28 / 29
番外編
お弁当
しおりを挟む
「贈りもの」の数か月後のお話。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よっこいしょ、っと。あ」
目が覚めて一番に、お布団から起き上がる際、発する言葉。
「また言ってしまった……」
まだそれほどお腹は大きくないのに、ついつい言ってしまう。気を付けなければ。
春の中ごろ、少し雲がかかる朝。
私と壮介さんの赤ちゃんは安定期に入り、さらに少し経過したところ。今のところ順調で何の問題もなく、私の状態も安定していた。
「あ、元気元気。おはよう」
動いた赤ちゃんに挨拶する。最初はお腹の中を、みみずが這っているみたいな感じしかしなかった胎動も、最近では、はっきりとわかるようになってきた。私が起きると一緒に動いたりして……可愛い。
幸せな感触にお腹をさすりながら隣を見ると、壮介さんがいない。
「あれ? 壮介さん?」
今日はお休みで、ゴルフの予定もないはず。起き上がって押し入れを開け、綺麗に畳まれた壮介さんのお布団を確認する。……もしや。
和室を出て、ゆっくりゆっくり階段を下りていく。柔らかな光に満たされたリビングに下り立つと、トントンという小さな音がキッチンから聴こえてきた。そちらへ静かに歩いていき、せわしなく動いている彼の背中に向かって声を掛ける。
「壮介さん」
「あ、おはよう、七緒さん。もっと寝てていいのに」
振り向いた私の旦那様が、優しく笑った。
「おはよう、あの」
すぐにまた背を向けた壮介さんは、まな板の上に置いた胡瓜を包丁で切り始めた。
「七緒さん階段気を付けてよー。そろそろ一階の和室で寝ようか。そうだ今夜からそうしよう、うん」
「壮介さん」
「んー?」
「また朝ごはん作ってくれてたの?」
「まーねー」
壮介さんの隣に立って問いかけると、彼は得意げな顔で答えた。
「ありがとう」
「味は保証しないよ。でも頑張ったから褒めて」
「うん……わかった」
子どもみたいな彼の言葉に思わず吹き出した。最近はもう開き直っているのか、照れるでもなく当然という顔をしているから、余計に笑っちゃう。
「また七緒さんてば、すぐ笑うんだから」
「ごめんね。頑張ってくれてありがとう。壮介さん大好き」
背伸びをして彼の頬に唇を押し付ける。手を止めて眼鏡を外した壮介さんが、私をそっと抱き締めた。
「僕も七緒さん大好きだよ」
「うん」
「お返し」
唇に、ちゅっと軽く返され、微笑み合う。
もう少し深くキスして欲しかったな、なんて。つわり中に気遣ってくれるようになってからというもの、そういうことがほとんどなくなってしまって、少し寂しい。そのせいなのか、最近は些細なことで不安を感じてしまう自分がいた。
それにしても、料理は何もできないと断言していたあの壮介さんが、お休みの日は自ら早起きして、私の為に朝ごはんを作ってくれているとは。これが三回も続いているのだから本当に感心してしまう。私と赤ちゃんの為に、こんなことまで頑張ってくれていて……壮介さんと結婚して本当に良かったって、しみじみ思う。
ふとダイニングテーブルに目をやると、そこにはラップに包まれたおにぎりとおかずが、お皿にのっていた。
「ねえ壮介さん。これも朝ごはんなの?」
「いや、もし七緒さんが体調良ければ、あとで散歩にでも行こうかと思って」
「え」
「前に、こうやっておにぎり作ってくれたじゃない。あのときみたいにさ、どう?」
「うん、行きたいです」
「体調は?」
「ばっちり! すごく調子いいの。この子も」
お腹に手を当てると、嬉しそうに……本当に嬉しそうに壮介さんが笑った。
「そうか、それはよかった。じゃあ、のんびり行こうね」
よしよしと、私のお腹を優しく撫でてくれる。応えるように赤ちゃんも動いたけれど、まだ壮介さんの手のひらまでは伝わらないみたい。
壮介さんの作ってくれた軽い朝ごはんを食べ、片付けと洗濯物を終えて、一休みしてからお散歩へ出た。
家の傍にある大きな公園では、青々とした葉桜の並木が続いている。いつの間にか雲は消え、青い空が広がっていた。
「気持ちがいい~」
「よく晴れたな~。七緒さん、疲れない?」
「全然! ここのところ雨続きだったから、こうしてお散歩できるのが嬉しい」
繋いだ手をぎゅっと握って壮介さんの横顔を見つめると、彼もそれに応えて強く握り返してくれた。
大きな池の上を鳥がすいすい飛んでいき、花壇には色とりどりの花がたくさん咲いていた。桜の樹以外の木々の緑も豊かで目に眩しい。春の匂いを胸いっぱいに吸い込み、壮介さんと公園の道をゆっくり進んでいく。園内に設置されている時計は、もうすぐ一時になろうとしていた。
池の周りを一周して、用意していたひざ掛けをベンチに敷き、その上に座った。
意外と距離はあったようで、額に薄っすらと汗を掻いてしまった。ミニタオルをバッグから取り出し、汗を押さえる。
私のマタニティワンピの膝の上に、壮介さんがハンカチを敷いてラップに包まれたおにぎりを載せた。
「どうぞ、召し上がれ」
「いただきます!」
大きなおにぎりが二つ。具はこんぶと、梅干しだと教えてくれた。おかずはゆで卵と、アスパラを巻いたベーコンが、タッパーの中に綺麗に詰められていた。
大きな口を開けて、おにぎりを頬張る。
「あ、美味しい!」
「良かったー。おにぎりって三角に握るの大変なんだね。丸にしかできなかったよ」
「でも、綺麗な丸に出来てる。壮介さん、最近すごいのね。朝ごはんのサンドイッチも、びっくりするくらい上達してたし」
おにぎりの塩気がちょうどよくて、本当に美味しい。彼がおにぎりを握っている姿を想像すると、胸に何とも言えない温かなものがこみ上げた。
「最初のはひどかったよね、僕のサンドイッチ」
「不格好だったけど、すごく嬉しかった。壮介さんが一生懸命作ってくれたと思うと何だか嬉しくて……食べながら泣いちゃったの」
ひどい生理痛で寝ていた私に、仕事へ出かける前、時間をかけて作ってくれたサンドイッチ。料理をしない壮介さんが私の為にしてくれたことが嬉しくて、彼を大好きだと再確認させられた出来事だった。
「もしかして僕の知らないところで、いっぱい泣いてた?」
「少しだけ」
膝の上に置いた私の手を、彼が強く握る。
「もう絶対泣かせるようなことはしないよ。この先ずっと」
「……うん」
こうして私を大事にしてくれるんだもの。今夜思い切って、心の内を告白してみよう。
今朝宣言していたように、壮介さんは一階の和室へ布団を下ろしてくれた。しっかり干したお布団に洗い立てのシーツを被せる。
夕飯後、お風呂上がりの私たちは並べたお布団に寝転がった。早起きしてくれたからだろう。壮介さんは本を読みつつ、何回も欠伸をしていた。
彼の横顔やパジャマを着た肩先、ページをめくる指先が、今夜はやけに恋しく感じる。と同時に、また小さな不安が胸に広がった。彼に触れて欲しくなった私は、思わず声を掛けていた。
「あのね、壮介さん」
「うん?」
「奥さんが妊娠中って、その……浮気したくなるの?」
「え!」
「そういう旦那さんが多いって」
驚いた声を上げた壮介さんが、顔だけ勢いよく振り返った。
ネットで色々調べているうちに見たくない情報までもがどうしても入ってしまい、くだらないことだとわかっていても気になっていた。私の為に我慢してくれているのだろうけれど、あまりに求められ無さ過ぎても心配になる。
「誰にそういうこと吹き込まれたんだよ~。友達? ネット? 誰か経験者の知り合いでもいるの?」
「ネットとか雑誌、です」
「ふーん。で、誰が浮気するって?」
「だ、旦那さんが」
「七緒さんの旦那は僕でしょ。僕が浮気してるとでも言いたいの?」
壮介さんは体をずいっとこちらへ近づけて、私の顔を覗き込んだ。
「私の体を気遣ってくれて、すごく嬉しいけど、ずっと……してないでしょ? だからもしかして、って少し心配だったの」
「信用無いなー僕」
「そういうわけじゃ、ないんだけど」
大きくため息を吐いた壮介さんは、同時に読んでいた本を閉じた。
「大体ね、奥さんが妊娠中に浮気する男っていうのは」
「うん」
「金と時間があって、さらに面倒くさがりじゃないマメな奴なんだよ。要はヒマなの、ヒマ! こっちは忙しすぎて休みもなかなか取れないっていうのに」
イライラとした口調で、仰向けの壮介さんは天井を見た。
「僕は七緒さん以外にはマメじゃないしね」
「そうなの?」
「そうだよ。すぐ傍に愛する妻がいるのに、何で他に目がいくのかわからないね、僕は」
