お伽噺のカケラ

ちちまる

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星を編む少女

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昔々、空には星が一つもない時代がありました。夜空は漆黒で、人々はその暗さに心を重くしていました。しかし、この世界には「星を編む少女」アリエルがいました。彼女は夜ごとに夢の中で星を編む不思議な力を持っていたのです。

アリエルは、村のはずれの小さな家で、老いた祖母と二人で暮らしていました。祖母はかつて、星々が夜空を飾っていた時代の話をしてくれました。それを聞くたびに、アリエルは自分の夢で編んだ星を空に飾ることを願っていました。

ある晩、アリエルはいつもと違う夢を見ました。夢の中で、月の女神が現れ、「真心からの願いは、必ず叶う。しかし、その代償を忘れてはならない」と言いました。目覚めたアリエルは、その言葉の意味を深く考え、そして決心しました。自分の夢で編んだ星を、この世界の空に輝かせることを。

翌日から、アリエルは夜ごとに夢の中で星を編み始めました。彼女が編む星は、一つ一つが異なる輝きを放ち、見る者の心を和ませる力を持っていました。そして、編んだ星を空に飾るたびに、彼女自身の光は少しずつ薄れていきました。

月日が流れ、ついにアリエルは最後の星を編み上げました。空は美しい星々で満たされ、人々はその光に心を奪われました。しかし、アリエルはその代償として、自らの光をすべて星に託していたのです。

アリエルの祖母は孫の犠牲を知り、涙を流しながら空を見上げました。しかし、その夜、空にはかつてないほど美しい星が一つ輝き始めました。それはアリエルの心が宿る星で、彼女の優しさと勇気を永遠に物語るものでした。

星を編む少女の物語は、世代を超えて語り継がれ、人々に夢と希望、そして何より愛を伝え続けています。そして、今もなお夜空を見上げると、アリエルの星が優しく私たちを見守っているのです。
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