクッキーを一枚取り出し口に入れた。

美味うまい!凄い美味いな!」
「「「やった~!!!」」」

 女の子達はキャッキャワイワイ喜んで席を離れて行った。

「美味いクッキーだ。ミアさんも食べるか?」
「あ、貴方が貰ったのだから、貴方が食べなさい」
「そうか。…………なんか怒ってないか?」
「お、怒ってなんかいないわよ!フン!」

 どう見ても怒っているようにしか見えないが?何か怒らせる事したっけか?



《夜ー女子寮ールフィアとソフィアの部屋》

「ミレリア様が私達のお部屋にいらっしゃるなんて何かお急ぎの御用でしょうか?」

 ルフィアが私を部屋の中に入れてくれた。ルフィアとソフィアは私の家に古くから仕える家令の一門。執事長の計らいで私の身の回りの世話が出来るように入学していた。

「アベルの事何だけど……」
「「あの男は危険です!」」
「ほへ?」

「「ミレリア様の裸を見るなど死に値します!」」
「え?」

「「あの眼力も危険です!リックの剣捌きを素人が躱せるものではありません!」」
「はあ?」

「「高等数学を理解する鑑定スキル!」」
「う、うん?」

「「薬草鑑定に魔物鑑定スキルも!」」
「そ、そう?」

「「極め付けはブラックマッドドッグを倒したあの早技!」」

「私の耳でも」
「私の耳でも」
「「一振りのナイフの音と僅かな残響しか聞き取れませんでした!」」
「す、凄かったよね?」

「あの男は魔眼だけでは有りません!」
「あの男はきっと加速アクセルを使います!」
「あの男は他にもスキルを隠しています!」
「あの男は異常です!」
「「ミレリア様!ご指示を!!!」」

「う、うん。貴女達にお願いが有るの」
「「はい!今すぐ速攻即刻直ちに抹殺ですか!」」
「う、ううん」

「「え!?違うのですか!?」」
「うん。あ、あのね……」

「「はい!」」

「クッキーの作り方教えてちょうだい」

「「はいぃ?????」」

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