「!」
「七緒さん、顔まっか。……こっちおいで」
壮介さんが自分の掛け布団を持ち上げた。横になっていたお布団から出た私は、彼のお布団に潜り込む。
腕枕をしてくれた壮介さんが私を優しく抱き締めた。彼の匂いと温もりに胸がきゅんとすぼまる。
「私、壮介さんに全然体を求められないのが寂しくなっちゃったの。ごめんなさい、我儘言って」
「七緒さんが大変なときに、僕の欲求ばかり押し付けるのは大人じゃないでしょ」
「うん。でも何だか、ちょっとしたことで不安になっちゃって」
「体の変化に心がついていってないんじゃない? 妊婦さんってナーバスになるんでしょ、色々と」
「そう、かも」
つわりは終わって体の調子が良くなったとはいえ、その後は涙もろくなったり、急に心配事が増えたりしたのも、もしかしたら壮介さんの言う通りかもしれない。彼の匂いが恋しくなったのも。
「あとね、つわりが終わったら何だか、壮介さんにすごく触って欲しくて……そういう妊婦さんもいるみたい」
「触るだけでいいの?」
「……意地悪」
クスッと笑った壮介さんが、大きな手で私の髪を優しく撫でてくれた。
「七緒さんの体調が大丈夫なら、もちろん僕はしたいよ。でも我慢だってできる。それが愛でしょ、愛」
「壮介さんってば」
言い方がおかしくて笑ってしまった。些細なことでも、やっぱりちゃんと話さなくては駄目だよね。言ってよかった。ホッとしたそのとき、彼の指が私の顎を持ち上げた。
「僕のこと愛してる?」
「え」
「言ってよ、七緒さん」
急に真剣な声で言う壮介さんの瞳に釘付けになりながら、唇を動かす。
「あ、愛して、ます」
「僕も、七緒さん愛してるよ……!」
「んっ!!」
返事をしてすぐに唇を塞がれた。
柔らかくて生温かな壮介さんの舌に、口の中全部を舐められる。久しぶりの強引さに心臓が高鳴り、私の全てが喜んでいた。
温かい手にあちこちまさぐられ、どんどん足の間が濡れていくのがわかる。お腹は張らないし、どこも具合が悪くない。大丈夫。
ただ触られているだけで気持ちがよくて、合わせた唇の間から声を漏らしていた。
「ん、ふっ、んん」
壮介さんの息も荒くなっている。体も心も昂ってきたそのとき、彼が手を止めて起き上がった。
「ちょっと待っててね、七緒さん」
「は、い」
寂しがる体を自分でそっと抱き締めて、部屋から出た彼を待った。
春の夜の匂いは、外にいても部屋にいても、どこか艶めかしさを感じさせる。私も起き上がり、部屋の灯りを床に置いた間接照明だけにした。ついでにパジャマを脱いでお布団の中に入ると、壮介さんが戻ってきた。
「しっかり手、洗ってきた。これも付けないとだよね」
「ありがとう、壮介さん」
手に載せた避妊具を私に見せた彼はパジャマと下着を脱ぎ、お布団に入った。
「あ……七緒さん、そんなに待ちきれなかったの?」
私の裸を見て一瞬驚いた壮介さんは、にっと笑って手を伸ばしてくる。
「待ちきれなかったのもあるけど……。体が変わったのが恥ずかしくて、自分で脱いじゃった」
「恥ずかしいことなんてないよ。綺麗だよ、七緒さんの体」
「あ、あ……っ」
首筋から肩、そして胸の辺りを指先で、つうっと撫でられ、体がびくんと揺れる。
「七緒さん、またおっきくなったんじゃない? 前からすごかったけど、これもいいなぁ」
私の胸をそっと触った壮介さんが嬉しそうな声を出した。確かに最近、お腹に負けじと胸も大きくなっているんだよね。
「おおー、すごい重量感だー」
両方の手のひらに乗っけるようにして、私の胸を弄ぶ。……大きな子どもみたい。
「もう、や、ん!」
体をひねって抵抗すると、すぐに手を離してくれた。
「あんまり刺激したらいけないんだよね。吸わないように気を付けないと駄目だな」
「う、うん。……あ」
目立ってきたお腹を優しく、愛おしげに撫でた壮介さんは、その手をさらに下へと進ませた。
「本当はここも全部舐めちゃいたいけど」
「あっ! あ、う」
すっかり蕩けた私のそこへ、彼が指を滑らせた。久しぶりのせいか、すごく敏感になっている蜜の入り口は、彼の指で信じられないくらいに気持ち良くなっていく。
「あ、あ、ああ」
撫でられているだけなのに、勝手に声が出てしまう。
「気持ちいい? 七緒さん」
「う、ん……いい、壮介、さん」
