お伽噺のカケラ

ちちまる

文字の大きさ
6 / 14

月夜に舞う青い蝶

しおりを挟む

昔々、とある村の近くの森に、月夜だけに現れる青い蝶がいました。この蝶は、見る者に幸せをもたらすと伝えられ、多くの人々がその姿を一目見ようと夜ごと森へと足を運んでいました。しかし、蝶は選ばれた純粋な心を持つ者にしか姿を見せませんでした。

その村に、心優しい少女リリアが住んでいました。リリアは、病弱な母のために、どんなに困難でも村の人々を助けることに喜びを見出していました。彼女は、母の笑顔が見たい一心で、青い蝶の伝説を信じ、月夜になるたびに森へと足を運びました。

ある晩、特に明るい満月の夜、リリアはいつものように森へと向かいました。森の奥深くに進むと、突然、幻想的な光に包まれました。そして、目の前に美しい青い蝶が舞い降りたのです。蝶はリリアの前で舞い、彼女に幸せの魔法を授けると、静かに森の奥へと消えていきました。

翌朝、リリアは母を起こすと、不思議なことに母の病が奇跡的に癒えていることに気づきました。母と村の人々は、リリアの純粋な心と行動が青い蝶を引き寄せ、彼女の願いを叶えたと信じました。

リリアと母の物語は、やがて村中に広まり、人々は互いを思いやる心が最も大切な魔法であることを再認識しました。そして、月夜には家族や友人が手を取り合い、森の美しい青い蝶を見るために集まるようになりました。

青い蝶の伝説は、村を越えて広がり、多くの人々に希望と幸せをもたらし続けました。リリアとその母は、青い蝶によって結ばれた絆でいつまでも幸せに暮らし、その物語は世代を超えて語り継がれることとなりました。

月夜に舞う青い蝶は、純粋な心がもたらす無限の可能性と、愛と希望の象徴として、今もなお夜空を彩っています。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

交換した性別

廣瀬純七
ファンタジー
幼い頃に魔法で性別を交換した男女の話

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...