5 / 6
魔法の王様ゲームと月夜の黒猫
しおりを挟む満月の光が古びた洋館の庭を照らす夜、大学生の紗季は友人たちと集まっていた。集まったのは、幼馴染の大輔、明るく元気な美咲、クールな翔太、そして神秘的な雰囲気を持つ莉奈だった。
「今日は何して遊ぶ?」美咲が笑顔で尋ねた。
紗季は祖母から受け継いだ古い本を思い出し、取り出した。それは「魔法の王様ゲーム」と書かれた、美しい装丁の本だった。
「これで遊んでみない?」紗季は提案した。
友人たちは興味津々で、その提案に賛成した。皆で円を作り、紗季が本の説明を読み上げた。ルールはシンプルだったが、命令には必ず従わなければならないという厳しい条件があった。
最初の王様は大輔だった。彼は少し考えてから、紗季に命令を出した。
「紗季、一番恥ずかしかった出来事を話して。」
紗季は顔を赤らめながらも、笑って答えた。「それは高校の文化祭で、皆の前でダンスを踊ったことかな。すごく緊張したんだけど、結果的には楽しかった。」
次に王様になったのは美咲だった。彼女は翔太に「一番大切なものを見せて」と命じた。翔太は少し戸惑いながらも、ポケットから小さなクリスタルのペンダントを取り出した。
「これ、母からもらったんだ。大切な思い出が詰まってる。」
その夜、紗季は夢の中で不思議な体験をした。夢の中で、黒猫が現れ、彼女に話しかけてきた。
「私はルナ。このゲームには特別な力があるんだ。君たちの絆を試し、真実の愛を見つけるための試練だよ。」
紗季は驚きながらも、その言葉に深い意味を感じた。翌日、彼女はその夢のことを友人たちに話した。皆は半信半疑だったが、興味を持ち続け、ゲームを続けることにした。
ゲームが進むにつれ、命令は次第に深くなり、参加者たちの本音や隠された感情が明らかになっていった。ある日、莉奈が王様となり、大輔に「一番好きな人に告白すること」を命じた。
大輔は少し戸惑いながらも、深呼吸をして紗季に向かって話し始めた。「紗季、ずっと君のことが好きだった。付き合ってくれないか?」
紗季は驚きと喜びでいっぱいになり、笑顔で頷いた。「もちろん、私も大輔が好き。」
周りの友人たちは拍手を送り、二人を祝福した。黒猫のルナはその光景を見守りながら、静かに言った。
「これで一つの試練は終わった。君たちは真実の愛に一歩近づいたね。」
それからも、ゲームは続き、様々な命令が出される中で、参加者たちは互いの秘密や感情を共有していった。翔太は美咲に「最も怖かった経験を話すこと」を命じられた。
翔太はしばらく黙ってから話し始めた。「実は、小さい頃に家族を事故で失ったんだ。それ以来、心を閉ざしていたけど、みんなのおかげで少しずつ変われる気がする。」
美咲はその言葉を聞いて、彼の手を握った。「私たちがいるよ。これからも一緒に乗り越えよう。」
その瞬間、ルナが柔らかな声で言った。「君たちは強くなっている。真実の愛と絆を見つける旅はまだ続くけど、もうすぐだよ。」
最後の命令が出される時が来た。紗季が王様となり、全員に「自分の未来を語ること」を命じた。
美咲は教師になる夢を語り、翔太は医師として人々を救うことを誓った。莉奈は画家としての夢を追いかけることを話し、大輔は紗季と共に幸せな家庭を築くことを望んだ。
「私はみんなと一緒に、この絆を大切にしながら生きていきたい。そして、ルナとともに、真実の愛を見つける旅を続けたい。」
その言葉を聞いたルナは満足そうに尻尾を揺らし、静かに消えていった。「ありがとう、紗季。君たちは本当の愛を見つけたんだ。」
それから数年が経ち、紗季たちはそれぞれの道を歩んでいたが、彼らの絆は変わらずに続いていた。紗季は時折、あの古い本を手に取り、ルナとの出会いを思い出していた。
王様ゲームを通じて得たものは、ただの遊びではなく、心の奥底にある真実の愛と絆だった。それは、何年経っても色褪せることなく、彼らの心に刻まれていた。
紗季は微笑みながら、新たな冒険の本を手に取り、再び新しい物語が始まる予感を感じていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに
家紋武範
恋愛
となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。
ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる