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星に願いを
しおりを挟む夏の終わり、清里の小さな村には都会の喧騒を忘れさせるほどの静けさがあった。東京から来た大学の天文サークルのメンバー、美智子と陸も、星空観測のためにこの村を訪れていた。彼らにとって、この夜はただの観測会ではなく、花火と星を一緒に楽しむ特別なイベントとなっていた。
観測会が始まると、美智子と陸は村の人々と協力して望遠鏡を設置し、準備を進めた。天の川がクリアに見える夜で、期待感が高まる。しかし、本当の楽しみはその後に控えている花火大会だった。
花火大会が始まる時間が近づくと、美智子と陸は人混みを避けるため、一段高い丘へと場所を移した。そこは星空と花火、両方を同時に楽しむことができる絶好のスポットだった。
最初の花火が打ち上げられた瞬間、彼らの前に広がる景色は息を呑むほどの美しさで、花火の光が星々と重なり、まるで宇宙そのものが動き出したかのようだった。そして、流れ星が現れると、美智子は陸に向かって言った。
「陸、流れ星だ!願い事をしなきゃ!」
二人は手を取り合い、静かに願いを込めた。美智子は、この瞬間を永遠に忘れないようにと願った。陸は、いつまでも美智子と一緒に星を見ることができますようにと願った。
花火の最後に大きく打ち上げられた花火を背景に、美智子は陸に向かって真剣な表情で言った。
「陸、私たち、卒業したら忙しくなるかもしれないけど、この星空の下で約束しよう。毎年この場所で星を見ること。」
陸は美智子の手を強く握り返し、彼女の目を見つめながら答えた。
「約束だよ、美智子。どんなに忙しくても、どんなに離れていても、この場所で会おう。」
その夜、二人は星空と花火の光に包まれながら、未来への希望と約束を新たにした。夜が更に深まり、周囲が静寂に包まれていく中で、美智子と陸の心は一つになっていた。
花火も星も終わりを告げ、夜明けが近づいたが、二人の約束は彼らの心の中で生き続けることになる。毎年、夏の終わりには、清里の丘で再び会い、星空の下で夢を語り合うのだった。それは時間が経てども色褪せることのない、永遠の約束となった。
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