くちゅくちゅと水音が響いている。お腹の子に聞こえていたらと思うと恥ずかしいのに、彼の指がもっと欲しくて腰が浮いてしまう。
「僕調べたんだけどさ、妊娠中ってイッちゃっても大丈夫なんだよね? どうする? イキたい?」
耳元で囁かれた途端、大きな快感がせり上がってきた。
「う、っん、だいじょう、ぶ」
「イキたいの?」
「あっ、いきた、い、お願い……っ!」
壮介さんの腕を掴んで懇願する。と、彼は私の愛液がたっぷり付いた指の腹を、敏感な粒に塗りこみ、小刻みに刺激し始めた。
「あっ、あっ」
頭がぼうっとして、もっともっとその指を欲しくて、涙を滲ませながら彼の瞳を見つめると、応えるように私の唇へ深いキスを落とした。
「んっ、んうう! んーーっ!!」
舌を絡ませ、唇の端から露を零しながら、あっという間に達してしまった。体中が……頭の天辺から爪先まで全てが悦びに震えている。
「あ……あ」
ゆっくりと息を吐いて、意識をお腹に集中させた。張ってもいないし、どこも痛くない。
「ゆっくりしようね。何かあったらすぐ言って。途中でも何でも止めるから、大丈夫だよ」
快感を味わう私の横で、壮介さんが準備を終えた。
「……ありがとう。来て」
両手を伸ばして彼を迎える。壮介さんはお布団の上に手をついて、私に直接乗らないよう気を付けながら、蜜の滴る内へ静かに挿入ってきた。
「あ、あ」
浅目に挿れたところで動きを止めた壮介さんが、項垂れて大きく深呼吸する。苦しそう……?
「……七緒さん、僕」
「どうし、たの?」
「久しぶりだから、良過ぎて、あ」
「いいの?」
「すごく、いいよ」
私の内で浅く出し入れする壮介さんは、熱い息を私の耳へ落とした。
私を壊さないように、お腹の子を守るように、激しさなんて一切なく、自分を抑えながら喘ぐ彼を見て愛おしさが胸に溢れる。
「私、壮介さんと結婚して、よかった……」
「七緒さん」
「世界一、幸せなの」
いつもいつも心からそう思っているって、伝えたかった。
「やめてよ七緒、さん」
「どうして……?」
「そういうこと言われたら、すぐ出ちゃうって……!」
「ん! んんっ!!」
私の唇を塞いだ壮介さんは、息もできないほどのキスをしたあと、私の瞳を見つめて囁きかける。
「僕も……幸せだよ、世界一」
「壮介さん……!」
愛の言葉を降らせて久しぶりに繋いだ体は、あっという間に快楽の果てへと昇り詰め、互いの全てを満たし合った。
心地よい疲れに浸り、お布団の中で体を寄せ合う。一階の部屋で二人で寝るのは初めてで、別の場所へ来たかのように新鮮だった。
「今度の木曜日健診だよね。僕も一緒に行くよ」
壮介さんは私に負担のかからないような姿勢で、抱き締めてくれていた。
「男の子か女の子か、先生に聞いてみる?」
「そろそろわかるんだっけ」
「うん」
壮介さんが私のお腹を、ゆったりとさすった。
「どうしようか、まだ迷ってる。あとのお楽しみでもいいような、先に知りたいような」
「私も。もう少し知らない時間があってもいいかな」
「七緒さんはどっちが欲しいの?」
「元気に生まれて来てくれれば、どっちでもいい」
「僕も同じ」
微笑み合うと、壮介さんが私の体をそっと抱き起した。
「冷やさないようにパジャマ着ちゃおう」
お布団の横に脱いだ下着とパジャマを、壮介さんが着せてくれた。お返しにと、私も彼の下着とパジャマを拾う。
「私も着せてあげる」
「僕はいいよ」
「私もしたいの。させて?」
「何だか照れるな」
笑った壮介さんに、私がしてもらったように着させてあげる。お布団の上に座った彼の、パジャマの背中に抱き付いて顔を押し付けた。あったかい。壮介さんの、いい匂い。心臓の、音。
「どうしたの? 七緒さん」
「うん。幸せだなって、思って」
壮介さんのお腹のほうに回した両手の上から、彼の両手を重ねられた。
「三人で幸せになろうね」
「はい」
早く会いたいなぁ、という壮介さんの呟きに頷きながら、こちらを向いた彼の腕の中でたくさんの幸せを噛み締めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よっこいしょ、っと。あ」
目が覚めて一番に、お布団から起き上がる際、発する言葉。
「また言ってしまった……」
まだそれほどお腹は大きくないのに、ついつい言ってしまう。気を付けなければ。
春の中ごろ、少し雲がかかる朝。
私と壮介さんの赤ちゃんは安定期に入り、さらに少し経過したところ。今のところ順調で何の問題もなく、私の状態も安定していた。
「あ、元気元気。おはよう」
動いた赤ちゃんに挨拶する。最初はお腹の中を、みみずが這っているみたいな感じしかしなかった胎動も、最近では、はっきりとわかるようになってきた。私が起きると一緒に動いたりして……可愛い。
幸せな感触にお腹をさすりながら隣を見ると、壮介さんがいない。
「あれ? 壮介さん?」
今日はお休みで、ゴルフの予定もないはず。起き上がって押し入れを開け、綺麗に畳まれた壮介さんのお布団を確認する。……もしや。
和室を出て、ゆっくりゆっくり階段を下りていく。柔らかな光に満たされたリビングに下り立つと、トントンという小さな音がキッチンから聴こえてきた。そちらへ静かに歩いていき、せわしなく動いている彼の背中に向かって声を掛ける。
「壮介さん」
「あ、おはよう、七緒さん。もっと寝てていいのに」
振り向いた私の旦那様が、優しく笑った。
「おはよう、あの」
すぐにまた背を向けた壮介さんは、まな板の上に置いた胡瓜を包丁で切り始めた。
「七緒さん階段気を付けてよー。そろそろ一階の和室で寝ようか。そうだ今夜からそうしよう、うん」
「壮介さん」
「んー?」
「また朝ごはん作ってくれてたの?」
「まーねー」
壮介さんの隣に立って問いかけると、彼は得意げな顔で答えた。
「ありがとう」
「味は保証しないよ。でも頑張ったから褒めて」
「うん……わかった」
子どもみたいな彼の言葉に思わず吹き出した。最近はもう開き直っているのか、照れるでもなく当然という顔をしているから、余計に笑っちゃう。
「また七緒さんてば、すぐ笑うんだから」
「ごめんね。頑張ってくれてありがとう。壮介さん大好き」
背伸びをして彼の頬に唇を押し付ける。手を止めて眼鏡を外した壮介さんが、私をそっと抱き締めた。
「僕も七緒さん大好きだよ」
「うん」
「お返し」
唇に、ちゅっと軽く返され、微笑み合う。
もう少し深くキスして欲しかったな、なんて。つわり中に気遣ってくれるようになってからというもの、そういうことがほとんどなくなってしまって、少し寂しい。そのせいなのか、最近は些細なことで不安を感じてしまう自分がいた。
それにしても、料理は何もできないと断言していたあの壮介さんが、お休みの日は自ら早起きして、私の為に朝ごはんを作ってくれているとは。これが三回も続いているのだから本当に感心してしまう。私と赤ちゃんの為に、こんなことまで頑張ってくれていて……壮介さんと結婚して本当に良かったって、しみじみ思う。
ふとダイニングテーブルに目をやると、そこにはラップに包まれたおにぎりとおかずが、お皿にのっていた。
「ねえ壮介さん。これも朝ごはんなの?」
「いや、もし七緒さんが体調良ければ、あとで散歩にでも行こうかと思って」
「え」
「前に、こうやっておにぎり作ってくれたじゃない。あのときみたいにさ、どう?」
「うん、行きたいです」
「体調は?」
「ばっちり! すごく調子いいの。この子も」
お腹に手を当てると、嬉しそうに……本当に嬉しそうに壮介さんが笑った。
「そうか、それはよかった。じゃあ、のんびり行こうね」
よしよしと、私のお腹を優しく撫でてくれる。応えるように赤ちゃんも動いたけれど、まだ壮介さんの手のひらまでは伝わらないみたい。
壮介さんの作ってくれた軽い朝ごはんを食べ、片付けと洗濯物を終えて、一休みしてからお散歩へ出た。
家の傍にある大きな公園では、青々とした葉桜の並木が続いている。いつの間にか雲は消え、青い空が広がっていた。
「気持ちがいい~」
「よく晴れたな~。七緒さん、疲れない?」
「全然! ここのところ雨続きだったから、こうしてお散歩できるのが嬉しい」
繋いだ手をぎゅっと握って壮介さんの横顔を見つめると、彼もそれに応えて強く握り返してくれた。
大きな池の上を鳥がすいすい飛んでいき、花壇には色とりどりの花がたくさん咲いていた。桜の樹以外の木々の緑も豊かで目に眩しい。春の匂いを胸いっぱいに吸い込み、壮介さんと公園の道をゆっくり進んでいく。園内に設置されている時計は、もうすぐ一時になろうとしていた。
池の周りを一周して、用意していたひざ掛けをベンチに敷き、その上に座った。
意外と距離はあったようで、額に薄っすらと汗を掻いてしまった。ミニタオルをバッグから取り出し、汗を押さえる。
私のマタニティワンピの膝の上に、壮介さんがハンカチを敷いてラップに包まれたおにぎりを載せた。
「どうぞ、召し上がれ」
「いただきます!」
大きなおにぎりが二つ。具はこんぶと、梅干しだと教えてくれた。おかずはゆで卵と、アスパラを巻いたベーコンが、タッパーの中に綺麗に詰められていた。
大きな口を開けて、おにぎりを頬張る。
「あ、美味しい!」
「良かったー。おにぎりって三角に握るの大変なんだね。丸にしかできなかったよ」
「でも、綺麗な丸に出来てる。壮介さん、最近すごいのね。朝ごはんのサンドイッチも、びっくりするくらい上達してたし」
おにぎりの塩気がちょうどよくて、本当に美味しい。彼がおにぎりを握っている姿を想像すると、胸に何とも言えない温かなものがこみ上げた。
「最初のはひどかったよね、僕のサンドイッチ」
「不格好だったけど、すごく嬉しかった。壮介さんが一生懸命作ってくれたと思うと何だか嬉しくて……食べながら泣いちゃったの」
ひどい生理痛で寝ていた私に、仕事へ出かける前、時間をかけて作ってくれたサンドイッチ。料理をしない壮介さんが私の為にしてくれたことが嬉しくて、彼を大好きだと再確認させられた出来事だった。
「もしかして僕の知らないところで、いっぱい泣いてた?」
「少しだけ」
膝の上に置いた私の手を、彼が強く握る。
「もう絶対泣かせるようなことはしないよ。この先ずっと」
「……うん」
こうして私を大事にしてくれるんだもの。今夜思い切って、心の内を告白してみよう。
今朝宣言していたように、壮介さんは一階の和室へ布団を下ろしてくれた。しっかり干したお布団に洗い立てのシーツを被せる。
夕飯後、お風呂上がりの私たちは並べたお布団に寝転がった。早起きしてくれたからだろう。壮介さんは本を読みつつ、何回も欠伸をしていた。
彼の横顔やパジャマを着た肩先、ページをめくる指先が、今夜はやけに恋しく感じる。と同時に、また小さな不安が胸に広がった。彼に触れて欲しくなった私は、思わず声を掛けていた。
「あのね、壮介さん」
「うん?」
「奥さんが妊娠中って、その……浮気したくなるの?」
「え!」
「そういう旦那さんが多いって」
驚いた声を上げた壮介さんが、顔だけ勢いよく振り返った。
ネットで色々調べているうちに見たくない情報までもがどうしても入ってしまい、くだらないことだとわかっていても気になっていた。私の為に我慢してくれているのだろうけれど、あまりに求められ無さ過ぎても心配になる。
「誰にそういうこと吹き込まれたんだよ~。友達? ネット? 誰か経験者の知り合いでもいるの?」
「ネットとか雑誌、です」
「ふーん。で、誰が浮気するって?」
「だ、旦那さんが」
「七緒さんの旦那は僕でしょ。僕が浮気してるとでも言いたいの?」
壮介さんは体をずいっとこちらへ近づけて、私の顔を覗き込んだ。
「私の体を気遣ってくれて、すごく嬉しいけど、ずっと……してないでしょ? だからもしかして、って少し心配だったの」
「信用無いなー僕」
「そういうわけじゃ、ないんだけど」
大きくため息を吐いた壮介さんは、同時に読んでいた本を閉じた。
「大体ね、奥さんが妊娠中に浮気する男っていうのは」
「うん」
「金と時間があって、さらに面倒くさがりじゃないマメな奴なんだよ。要はヒマなの、ヒマ! こっちは忙しすぎて休みもなかなか取れないっていうのに」
イライラとした口調で、仰向けの壮介さんは天井を見た。
「僕は七緒さん以外にはマメじゃないしね」
「そうなの?」
「そうだよ。すぐ傍に愛する妻がいるのに、何で他に目がいくのかわからないね、僕は」
「!」
「七緒さん、顔まっか。……こっちおいで」
壮介さんが自分の掛け布団を持ち上げた。横になっていたお布団から出た私は、彼のお布団に潜り込む。
腕枕をしてくれた壮介さんが私を優しく抱き締めた。彼の匂いと温もりに胸がきゅんとすぼまる。
「私、壮介さんに全然体を求められないのが寂しくなっちゃったの。ごめんなさい、我儘言って」
