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恋愛の予防接種
しおりを挟む誰かに告白された時、どう対処したらいいのか、わからない。
こんな時、恋愛経験が豊富な人なら、うまく乗り切きれるのかもしれないが、
自分にはそんな経験が一度も訪れなかったのだから、仕方がない。
ましてや、恋愛の予防接種があるわけではないので、耐性があるわけでもない。
今がその一度目に直面している。しかも二人から同時に告白なのだから、それは僕のキャパシティを余裕で超えているというものだろう。
とっさに思いついたのは、毅然とした態度を取ることで、動揺せず、余裕のある態度を示すことだった。
なので、こう呟いた。
「ふーん、そうなんだ・・・」
この言葉を発した時、無言の膠着のまま、部屋の空気が凍りつくような感覚が一瞬で部屋を満たした。
村長を含め、ソニア、レインの誰もが沈黙のまま、一分ほどの時が流れた。
次第に、凍えるような空気から一転し、ソニアとレインが顔を真っ赤にしながら、怒りの余熱を部屋に満たしていた。
暖かいはずなのに、アレクの背中には寒気と背汗が流れていた。
僕は何か間違えたのではないだろうか、その疑念だけが残った。
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