愛のカタチ

３分間の距離

都市の喧騒が遠くに聞こえる、ある冬の日のこと。雪が降り始めた駅のホームで、僕は彼女を待っていた。今日は特別な日、彼女との記念日。約束の時刻はもうすぐそこに迫っているが、彼女の姿はまだ見えない。僕の心は期待と不安で交錯していた。

僕たちの関係は、いつも微妙な距離感で成り立っていた。互いに惹かれ合いながらも、なかなか心を開くことができないでいた。でも今日、僕はその距離を縮めたいと思っていた。だからこそ、彼女に会えるのが待ち遠しくてたまらなかった。

時刻表を見上げると、彼女の電車が到着するまであと３分。その短い時間が、今までになく長く感じられた。雪は静かに降り続け、僕の足元を白く染め上げていく。周りの人々はそれぞれの目的地に向かって忙しなく動いている。その中で、僕はただ一人、時が止まったかのように彼女を待ち続けた。

そして、待ちに待った電車がホームに滑り込んでくる。ドアが開くと、人々が一斉に降りてくる。彼女を探す僕の目は、その中の一人、彼女を見つけた瞬間に輝きを増す。彼女もまた、僕を見つけると、優しい笑顔を浮かべながら駆け寄ってきた。

「ごめんね、待たせちゃって。」彼女の言葉に、僕はただ頷いた。それ以上の言葉は必要なかった。彼女が無事にここに着いたこと、それだけで僕の心は満たされた。

彼女と手を繋ぎ、駅を出る。雪が二人を包み込む中、僕はついに決心を固めた。この３分間の待ち時間で感じた、彼女への想いの深さを伝える時が来たと。

「実はね、君を待ってる間にずっと考えてたんだ。君のことが、本当に大切で…君ともっとたくさんの時間を共有したいと思ってる。」彼女が僕の言葉を聞いて、目を輝かせる。彼女の手が僕の手をより強く握り返した瞬間、僕たちの間の距離が一気に縮まったことを感じた。

『３分間の距離』は、僕たちが互いに心を開き、真の絆を確かめ合うまでの物語。この短い時間が、僕たちの関係を大きく変えるきっかけとなった。彼女と共に歩む未来への第一歩を、この雪の中で踏み出した。それは、小さな一歩かもしれないが、僕たちにとっては大きな意味を持つ一歩だった。