8 / 10
水着と恋の織りなす夏
しおりを挟む夏の風が、都会の喧騒を運んでいく。高校の教室で、水泳部のエースである翔太は友人たちと夏の大会に向けて練習の話で盛り上がっていた。しかし彼の心の中には、もう一つ別の大きな目標があった。それは、彼の密かな思いを寄せるマネージャーの美月に、自分の作ったオリジナル水着を着てもらうことだった。
「翔太、そのデザイン完成したの?」
「ああ、昨日、やっと形になったんだ。これを美月に着てもらえたらな…」
彼のデザインした水着は、普通のものとは一線を画す芸術的な仕上がりで、彼の熱い情熱が込められていた。翔太は水泳を通じて美月と距離を縮めたいと考えていたが、なかなか自分の気持ちを伝える勇気が持てずにいた。
一方、美月もまた密かに翔太のことを想っていた。彼女は水泳部のマネージャーとして翔太のサポートをしているうちに、彼の誠実で献身的な姿に惹かれていったのだ。
ある日、翔太はついに美月に水着をプレゼントする決意を固めた。夏の大会が開かれるプールサイドで、彼は美月を呼び止めた。
「美月、これ、僕がデザインした水着なんだ。君に着て欲しくて…」
美月は驚きながらも、翔太から水着を受け取った。彼女はその繊細で美しいデザインに心を打たれ、翔太の熱意を感じ取った。
「翔太、ありがとう。こんな素敵な水着、大切にするね。」
そして、大会当日。美月は翔太のデザインした水着を着て現れた。彼女の姿はまるで太陽の光を集めるようで、観客からも驚きの声が上がった。
翔太は美月の姿を見て、今までに感じたことのないほどの感動とともに、自分の感情を抑えることができなかった。
「美月、本当に…本当に美しいよ。」
「ありがとう、翔太。この水着、とても気に入った。あなたの想い、ちゃんと受け取ったよ。」
その言葉を聞いた翔太は、勇気を出して美月に本心を告げた。
「美月、僕…僕はずっと前から君のことが好きだったんだ。」
美月は少し驚いた表情を見せたが、すぐに優しい笑顔を向けて答えた。
「私もよ、翔太。あなたのこと、ずっと見ていたんだから。」
二人は互いの真っ直ぐな気持ちを確認し合い、そして、その夏の日のプールサイドで、初めてのキスを交わした。水着を介して始まった小さな恋は、大きな愛に変わり、二人の間に新たな絆が生まれた。
夏の終わりには、彼らはもう一度、手を取り合ってビーチを歩いた。美月は愛おしそうに翔太のデザインした水着を眺めながら言った。
「来年の夏も、一緒にいようね。そして、また素敵な水着を待ってる。」
「もちろんだよ。僕の全部の情熱を、君に捧げるから。」
水着への熱い情熱が、二人を結びつけた。それは夏だけの物語ではなく、これからの長い時間を共にする約束だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる