愛のカタチ

七夕の願い星

七月のある暑い夜、街の中心で開かれる七夕祭りの準備が進められていた。その年は特に街の人々が力を入れており、竹飾りや短冊に願い事を書くコーナーが設けられていた。

瑛斗は地元の大学に通う学生で、祭りのボランティアスタッフとして参加していた。彼は七夕の伝説、織姫と彦星の恋物語に魅了されており、この日が一年で最もロマンチックだと信じていた。一方、紗季はこの街に引っ越してきたばかりの青年で、新しい友達を作るために祭りに参加していた。

祭りの日、瑛斗と紗季は短冊を書くコーナーで偶然出会った。二人は互いに願い事を書く手を止め、少し話し込んでしまった。瑛斗は紗季の穏やかで柔らかな物腰に惹かれ、紗季は瑛斗の情熱的で明るい性格が新鮮だった。

「七夕に願い事をするなら、何を願いますか？」瑛斗が訊ねると、紗季は少し考えた後、静かに答えた。「新しい場所での幸せな生活と、大切な人との出会いですね。」

その言葉に心を打たれた瑛斗は、紗季を祭りの他の部分に案内することを提案した。二人で屋台を回りながら、さまざまな食べ物を楽しみ、夜空を見上げて煌めく星を眺めた。

祭りのハイライトである天の川を模したイルミネーションが点灯されると、瑛斗は紗季に自分の心を開いた。「紗季さん、今夜出会えたこと、何かの運命を感じます。もしよろしければ、これからも一緒に様々な場所を見て回りたいです。」

紗季は瑛斗の真剣な眼差しに心を動かされ、「私もそうしたいです。瑛斗さんともっと多くの時間を共有できたら嬉しいです」と答えた。

その夜のうちに、瑛斗と紗季はお互いの連絡先を交換し、これからのデートの約束をした。七夕の祭りは彼らにとって新しい関係の始まりを告げる場となり、星に願いを託したように、二人の未来にも光が注がれ始めた。

月日が流れ、瑛斗と紗季は互いに深い愛情を育て、翌年の七夕には再び同じ祭りで願い事をした。今回はお互いに向けた願い事を短冊に書き、竹に吊るした。紗季の願いは「これからも瑛斗と共に幸せを築いていくこと」、瑛斗の願いは「紗季と一生を共にし、年老いても変わらぬ愛を持ち続けること」だった。

七夕のロマンスが二人を結びつけ、彼らの物語は星のように美しく、天の川のように永遠に続いていくのだった。