3 / 11
運命の糸に導かれて
しおりを挟む星の光がまばゆい異世界、ヴェルディア。そこに突如現れた私、真弓はどうしてここにいるのか、何も思い出せない。ただ、夜空に輝く異形の星々を見上げながら、違和感と共に深い懐かしさを感じていた。
「おや、貴女はどこから来たのですか?」
声の主は、金色の髪を持つ若き騎士、アレクであった。彼の瞳は真弓を優しく包み込む碧色で、不思議と心を落ち着かせる力があった。真弓はアレクの問いに答えることができず、ただ、無言で首を横に振った。
「記憶がないのですね。では、私が保護しましょう。ここは安全ではないからです。」
アレクの案内で、彼の居城へと向かう道中、真弓はこの世界の美しさと厳しさに圧倒された。城に着くと、アレクは真弓に部屋を用意し、必要なものは何でも用意すると言ってくれた。
日々を共にするうちに、アレクと真弓は互いに惹かれあうようになる。アレクは真弓に剣術を教え、真弓はアレクに地球の話をした。しかし、真弓の心の片隅には、この惹かれあう感情がなぜか複雑なものであることを示す謎の痛みがあった。
ある日、真弓はアレクとの散歩中に突然、強烈な頭痛と共に断片的な記憶を思い出した。地球での恋人、そして事故により彼と生き別れたこと。そして、その恋人の面影がアレクに重なることに気づいた。
「アレク、私…もしかしてあなたを知っているかもしれません。私たち、地球でも…」
アレクは真弓の言葉を静かに聞き、深くため息をついた。
「真弓、実は私もお前のことを覚えているんだ。私たちの魂は運命で結ばれている。ここヴェルディアで再び出会えたのも、その糸が導いたからだろう。」
二人は互いの過去と現在を受け入れ、新たな生活をこの世界で始める決意を固めた。アレクの元で学び、成長する真弓。アレクもまた、真弓から学び、感じたことのない平和をこの地にもたらそうと努めた。
星々が煌めくある晩、二人は城のバルコニーで星に願いを込めた。真弓の願いは、二度とアレクを失わないこと。アレクの願いは、二人の魂が次の生まで繋がり続けること。
「真弓、どんな時も、どんな世界でも、私はお前を愛し続ける。」
「私も、アレク。どこにいても、あなたを見つけ出します。」
そして星の光は、二人の誓いを天に届けるかのように、一層明るく輝いた。この新しい世界で、二人の新しい物語が、静かに幕を開けていた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる