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学園祭のプロミス
しおりを挟む学園祭の準備がピークに達する季節、東京のある大学キャンパスは色と活動で溢れていた。晴れ渡る空の下、文化部とスポーツ部が共に熱心にブースを作り上げていた。そんな中、文学部の部室で、蒼と紗希は祭りのスペシャル企画「恋の物語コンテスト」の最終準備に追われていた。
蒼は文学部の部長で、静かで考え深い少年。彼の書く詩は校内でも評判で、多くの生徒が彼の作品に心打たれていた。一方の紗希は、入部してから間もない新入部員で、蒼の書く詩に憧れて文学部に入部した。彼女は明るく社交的で、すぐに部活のムードメーカーとなっていた。
「蒼くん、この詩は祭りのテーマにピッタリだよね!みんなに聞いてもらえるのが楽しみ!」紗希が準備中の資料を見ながら話すと、蒼は少し照れくさそうに笑った。
「うん、君が手伝ってくれたおかげで、内容もまとまってきた。ありがとう、紗希。」
祭りの当日、キャンパスは例年以上の盛り上がりを見せていた。色とりどりの装飾が施されたブース、美味しそうな食べ物の香り、生演奏の音楽が一体となり、訪れた人々を魅了していた。文学部のブースも例外ではなく、蒼と紗希が用意した「恋の物語コンテスト」には多くの学生が興味を持って足を止めていた。
コンテストが始まり、参加者たちが次々と自作の恋の物語を朗読する中、紗希の心は蒼への未告白の感情に揺れていた。彼が他の参加者の作品に対して優しく、しかし的確なフィードバックをしている姿を見て、彼への尊敬とともに、深い感情が芽生えていたことに気づかされた。
ついに、蒼自身もステージに立ち、彼の新作詩を朗読し始めた。詩は、秋のキャンパスを舞台にした切ない恋の物語で、その美しい言葉選びと情感豊かな朗読に、会場は静まり返った。
詩を終えた蒼が紗希を見たその瞬間、紗希は勇気を出して自分の気持ちを伝えた。
「蒼くん、ずっと言おうと思ってたんだけど、私、蒼くんのことが好きです。蒼くんの詩に心を動かされて、部活に入ったの。もっと一緒に詩を作りたいです。」
蒼は少し驚いた表情を見せたが、すぐに優しい笑顔を浮かべた。
「紗希、ありがとう。実は僕も...君の明るさと、いつも全力で取り組む姿にずっと惹かれていたんだ。僕も、君と一緒にもっと詩を作りたい。」
その日の夕方、学園祭の喧騒が徐々に静かになる中、二人はキャンパスの裏庭で手を繋いだ。紅葉が美しいその場所で、これから始まる二人の新しい物語に期待を寄せながら、互いの未来について語り合った。学園祭の一日は終わりを告げたが、蒼と紗希の物語はまだ始まったばかりだった。
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