「七緒さんが大変なときに、僕の欲求ばかり押し付けるのは大人じゃないでしょ」
「うん。でも何だか、ちょっとしたことで不安になっちゃって」
「体の変化に心がついていってないんじゃない? 妊婦さんってナーバスになるんでしょ、色々と」
「そう、かも」
つわりは終わって体の調子が良くなったとはいえ、その後は涙もろくなったり、急に心配事が増えたりしたのも、もしかしたら壮介さんの言う通りかもしれない。彼の匂いが恋しくなったのも。
「あとね、つわりが終わったら何だか、壮介さんにすごく触って欲しくて……そういう妊婦さんもいるみたい」
「触るだけでいいの?」
「……意地悪」
クスッと笑った壮介さんが、大きな手で私の髪を優しく撫でてくれた。
「七緒さんの体調が大丈夫なら、もちろん僕はしたいよ。でも我慢だってできる。それが愛でしょ、愛」
「壮介さんってば」
言い方がおかしくて笑ってしまった。些細なことでも、やっぱりちゃんと話さなくては駄目だよね。言ってよかった。ホッとしたそのとき、彼の指が私の顎を持ち上げた。
「僕のこと愛してる?」
「え」
「言ってよ、七緒さん」
急に真剣な声で言う壮介さんの瞳に釘付けになりながら、唇を動かす。
「あ、愛して、ます」
「僕も、七緒さん愛してるよ……!」
「んっ!!」
返事をしてすぐに唇を塞がれた。
柔らかくて生温かな壮介さんの舌に、口の中全部を舐められる。久しぶりの強引さに心臓が高鳴り、私の全てが喜んでいた。
温かい手にあちこちまさぐられ、どんどん足の間が濡れていくのがわかる。お腹は張らないし、どこも具合が悪くない。大丈夫。
ただ触られているだけで気持ちがよくて、合わせた唇の間から声を漏らしていた。
「ん、ふっ、んん」
壮介さんの息も荒くなっている。体も心も昂ってきたそのとき、彼が手を止めて起き上がった。
「ちょっと待っててね、七緒さん」
「は、い」
寂しがる体を自分でそっと抱き締めて、部屋から出た彼を待った。
春の夜の匂いは、外にいても部屋にいても、どこか艶めかしさを感じさせる。私も起き上がり、部屋の灯りを床に置いた間接照明だけにした。ついでにパジャマを脱いでお布団の中に入ると、壮介さんが戻ってきた。
「しっかり手、洗ってきた。これも付けないとだよね」
「ありがとう、壮介さん」
手に載せた避妊具を私に見せた彼はパジャマと下着を脱ぎ、お布団に入った。
「あ……七緒さん、そんなに待ちきれなかったの?」
私の裸を見て一瞬驚いた壮介さんは、にっと笑って手を伸ばしてくる。
「待ちきれなかったのもあるけど……。体が変わったのが恥ずかしくて、自分で脱いじゃった」
「恥ずかしいことなんてないよ。綺麗だよ、七緒さんの体」
「あ、あ……っ」
首筋から肩、そして胸の辺りを指先で、つうっと撫でられ、体がびくんと揺れる。
「七緒さん、またおっきくなったんじゃない? 前からすごかったけど、これもいいなぁ」
私の胸をそっと触った壮介さんが嬉しそうな声を出した。確かに最近、お腹に負けじと胸も大きくなっているんだよね。
「おおー、すごい重量感だー」
両方の手のひらに乗っけるようにして、私の胸を弄ぶ。……大きな子どもみたい。
「もう、や、ん!」
体をひねって抵抗すると、すぐに手を離してくれた。
「あんまり刺激したらいけないんだよね。吸わないように気を付けないと駄目だな」
「う、うん。……あ」
目立ってきたお腹を優しく、愛おしげに撫でた壮介さんは、その手をさらに下へと進ませた。
「本当はここも全部舐めちゃいたいけど」
「あっ! あ、う」
すっかり蕩けた私のそこへ、彼が指を滑らせた。久しぶりのせいか、すごく敏感になっている蜜の入り口は、彼の指で信じられないくらいに気持ち良くなっていく。
「あ、あ、ああ」
撫でられているだけなのに、勝手に声が出てしまう。
「気持ちいい? 七緒さん」
「う、ん……いい、壮介、さん」
くちゅくちゅと水音が響いている。お腹の子に聞こえていたらと思うと恥ずかしいのに、彼の指がもっと欲しくて腰が浮いてしまう。
「僕調べたんだけどさ、妊娠中ってイッちゃっても大丈夫なんだよね? どうする? イキたい?」
耳元で囁かれた途端、大きな快感がせり上がってきた。
