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なにを作っているんですか?
しおりを挟むキラーベアとは大型のクマである。森の中に生息していて、木の実や薬草を採取していると遭遇することがある。
自然の中では動物を主食として食べているが、腹を空かせていると、遭遇した人間を襲うことがある。
最近では個体数が異常に増加しており、人を襲うことが頻発している。
王国内でも手を焼いており、国が国家資金を挙げて、討伐した冒険者には多額の報奨金を支払っている。
当然ながら、キラーベアの討伐は簡単ではない。体格が人の倍以上ある割には俊敏性が高く、何より巨大な爪で人を襲うその力は、並みの冒険者では太刀打ちできない。
また、キラーベアの遭遇が一体だけとは限らない。こちらが複数人で一体を討伐するつもりでいても、向こうも複数体で遭遇することになれば、もはや逃げることはできないのだ。
依頼を受けて命を落とした冒険者は数多くいる。
達成率の低さからランクと報奨金は上昇したが、たいていの冒険者は受けようとせず、人気がない依頼でもある。
アレクたちは結局、キラーベアの討伐を受けることにした。
ただ、すぐには出発せずに、3、4日準備してから行くことにした。
「アレクさん、なにを作っているんですか?」
アレクが宿の厨房を借りて、野菜と果物を鍋にいれて煮込んでいる姿にソニアが興味深々である。
「色が変な色してますよ。でも、匂いはとてもいい香りです。」
「これは焼肉のタレと言われているものだ」
ソニアは初めて聞いた名前でも、その意味からどういう料理に使用するかを推測することができた。
「味見してみるか?」
アレクは小皿に焼肉のタレを移し、ソニアに渡す。
ソニアは少し舐めてみる。
「ちょっと甘辛くてこのままでは飲めないですね」
「この濃厚な甘辛さが焼いた肉によく合うんだ」
「確かに焼いた肉によく合いそうですね。でもこれってキラーベアの討伐にどう使うんですか?」
「それは秘密だ」
「気になるじゃないですか」
答えて欲しいソニアに対してアレクは秘密のままにしておいた。
一晩煮込みで寝かせた鍋にある焼肉のタレを複数の小瓶に分けた。
これで一晩保存しおけば、タレに深みが増すのではないだろうかとそんな気がした。
アレクは焼肉のタレの作り方を調べたわけではない。スマホのない時代に作り方を調べるわけにもいかないので、子供の頃に見たタレの原材料がこんな材料だったなという記憶だけで作ってみた。
案外、よくできているのではないか、そんな気がした。
さて、明日はキラーベアの討伐に向かうとしよう。
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