「う、っん、だいじょう、ぶ」
「イキたいの?」
「あっ、いきた、い、お願い……っ!」
壮介さんの腕を掴んで懇願する。と、彼は私の愛液がたっぷり付いた指の腹を、敏感な粒に塗りこみ、小刻みに刺激し始めた。
「あっ、あっ」
頭がぼうっとして、もっともっとその指を欲しくて、涙を滲ませながら彼の瞳を見つめると、応えるように私の唇へ深いキスを落とした。
「んっ、んうう! んーーっ!!」
舌を絡ませ、唇の端から露を零しながら、あっという間に達してしまった。体中が……頭の天辺から爪先まで全てが悦びに震えている。
「あ……あ」
ゆっくりと息を吐いて、意識をお腹に集中させた。張ってもいないし、どこも痛くない。
「ゆっくりしようね。何かあったらすぐ言って。途中でも何でも止めるから、大丈夫だよ」
快感を味わう私の横で、壮介さんが準備を終えた。
「……ありがとう。来て」
両手を伸ばして彼を迎える。壮介さんはお布団の上に手をついて、私に直接乗らないよう気を付けながら、蜜の滴る内へ静かに挿入ってきた。
「あ、あ」
浅目に挿れたところで動きを止めた壮介さんが、項垂れて大きく深呼吸する。苦しそう……?
「……七緒さん、僕」
「どうし、たの?」
「久しぶりだから、良過ぎて、あ」
「いいの?」
「すごく、いいよ」
私の内で浅く出し入れする壮介さんは、熱い息を私の耳へ落とした。
私を壊さないように、お腹の子を守るように、激しさなんて一切なく、自分を抑えながら喘ぐ彼を見て愛おしさが胸に溢れる。
「私、壮介さんと結婚して、よかった……」
「七緒さん」
「世界一、幸せなの」
いつもいつも心からそう思っているって、伝えたかった。
「やめてよ七緒、さん」
「どうして……?」
「そういうこと言われたら、すぐ出ちゃうって……!」
「ん! んんっ!!」
私の唇を塞いだ壮介さんは、息もできないほどのキスをしたあと、私の瞳を見つめて囁きかける。
「僕も……幸せだよ、世界一」
「壮介さん……!」
愛の言葉を降らせて久しぶりに繋いだ体は、あっという間に快楽の果てへと昇り詰め、互いの全てを満たし合った。
心地よい疲れに浸り、お布団の中で体を寄せ合う。一階の部屋で二人で寝るのは初めてで、別の場所へ来たかのように新鮮だった。
「今度の木曜日健診だよね。僕も一緒に行くよ」
壮介さんは私に負担のかからないような姿勢で、抱き締めてくれていた。
「男の子か女の子か、先生に聞いてみる?」
「そろそろわかるんだっけ」
「うん」
壮介さんが私のお腹を、ゆったりとさすった。
「どうしようか、まだ迷ってる。あとのお楽しみでもいいような、先に知りたいような」
「私も。もう少し知らない時間があってもいいかな」
「七緒さんはどっちが欲しいの?」
「元気に生まれて来てくれれば、どっちでもいい」
「僕も同じ」
微笑み合うと、壮介さんが私の体をそっと抱き起した。
「冷やさないようにパジャマ着ちゃおう」
お布団の横に脱いだ下着とパジャマを、壮介さんが着せてくれた。お返しにと、私も彼の下着とパジャマを拾う。
「私も着せてあげる」
「僕はいいよ」
「私もしたいの。させて?」
「何だか照れるな」
笑った壮介さんに、私がしてもらったように着させてあげる。お布団の上に座った彼の、パジャマの背中に抱き付いて顔を押し付けた。あったかい。壮介さんの、いい匂い。心臓の、音。
「どうしたの? 七緒さん」
「うん。幸せだなって、思って」
壮介さんのお腹のほうに回した両手の上から、彼の両手を重ねられた。
「三人で幸せになろうね」
「はい」
早く会いたいなぁ、という壮介さんの呟きに頷きながら、こちらを向いた彼の腕の中でたくさんの幸せを噛み締めた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
過去1ヶ月以内にエタニティの小説・漫画・アニメを1話以上レンタルしている
と、エタニティのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にエタニティの小説・漫画・アニメを1話以上レンタルしている
と、エタニティのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。